国民の生活は苦しい


 兵役法改正はこうした世論を受けたもので、現在は「1994年1月1日以降に出生した韓国人男性が、18~37歳の間に通算3年以上韓国に滞在する場合は兵役の義務が生じる」よう改められた。しかし、韓国のネットには今も「在日には愛国心がない」「軍隊に行かないゴミども」「在日は朝鮮戦争やベトナムで血を一滴も流さなかった」という書き込みが散見される。

 朝鮮戦争では在日の青年による「義勇軍」が組織され、642人が韓国に渡り135人が死亡・行方不明となったが、そうした在日の功績を知る韓国人は少ない。もうひとつ、根深い問題がある。評論家の室谷克実氏が語る。

「韓国では全羅道や済州島出身者に対する差別が激しく、『在日の多くがこれら被差別地域の出身者』という認識があるのです。かつて、全斗煥大統領の秘書官は、私に『全羅道、済州島出身の在日は差別されて当然だ』と話していました。これが彼らの本音なのです」

 この先、韓国社会のフラストレーションの捌け口として在日への風当たりがますます強まるのではないか。

※SAPIO2016年11月号

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