国内

岐阜県中津川のドクターカー 運用以降救急救命率3%→19%に

「ミスター・ドクターカー」と呼ばれる中津川市民病院の間渕則文さん

 岐阜県中津川市民病院・病院前救急診療科部長の間渕則文さんは、「ミスター・ドクターカー」と呼ばれ、自分の生活は二の次で、乗用車型ドクターカーを駆って奥美濃の山中を自在に走り回り、救命率を驚異的に上げた。そんな間渕さんは、その仕事ぶり、情熱、人柄に感銘を受けたさだまさし(64才)がテレビ番組で対談相手に指名した医師としても知られる。

 医師の家系に生まれた間渕さんが、医師を志したのは、当然の流れともいえるが、実は受験直前まで土木エンジニアか医師かと悩み、ぎりぎりのところで医学部を選んだという。医学部卒業後はカナダの大学病院で、当時日本で認可されていなかった心臓や肺の移植手術にも携わった。

「麻酔科へ進んだのは、目標とする先輩がいたこと、さらに救急医療にかかわるようになったのは、ドイツで出会った麻酔医の多くが救急救命医でもあったということかな」(間渕さん、以下「」内同)

 そして、多治見病院では麻酔科部長、救命救急センター長として、大勢のスタッフの先頭に立ち、後輩を育ててきた。ところが、間渕さんは2013年、また新たな決意をする。

「公務員としての医師の定年はたいてい65才。それまであと10年と考えたとき、最後の10年は好きなことをやろうと、思ったんです」

 そのとき、頭に浮かんだのが、祖父の神谷浩三さんの生き方だった。

「このじいさんは、70才を超えてから、それまでやっていた町の医院を、ぼくの叔父に任せて、静岡県の無医村に入って診療所をやっていたんです。それで、ぼくも同じように好きなことをしたいって。で、たどり着いたのがここ中津川だったんですよ」

 典型的な中山間地域といわれる中津川市では、点在する集落から市民病院までは、山道を走らなければならないところも多い。その市民病院でも高度医療は望めず、急患は約50km離れた多治見市まで搬送される。

「拠点病院である多治見病院に勤めていたとき、“これから中津川から救急車、向かいます”という連絡が入るたびに、“ここへ来るまで命があるかなあ”と気をもんでいた。だったら、自分が中津川に行ってドクターカーをやろうと思ったんです。こここそドクターが必要じゃないかって。

関連記事

トピックス

田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
“高市効果”で自民党の政党支持率は前月比10ポイント以上も急上昇した…(時事通信フォト)
世論の現状認識と乖離する大メディアの“高市ぎらい” 参政党躍進時を彷彿とさせる“叩けば叩くほど高市支持が強まる”現象、「批判もカラ回りしている」との指摘
週刊ポスト
国民民主党の玉木雄一郎代表、不倫密会が報じられた元グラビアアイドル(時事通信フォト・Instagramより)
《私生活の面は大丈夫なのか》玉木雄一郎氏、不倫密会の元グラビアアイドルがひっそりと活動再開 地元香川では“彼女がまた動き出した”と話題に
女性セブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
前伊藤市議が語る”最悪の結末”とは──
《伊東市長・学歴詐称問題》「登場人物がズレている」市議選立候補者が明かした伊東市情勢と“最悪シナリオ”「伊東市が迷宮入りする可能性も」
NEWSポストセブン
日本維新の会・西田薫衆院議員に持ち上がった収支報告書「虚偽記載」疑惑(時事通信フォト)
《追及スクープ》日本維新の会・西田薫衆院議員の収支報告書「虚偽記載」疑惑で“隠蔽工作”の新証言 支援者のもとに現金入りの封筒を持って現われ「持っておいてください」
週刊ポスト
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン