「動物園の入園者は2~5才の子供の数と比例しているため、少子高齢化の影響をもろに受けます。最近の動物園は子供以外のお客さんを呼び込むため、『旭山動物園』(北海道旭川市)の行動展示に代表されるように、大人向けにシフトしていこうとしています。入園者数は、何か新しい施設を作るとぐっと増えます。そのあと老朽化に伴い減っていくので、次々と施設を投入しながら、減っていくお客さんを補っていくという運営方式です」
しかし、新しい施設を作って来園者数を増やそうとしても、簡単にいかない理由がある。それは安すぎる入園料だ。『旭山動物園』は大人820円、『上野動物園』は600円だ。また、年間何度でも入れる年間パスも、『旭山動物園』が1020円、『上野動物園』で2400円とかなり安い。また、公的な施設であるために、「中学生以下、65才以上は無料」といった割引をする施設がほとんどだ。
「日本の動物園は今で言うところの『子育て支援施設』として作られました。地域住民の税金を還元という意図があるので、なるべく安く抑えようとするのです」(佐渡友さん)
旭山動物園の園長、坂東元さんもため息をつく。
「公立施設で市民の憩いの場として提供したいという目的があるので、入園料を上げることができないのが現状です。もし、2000円に上げられたら、どこの動物園もかなり経営が楽になると思います」
※女性セブン2016年10月13日号