「しつこい性格で、『なぜ?なぜ?』と追求していくタイプであること。飽きっぽくて淡白な人は、一見飲み込みが早くてある程度上達するが、その後の伸びしろがない。逆にしつこいタイプは、無理難題や困難なケースに対して、何とかしてやろうと燃える。ありとあらゆる手を使って成功させようとする。諦めの悪さが必要です」(大圃氏)
そう語る大圃氏自身、細かい作業が好きで、子供の頃は折り紙をいつまでも延々と飽きずに折っていたという。内視鏡に興味を持ち始めてからは「自分の体の一部になる」ほど夢中になり、手術のない日でも「一日中、内視鏡のことを考えている」という。
手先の器用さも重要な要素に思えるが、
「センスや器用さには個人差があるが、一生懸命やれば、必ず上手くなる。上手くできないのには、できない理由があるんです。
持ち方が違う、姿勢が悪いなど、具体的に見つけてその部分を基礎から徹底的に直す。本人に自覚と耳を傾ける姿勢があれば、時間はかかっても必ず伸びます。不器用さやセンスのなさは練習でカバーできる。
外科医は暇さえあれば糸結びの練習をしていますが、技術習得にはそういう心がけももちろん必要です」
と大圃氏。手術でのパフォーマンスを低下させないために、大圃氏は原則、禁酒しているという。名医には努力とともに、自分を律する力も求められるのだ。
※週刊ポスト2016年10月28日号