高市早苗総務相が「かっこ悪いと言われると大変がっかりです」と9月20日の閣議後会見で発言したことをきっかけに、9月16日から発売されているiPhone7に記された日本語の刻印「総務省指定」が注目を集めている。必要な表記に日本語の刻印が混ざることに、なぜそれほどの反響があるのか。
「お気に入りの空間を壊されたような気がするから」というのは、20歳の女子大学生だ。
「スマホじゃなくてiPhoneを選んでいるのは、身の回りの小物は納得がいくものにしたいから。コーチのバッグに日本語の刻印なんてないでしょう? そろそろ機種変更を考えていたのに、がっかりです。iPhone7でも黒を選べば目立たないと言われたけれど、黒だと自分のバッグや服装と合わない。ローズゴールドかシルバーにしようかなと思っていたのに」
一方で「カッコいいじゃないですか」というのは30代の男性会社員だ。
「漢字の刻印なんて、カッコいいと思うんですけどね。このあいだ『シン・ゴジラ』を観て、日本語カッコいいなと思ったところなので大歓迎です。そもそも、日本向けのiPhoneはなんで英語表記だけだったんですかね? 台湾や中国でiPhone買うと、英語と漢字がまざった刻印が以前からありましたよ」
欧米では若者向けのアパレルで日本語がデザインとして使われるケースが多くある。英ブランドの「Superdry. 極度乾燥(しなさい)」はよく知られているし、カタカナ表記で「アディダス」と大きくプリントされたデザインが発売されたときは話題になったし、日本語タトゥーもいまだ人気が高い。海外では、「総務省指定」刻印入りのiPhoneは日本限定商品なので逆に人気が出る可能性もある。
それでも、日本ではいまひとつ評判が芳しくない「総務省指定」刻印。なぜ、これほど日本語が刻まれることを嫌うのか。家電量販店の販売員は「思いこみでしょうね」と苦笑まじりに言う。
「家電のリモコンですら、日本語が大きく印字されているのを嫌う人がいますから、そういう好みの人がいるのは確実です。でも、iPhone7の刻印をダサいといっている人の大半は、馴染みのものが変更されたことに対して言っているだけだと思います。ちょうど手で持つあたりにある刻印だから普段は目に入らないし、日本の場合、ほとんどの人がケースをつけるから、見た目にちっとも影響しないですよ」
馴れの問題だけで日本人が「ダサい」と言い続けている間に、「総務省指定」刻印入りのiPhoneが、海外でプレミア扱いになる日がくるかもしれない。