吉田:ギャップ萌えといいますか、普段ふざけている人が真面目な顔を見せるとキュンとします(笑い)。でも見ていると、大泉さんは必死にコミカルな部分を押さえてるなと感じますよ。本当はもう1回たたみかけたいところを飲みこんで、台本通りにやってらっしゃるのかなって(笑い)。
大泉さんとのエピソードでいえば、地震の後に信幸さんが「稲、大丈夫か」って抱きしめてくれるシーンがあったんですけど、リハーサルで大泉さんが、「おこう!」って私に言ったんです。
元・妻の名と間違えられて、普通に悔しかったです。「今なんて言った?」って言ったら、「本当にすみませんでした」って、大泉さん土下座してました。その後、「すごい素直に出ちゃいました」って、また余計なことを言うんですよね(笑い)。
――大泉洋と吉田羊の洋羊コンビ、夫婦漫才のようですね。
吉田:そうですね。大泉さんが一生懸命押さえようとしているところを、私が俳優としてちょっかいを出して、「本当に我慢できるのかい?」と仕掛けるみたいな(笑い)。そういう日々の会話や掛け合いを、史実の2人も楽しんでいたのかもしれないなと、大泉さんとやっていると感じます。
――やむなく離縁することになった信幸の元妻・こうと正室の稲。2人の女性の今後のみどころは?
吉田:おこうさんに対しては、正室としては気に食わない所もありますけど、おこうさんの言葉に心救われていく部分もあるんです。最終的には、長く侍女としてついてくれた人なので、それだけ自分の傍に彼女を置いたということは、彼女を信頼した証拠だと思います。
おこうVS稲としたほうが視聴者的には面白いと思うのですが、残念ながら、心を通わせていきます(笑い)。ただ、そこには正室と侍女という敢然たる身分の差があって、特に子供が生まれた後に顕著になっていくんです。ゆくゆくは誰の子が真田家を継いでいくのかと言う問題もありますから。
同じ男性を愛したと共感する部分もあり、同じくらい嫉妬する部分もあり。でも人としては、おこうさんに心を許していたんじゃないかなと思いますね。それも含めて、2人の複雑な女心を、ぜひ見ていただきたいと思います。
【吉田羊(よしだ・よう)】
2月3日生まれ。福岡県出身。学生時代に初舞台を踏み、舞台女優として活躍。2007年、活躍の場を映像に。2014年、『HERO』(フジテレビ系)で、クールな女性検事を演じ注目を集める。2016年10月『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』(関西テレビ・フジテレビ系)主演。
◇NHK大河ドラマ『真田丸』
毎週日曜、NHK総合20時、BSプレミアム18時放送。後世に真田幸村の名で「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と評されることになる、真田信繁の成長物語。三谷幸喜脚本。