国際情報

中国海軍 空母建造中の「秘密軍事工場」に潜入

空母が建造されている長興島の秘密軍事工場

 気温40度。上海市は7月下旬、観測史上3番目の猛暑に見舞われた。中国最大の大河、長江(揚子江)の最下流域にある上海市近郊の長興島では、中国海軍の秘密工場が陽炎とともに空中で揺れていた。実はここで中国の航空母艦の建造が密かに進められているのだ。ジャーナリスト・相馬勝氏が長興島に潜入した。

 * * *
 上海市中心部から車で東南方向に1時間。ようやく長興島の対岸に到着する。さらに、長江の水底を貫通する隧道を20分ほど走ると、島に上陸だ。片側3車線の真新しい高速トンネル内にはほとんど車は走っていない。

 島内にも東西に縦断する高速道ができているが、真新しいアスファルトは車がほとんど通った跡がないほどきれいな黒色だ。時折、右側を汚れた白い半袖シャツを着た島民の自転車が走っている。このほか、老婆が運転する農作物を運ぶ電動3輪車を見かけたくらいで、車の姿はほとんどない。走っている車は筆者が乗ったタクシーだけだった。

 なぜ、このような立派な片側3車線、計6車線の高速道路が建設されたのか分からないほど、道路はがらんとして寂しい。道をまっすぐ進むと、左手に鮮やかな赤色の大型のクレーンが数十基も林立している。

「あれは何だ」。運転手に聞くと、「海軍の造船所だ。航空母艦を造っているんだ。地元では知らない者はいない」との答えが返ってきた。

 高速道路を外れて脇道に入って、車でできるだけ造船所に近づいてみたが、長江の河岸付近で、道は行き止まりになっていた。

 水面から立ち上がる水蒸気と陽炎で、深紅のクレーン群や工場の建物がもやって、ぼやけて見える。ドックヤードらしい構造物もおぼろげに見えるのだが、裸眼では確認できない。

 帰国後、撮影した写真をできるだけ拡大すると、工場やクレーン群、それにぼんやりとだが、右側に船らしいものが写っていた。これが空母の一部なのか、別の軍艦なのかは判別できない。

 造船所の周辺を廻ってみると、作業員数十人が島の河岸の埋め立てをしていた工事現場にぶつかった。埋め立て用の緩衝材を河岸に敷いて、護岸と緩衝材の間にいくつかの穴を掘って水抜きをし、砂などをかぶせ、さらにコンクリートで固める作業だ。地元の農民に話を聞くと、「空母が完成するのを待って、数年後には大きな海軍基地が建設されるといううわさだ。もう、すでに軍需物資運搬用の高速道路もできているし、兵士らのマンションなども建設中だ」との情報を得た。

 さらに、高速道路沿いには、右側に大きなクレーンが10基以上も見える場所があった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン