株価上昇の予測を打ち出しているのは野村證券だけでない。SMBC日興証券チーフテクニカルアナリストの吉野豊氏は、レポート『Opening Bell』(9月30日付)で9月28日を境に日経平均が反転したとして、「年末1万9000円」を打ち出した。
吉野氏は、景気は一定のサイクルで循環すると考える「サイクル理論」で株価の推移を予測している。この理論について、カブ知恵代表の藤井英敏氏が解説する。
「日経平均の底値と高値を付けた日付などから、株の値動きのサイクルを計算します。具体的には、去年6月の最高値から今年2月の最安値までの156日をひとつの周期と考え、安値になってから同じ156日が経過した、今年の9月28日で調整が終わったと見なします」
そのため吉野氏は、9月28日を境に上昇周期に入った相場は上がり続け、2017年には2万2000円以上になると同レポートで予想している。ケイ・アセット代表の平野憲一氏も年末予測を1万8000円から1万9000円に上方修正したという。
「円高や原油安で年末は1万8000円前後かなと思っていましたが、9月28日で流れが変わったと感じ、今は1万9000円と予測しています」
平野氏も9月28日に着目しているが、吉野氏とは「別の理由」からだ。配当・株主優待の権利確定日は9月27日に集中している。このため例年、27日は買い優勢になって株価が上がり、権利確定後の28日は売り優勢になって株価が下がる。実際、今年も27日に139円上昇した株価は、翌28日に218円下がった。
「ところが権利確定後の売り買いが一段落した29日に相場が一転して228円高になり、『予想外の強さ』を見せました。市場は投資家の心情で動くものですから、いよいよ“潮目が変わった”と感じました」(同前)
※週刊ポスト2016年10月28日号