ビジネス

年収調査 総合商社は軒並み1200万円超も一寸先は闇

総合商社の年収はいくら?

 本誌は東京商工リサーチの協力のもと、2015年度の全上場企業(3614社)の「平均年収ランキング」を作成した(以下、ベスト5)。

・1位/M&Aキャピタルパートナーズ(東京都・サービス業)/2253万円
・2位/GCAサヴィアン(東京都・サービス業)/2154万円
・3位/キーエンス(大阪府・電気機器)/1777万円
・4位/日本商業開発(大阪府・不動産業)/1741万円
・5位/ファナック(山梨県・電気機器)/1571万円

 今回のランキングで特徴的なのは、一般的には知名度が高くない企業がトップ5を占めたこと。これらは、みな年収における業績連動部分の割合が大きい企業といえる。

 一方、日本を代表する企業は下位に沈み、「ランク外」になっている。たとえばトヨタ自動車は203位、日産自動車は317位で圏外だ。ここに企業が公開する平均年収の「カラクリ」がある。人事ジャーナリストの溝上憲文氏の解説。

「このランキングに現われているのは、大卒総合職や技術職だけでなく高卒の一般職や技能職まで合わせた金額です。トヨタや日産など、正社員に高卒中心の技能職が多いメーカーほど、平均年収が押し下げられる傾向があります。一般職の多い総合商社なども同様です」

 その総合商社を見ると三菱商事の1446万円がトップで、大手商社はいずれも1200万円を超える。50代で部長ともなれば、年収3000万円を超えることもあるという。

 しかし、その商社も決して安泰ではない。資源価格の下落により、2015年度決算では減損が相次ぎ、三菱商事と三井物産は初の赤字決算だった。純利益で初の商社トップとなった伊藤忠商事も7月末に米投資ファンドに不正会計の可能性を指摘されるなど、先行きは不透明だ。

 上位には商社と並んで金融業界の企業も多い。野村ホールディングスの1516万円を筆頭に東京海上ホールディングス(1437万円)、三井住友フィナンシャルグループ(1273万円)が続く。

 今回のランキングは上場企業のみで、一部の生命保険会社や新聞社は調査対象に含まれない。ランキングに入らない高年収企業はまだ多いうえ、将来的にはさらなる大変化が予想されると前出の溝上氏は指摘する。

「現在、世界的な競争が進む各業界で旧来型の賃金体系の見直しが進み、日立やパナソニックといった大企業でも成果主義的なシステムが導入され始めています。その是非はともかく、今後はこれまでの“常識”が通用せず、年収ランキングが大きく変わる可能性があります」

 その嚆矢が今回のランキングかもしれないのだ。

※週刊ポスト2016年8月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン