ライフ

非正規雇用者 炭水化物の重ね食べで糖尿病になる危険

非正規雇用だとなぜ糖尿病になりやすいのか

 9月19日、NHKが『NHKスペシャル 私たちのこれから「健康格差 あなたに忍び寄る危機」』(以下、『Nスペ』)を放送し、大きな話題を呼んでいる。現役引退後の収入や貯蓄額だけでなく、それまでの生活の様々な要素が幸せに死ねるかどうかを決定づける──そんな内容だ。

「所得と学歴だけでなく、職業や、正規雇用か非正規雇用かといった就業状態などさまざまな指標で見て、社会経済的地位が低いほど不健康である確率や死亡率が高いことがわかってきた。実はいま、日本で命や健康に大きな格差が生まれているのです」

 そう語るのは、『健康格差社会』(医学書院刊)の著者で千葉大学予防医学センター教授、国立長寿医療研究センター部長の近藤克則氏である。

 WHO(世界保健機関)は健康格差を生み出す要因として、所得、地域、雇用形態、家族構成の4つを挙げている。

 健康格差を取り上げた『Nスペ』ではまず所得に注目し、低所得者と高所得者では病気にかかる確率がどのくらい変わってくるのかをデータをもとに紹介した。その数字は衝撃的なものだった。

 低所得者は高所得者に比べ、精神疾患3.4倍、肥満1.53倍、脳卒中1.5倍、骨粗しょう症が1.43倍もリスクが高くなるという。さらに、非正規雇用者は正社員に比べ、糖尿病になる確率が1.5倍も高いのだ。

 なぜ、これほどまでの格差が生まれてしまうのだろうか。本誌が理由を掘り下げると、さまざまな生活実態の差が影響していることが明らかになった。NPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典氏が指摘する。

「非正規雇用者であっても、職場での立場が弱いことから、対価に見合わない長時間労働を強いられることがある。私の知るケースでは、仕事が定時で終わらず、朝9時から働き始めて夜10時までサービス残業をさせられていた人もいた。そうした環境下で賃金が低いと、食事は深夜でもやっている安価な外食かコンビニ弁当などで済ませてしまいがちになります」

 最近のコンビニ弁当では、野菜がたくさん入っているものも出てきているが、「栄養バランスよりも値段を先に考えてしまう。おかずの多い弁当は総じて高い。そんなお金はないし、夜遅くまで食事もせずに働いた後だから、つい野菜より肉やご飯の量が多いものばかり選んでしまう」(47歳男性・サービス業勤務)というのが実情だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン