REAL Gとして活動したことも
GAO:ヒップホップらしい一面を表現して、これも自分だという音楽活動でした。だから改名というよりも、名義が違うだけですね。区別したいので、GAOの活動をしている時はREAL Gで活動をしない。予定はありませんが、もしREAL Gの活動をすることになったら、GAOは休止したいと思っています。
――代表曲の『サヨナラ』は、最近では柴咲コウさんなど、たくさん人がカバーしています。
GAO:歌ってみたいと思ってくださったり、影響を受けてくださった曲だと聞くと、すごく嬉しいです。あの曲は難しい曲だと思います。指一本で弾けるようなシンプルなメロディーだからこそ、いかに個性を入れるかというのを試される気がします。歌う人の本質がそのまま投影される曲だと思いますね。
――即興ソングのライブや弾き語りの公開ライブレコーディングなど、GAOさんは新たなライブの形を開拓しているように感じます。
GAO:自分のやり方を築くことに、ここ何年か意識を置いているんです。音楽業界は、CDがメディアとして必要とされていない時期が来ています。かといって、一時期盛り上がった音楽配信も下火になって、曲に値段が付けられない時代になってきました。
この時代に音楽家はどういう活動をすればいいのかと考えた時、参考にさせていただこうと思ったのは、マドンナや亡くなったプリンスが大手メジャーを辞めて、自分のやり方を模索していたことでした。日本でも誰かが、自分のペースで、長くアーティスト活動を続けていくさまを残して行かないと、音楽活動をする若い人たちが、夢を持てないんじゃないかなと思うんです。
音楽はYouTubeやSNSで、ただで聞ける時代です。だけど、ライブで聞いた時に受ける衝撃や感動って、また違うものがあると思うんです。だからみなさんにそれを味わってほしい。SNSではなく、音楽を通じて人が顔と顔を合わせて出会うことは、ライブでないと経験できないと思うんですよね。
――最後に、今後の目標は?
GAO:ほぼ手作り状態で活動しているのですが、それを大きくしていきたいと思っています。仲間を増やして、ライブの規模を大きくしたり、プロジェクトを立ち上げたりして。音楽業界がもっと元気になるようなイベントを、自分で企画したいと思っています。
【GAO(がお)】
9月14日生まれ。山口県出身。1990年、NHK『全日本勝ち抜きロック選手権 BSヤングバトル』にバンド・GAOとして出場し優勝。翌年、ソロシンガーとしてメジャーデビュー。1992年4月、セカンドシングル『サヨナラ』が累計123.6万枚のミリオンセラーに。1996年3月GAOの活動を休止、2000年よりギャングスタラッパー・REAL Gと名前を変えて活動。2009年、GAOとしての活動を再開。
撮影■黒石あみ