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SNSは「使い分け」が常識か 若者の「裏アカ処世術」とは

SNSは使い分けが常識に?

 FacebookやTwitter、LINEなどのSNSを利用する人はいまや2人に1人を超えた。複数のSNSを利用するのも珍しくなく、それぞれのSNSを連携させて、一度の投稿をすべてのSNSに反映させることもできる。しかし、あえてそれぞれのSNSを「つながり」ごとに使い分ける動きもある。とくに若年層では「SNS使い分け」が当たり前の行動になっている。

 実際に15~29歳を対象にした関係性によるSNSの使い分けについての調査結果をみると、相手をよく知らないときはLINEよりもTwitterを、女性は相手と趣味が合うほどInstagramを交換する傾向があるとわかった(株式会社ジャストシステム調べ)。

 ITジャーナリストの高橋暁子さんによれば、「Facebookには皆に知ってほしいことだけを、LINEは連絡手段として、Instagramは自分好みの幸せな空間をつくるために使っていますね」と、若年層におけるSNSごとの使い分けの存在を認める。

「若い世代にとってLINEはメールアドレスや電話番号のようなもので、同じクラスやクラブなどのメンバーになったら、連絡手段として必ず交換してグループを作成します。リアル(現実)の知り合いなら、絶対に交換するものです。よくわからない相手とは交換していません。もし、どうしても嫌な何かが起きたら、その相手をブロックして対処しています。とは言っても、大人と違って彼らは、ネットでやりとりすれば信頼してLINEでつながってしまうので、”知り合い”の基準が大人とは違いますけれどね」

 10代の77.0%、20代の92.2%、50代でも42.8%が利用しているLINE(総務省調べ)は、いまや電話番号やメールアドレス代わりに使われている。友だちのLINEは知っているが電話番号は知らない、ということも珍しくない。クラスの緊急連絡網などネットではなくリアル(現実)の人間関係における連絡手段として、LINE交換は欠かせない。

 実名で登録するSNSとして急拡大したFacebookは、20代が61.6%、30代が50.9%、40代で33.5%と大人の利用率が高い(総務省調べ)。そのため、誰に知られても問題がないことだけを扱うSNSとして若者たちは利用し、盛んに充実した毎日をアピールする投稿を繰り返す大人は、遠巻きに観察されることもある。

 とりわけ若年層に特徴的なのは、コミュニケーション内容によって複数のTwitterアカウントを駆使して使い分けていることだろうと前出の高橋さんはいう。

「リアルの友人であれば誰にでも教える表のアカウントとは別に、相互フォローしないと投稿内容が見られないよう鍵をかけた裏アカ、闇アカをつくって使い分ける傾向があります。たとえば普段の友人づきあいで明るく、面白いキャラクターで通していると、表のアカウントでも同様の振る舞いを求められます。もし、そこから外れた言動をみせると、友人たちの間で居場所をなくしてしまうかもしれません。裏アカや闇アカをつくるのは、リアルのコミュニティでの居場所をなくさないための処世術です」

 裏アカ、闇アカとはそれぞれ裏アカウント、闇アカウントのこと。いずれも鍵をかけて利用されるので、相互フォローしたアカウントでなければ投稿内容を読めない。そこでは、表のアカウントでは言えないネガティブな内容や、趣味の話をしていることが多い。投稿内容を理解してくれると信用できる人とだけ、こっそり教えあっている。

 多くの人に知られたくない言葉を、わかってくれる人に向けて発言したい気持ちは理解できる。しかし、その場所がSNSというのは、いくら鍵をかけていても危険ではないか。何かの拍子に白日の下にさらされる可能性がある。なぜ、そうまでしてネットに書き込むのか。

「ため込んでいる気持ちを書いて吐き出し、スッキリさせる、というのは、以前ならノートとペンでするものでした。でも、今の若い世代にとって身近な書く道具といえば、手に持っているスマートフォンなんです。複数アカウントの使い分けも、今のTwitter公式アプリにある機能ですから、彼らが特殊なテクニックを駆使しているわけではありません。もっとも、ときどき闇アカに投稿したつもりの暗い内容を表のアカウントに誤爆、つまり間違って投稿してしまい、慌てて取り消すことはよく起きているようです」(前出・高橋さん)

 SNSやスマホが今ほど身近でなかったとき、人はその場所にあわせて少しずつ顔を変えて存在することが容易だった。人とは本来、そういった複雑な生き物のはずだ。ところが、今のようにいつでもどこでもつながると、複数の顔を見せたら、自分の居場所が消えてしまうかもしれない怖さに怯えるばかりだ。SNSやそのアカウントの使い分けは、姑息な手段ではなく、実に人間らしい行動といえそうだ。

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