短期決戦でカギを握るのは、何といっても第1戦の勝敗。しかも首位チームには1勝のアドバンテージが与えられているので、初戦をものにすればいきなり2勝のリードとなります。アドバンテージがつかなかった2007年も含めて、これまでの9年間で首位チームが初戦で勝ったのは、18ゲーム中11回。なんと、すべて首位チームが日本シリーズに進出しています。初戦を落とした場合も、7回中4回は首位チームに軍配が上がりました。
仮に今年も広島や日ハムが初戦で勝利をあげたとしたら、過去のデータを当てはめると100%そのまま進出ということになってしまいます。広島ファンと日ハムファンは、「最初に勝てば、もう大丈夫」と早めに祝杯をあげるのも一興。いっぽうDeNAファンとソフトバンクファンは、もし初戦に負けても落ち込んでいる場合ではありません。「史上初の快挙」を目指すという壮大な目標に向かって、さらに応援に熱を入れたいところです。
DeNAやソフトバンクが初戦に勝ったとしたら、ファンは「よし、これで4割2分以上の確率で勝てる! バッターだったらイチローをはるかにしのぐ高打率だ!」と、一気に期待をふくらませましょう。まあ、相手が勝つ確率は5割を大きく超えているわけですが、そこは目をそらすのが大人のひいき目です。そもそも初戦の結果がどうであろうと、首位チーム以外が勝ち抜ける確率は6分の1なんですけど、「6分の1もあるのか!」「競馬よりよっぽど高確率じゃないか!」と数字を前向きにとらえて応援を楽しみましょう。
応援の甲斐なくひいきのチームが日本シリーズへの進出を逃したとしても、気を抜いてはいけません。最後の仕上げが残っています。オフィスでここぞというタイミングを見計らいつつ、思いっきり悲しそうに「ああ、クライマックスシリーズで負けちゃうなんて、最大限に暗い気持ちになっちゃうよ。……クライ、マックス」とかましましょう。少なくとも同情の笑いを得ることはできるはず。野球って、本当にいいもんですね。