「カーテンコールの時に披露されている曲が、公演時間の問題で泣く泣くお蔵入りになるところだったんです。ところがキム・ジュンスさんが、カーテンコールの時に一緒に歌ってしまえばいいのでは、と言ってくれて、演出家と拍手して飛び上がったことを思い出します。毎回その曲を披露するたびに、ジュンスさんには感謝の気持ちでいっぱいになります」(キム・ムンジョン音楽監督)
今回の作品でも、後世に残るような名曲がたくさん生まれている。ジュンスが特に気に入っている1曲をあげるとすると?
「いちばん重点を置いたのは、2幕最初の曲『ノン ヌグ(お前は誰だ)』だと思います。ドリアンと自身の肖像画との対峙を擬人化して、他の俳優たちと一緒にダンスやモーションで表現したのですが、ドリアンは肖像画を屋根裏部屋にしまい込もうとするのに、肖像画はそこから出ようとする、そんな対立をダンスで表現しました。ぼくがこの作品の中で挑戦したことすべてが、この1曲に表現されているのではないかと思っているので、ここでは、『ああこれが今回の新しいチャレンジだってジュンスが言ってたな』って思ってもらえたらうれしいです」
歌、ダンス、鍛え抜かれたしなやかな体、美しい衣装、映像を駆使した背景、そしてかつて見たことのないジュンスの狂気、禁断の男同士の絡みシーンなど見どころがあり余るミュージカル『ドリアン・グレイ』。悩み悶えるジュンスに、見ている側も身悶え必至です。
『ドリアン・グレイ』
オスカー・ワイルドの長編小説『ドリアン・グレイの肖像』を新たに脚色した創作ミュージカル。イギリス貴族の美青年ドリアンが、永遠の若さと美しさを引き換えに、自身の肖像画と魂を取り換えることから起こる悲劇を描く。9月3日から10月29日まで韓国京畿道城南アートセンターオペラハウスで上演される。
撮影/PARK MYUNG WONG
※女性セブン2016年9月29日・10月6日号