野菜や魚には季節がある。出荷が始まる「走り」、食べ頃の「旬」「盛り」、終盤の「名残り」…。栄養価は最大、価格は最低となる、旬から名残りにかけての“最旬”食材を楽しむコツを、料理研究家の松田美智子さんが紹介する。
そもそも、枝豆ってどんな野菜? 枝豆は未成熟な大豆を収穫したもののこと。枝付きのまま扱われることが多かったために、“枝豆”と名づけられたといわれる。17世紀末頃から野菜として食されるようになった。
夏のつまみ、というイメージが強いが、大豆のイソフラボンや必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維、疲労回復作用が高いオルニチン…など、重要な栄養素が詰まった緑黄色野菜の王者。とくに必須アミノ酸のひとつ、メチオニンにはアルコールの分解を促す作用があり、肝機能の回復に有効なオルニチンとともに、飲みすぎや二日酔い防止に有効。夏の酒肴に枝豆が供されるのは、じつに理にかなっているのだ。
選び方のコツは、可能であれば枝付きのものを。さやにふっくらと張りがあり、豆の形がくっきりと出ているものを選ぶ。さや全体がツンツンと産毛に覆われているものは非常に鮮度がよい証拠。
下準備の手順は、次のとおり。
【1】枝付きでも袋詰めでも、豆ぎりぎりのところでさやの頭部分を切る。こうすることで、さやの中に水や塩が入りやすくなり、ゆで上がりがみずみずしく、風味よく仕上がる。
【2】枝豆1束(1袋)をボウルに入れ、粗塩大さじ3を加えてさやの産毛が擦りとれるくらい塩をよくすり込む。
【3】そのまま水を張り、15~30分ほど浸けて水になじませる。袋詰めの場合は、さらに15分ほど浸けておく。
最後に、枝豆の上手なゆで方について教えてもらった。
『ゆで枝豆』
【1】大きめの鍋に湯をわかし、粗塩大さじ1を加える。
【2】上記の〈準備〉を終えた枝豆の水を切り、鍋に加える。強火で10分ほどゆで、2~3つほどさやの口が開いてきたら、中の豆を噛んでみて、ほろりと崩れるぐらいやわらかければOK。
【3】ざるに上げ、できるだけ良質の自然塩をふる。アツアツをいただくのがおすすめ。
「栄養満点の枝豆ですから、多めにゆでて半分はゆでたてを楽しみ、半分はしょうゆ酢浸しになさることをおすすめします。しょうゆ酢浸しは、毎夏、母が冷蔵庫に欠かさなかったひと品。そのままつまんでももちろん美味、あるいは炊きたてご飯にのせたり、おそうめんに合わせたりと重宝します」(松田さん)
●松田美智子(まつだみちこ)
家庭料理研究家、「松田美智子料理教室」主宰。素材の味、風味を生かした理に適った料理には定評がある。使い勝手にこだわった調理道具ブランド「松田美智子の自在道具」も人気。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2016年9月15日号