ライフ

名医が語る「名医の条件」 最初の5年で決まる理由とは

胃がん「ダヴィンチ手術」の第一人者・宇山一朗氏

 患者にとって執刀医とは命を預ける存在である。できるなら“神の手”を持つ「名医」に任せたいが、残念ながらそうした医師はとにかく数が少ない。そもそもなぜ手術の上手い医師と下手な医師の差が生まれるのか。

「手術の上手さは最初の5年で決まってしまう」と指摘するのは、胃がん「ダヴィンチ手術」の第一人者、藤田保健衛生大学病院総合消化器外科学教授の宇山一朗氏だ。

 ダヴィンチ手術とは、最新鋭の手術支援ロボットを使い、内視鏡の視野を10倍以上に拡大し、3D立体映像を見ながら遠隔操作で行なう手術のこと。これにより腹腔鏡の使用が困難だった前立腺がんの手術が容易になり、開腹手術に比べて患者の体への負担も大幅に軽減できるようになった。

「私の手の動きを再現してくれる関節機能があり、手元が震えても補正してくれるので、機械の先端はブレません。人間の手でやるよりも精密な手術が可能です。でも、ダヴィンチには利点もあるが欠点もある。その特徴を十分に理解して使いこなすことが必要です」(宇山氏)

 ある程度経験を積んだ外科医が、ダヴィンチ手術の勉強のために宇山氏の元を訪れることが多いが、

「最初に染みついた癖はなかなか取れません。初期教育の大切さを痛感します。極論すれば、スキルがつくかどうかは、外科医になった最初の5年で決まってしまう。もちろん一例一例を大事にし、次のケースに生かしていく努力を続けていけばかなりの領域に到達できると思いますが……」

 と宇山氏。自身も新人時代は名医に鍛えられたという。岐阜大学医学部を卒業後、慶應大学の外科学教室で1年間学んだ後、関連の民間病院で手術の勉強に励んだ。

「2つの病院に行きましたが、それぞれの恩師が非常に厳しい先生で、手術では名医といえる方たちでした。最初の病院では『カルテに書く手術記録は簡単でいい。それとは別に自分用のノートをつくり、一例一例こと細かに記録しておけ』といわれました。ハサミの向きがどうだったとか、どういうことを注意されたとか。1年間でルーズリーフ数冊分になった」(宇山氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
(公式インスタグラムより)
『ぼくたちん家』ついにLGBTのラブストーリーがプライム帯に進出 BLとの違いは? なぜ他の恋愛ドラマより量産される? 
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン