それさえ終わればもうメンバーは顔を合わせることはないわけですから、最後の力を振り絞って、解散コンサートをやってファンに感謝を示せば、幾分かはファンのもやもやも解消できるはず」
1月の解散騒動以降、最悪の事態を考え、「上手に解散するにはどうすればいいか」を長い時間をかけて考えておくべきだったと分析するのは、危機管理コンサルタントの田中辰巳さんだ。
「もし1月の時点で“グループは存続するが個人の活動をより重視する”という方針でも発表していれば、ファンは気持ちを整理する余裕もできたし、テレビ局やCMスポンサーなどの関係先も解散の可能性を踏まえて準備ができたはずです。突然の解散発表は多くの関係者に迷惑をかけることになります。また、いざ解散するとなっても、『40代はアイドルとしては年齢が高すぎるから』や『個人の仕事にもっと挑戦したいから』などの大義名分さえつくれば、SMAPの今までの功績に泥を塗らずに済んだ。それをせずに内紛を表面化させたことで、自分で自分の価値を貶める結果になってしまいました」
前出の田幸さんは、こんな見方をする。
「SMAPは事務所の圧力に屈した、かわいそうだと見る向きもありますが、SMAPはそんなに弱くない。社会的にも大きな影響力を持っていて、世論を見方につけるだけの発信力も持っています。中居さんはそれを長期的展望で進めようとしたのでしょうが、最後はグループが1つにまとまらなかった甘さが、解散という結果に結びついたんです」
コラムニストでアイドル評論家の中森明夫さんが言う。
「SMAPは戦後最大のアイドルグループです。それだけ長い間、第一線で多彩に活動してきたグループはかつてない。それなのに、解散にあたって本人たちの記者会見も肉声もない。発表されたコメントだって本当に本人が書いたものなのかわからないですよ。
芸能メディアも肉声をファンに届けることが仕事でしょう。なのに、その職務を放棄してしまっています。つい先日、天皇陛下が生前退位についてお気持ちを語られました。異例のことでしたが、肉声で語られることに踏み切られた。SMAPは皇室以上にアンタッチャブルな存在なのかと思ってしまいますよね。
会見でも動画でもいいですが、ファンに向けて肉声で想いを伝えることが国民的と呼ばれるアイドルの最低限の誠意でしょう。SMAPの解散の仕方に世間が不信感を抱けば、アイドル文化全体、芸能界全体の衰退につながりかねないと思います」
国民的スターとして歩んできたSMAPが、ファン不在のあまりに無作法な終焉を迎えようとしている。周年ライブとはいわない。紅白の舞台で、ダメならせめて会見でもいい。5人揃って肉声で話さなければいけない責任が、国民に愛されたSMAPにだからこそあるのではないか。ファンは、SMAPの生歌をもう一度聞きたいと願っている。
※女性セブン2016年9月1日号