つまり、ICT時代のネットワーク社会は、すなわち“ウィキペディア的社会”であり、そこでは「I」よりも「We」のほうが、必ず優れているのだ。それが「集団知」というものであり、集団知が重層化すればするほどその組織は強くなり、実行する際にも馬力が出る、という考え方である。
反対に「それは間違っていると思うが、口に出しては言えない」「こうすべきだが、私には関係ない」といった雰囲気がはびこると、組織は澱んで間違った方向に動く。歴代トップによる東芝の不正会計問題やオリンパスの粉飾決算事件が、その象徴的な事例である。
重ねて言うが、「We」は必ず「I」より優れたものを生み出す崇高なものである。だから「I」は「We」の一員として貢献しなければならない。それがネットワーク社会における組織の必然であり、しきたりなのである。
逆に言うと、組織に貢献しているなら、どこで何をしていてもかまわない。温泉旅行に出かけていようが、海外のリゾート地でマリンスポーツに興じていようが、ネットにつながってさえいれば貢献できる。それが21世紀の働き方なのだ。
※週刊ポスト2016年10月28日号