国際情報

オバマ氏の最大の失敗は中東の盟友をイランに変えたこと

「レガシー」作りに必死 Reuters/AFLO

 オバマ大統領の8年が静かに幕を下ろそうとしている。イラク戦争で迷走したブッシュ政権後の難しい舵取りを、オバマ政権は「チェンジ」の掛け声のもと乗り切ろうとした。結果はどうだったか。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が、オバマ氏の「最大の失敗」について語る。

 * * *
 オバマ政権の最大の失敗は中東におけるパートナーをサウジアラビアからイランに変更したことだ。2015年7月14日にオーストリアの首都ウィーンで行われていたイランと6か国(米英仏独中露)の外相会合で、イランの核開発問題をめぐる最終合意が得られた。

 米国のオバマ大統領は、この合意が米外交の勝利であるとの認識を示した。翌15日、ホワイトハウスでの記者会見においてオバマ大統領は、〈イラン核協議の最終合意は「米国の強力な指導力と外交を象徴するものだ」と指摘した。大統領は、「合意がなければ中東を戦争と、他国による核開発計画の追求、核兵器開発競争の危険にさらした」と述べ、改めて合意の意義を強調した。〉(7月16日「共同通信」)。

 13年にわたる懸案が解決したと、オバマ大統領は成果を強調するが、事態はそれほど楽観できない。現在、イランは約1万9千基のウラン濃縮のための遠心分離器を持っている。今回の合意で、それらが全廃されることにはならない。10年後もイランに6104基の遠心分離器が残る。

 また、地下にある核開発工場も研究機関として存続することになった。偵察衛星では、地下研究所で密かに核開発が行われていても、その事実を知ることができない。

〈今回の合意は、イランにウラン濃縮を含む平和的な核開発の権利を認める一方、それを一定の範囲内に収め、国際的な監視下に置くというものだ。/米政権は、「イランが核兵器を保有する道を閉ざす、検証可能なメカニズムをつくること」(オバマ大統領)を目指してきた。

 合意は、イランが約束を破って核兵器開発を始めても、核爆弾1発の原料ができるまで最低1年はかかるよう核能力を縮小させる仕組みをつくった。〉(2016年7月15日「朝日新聞デジタル」)

 ということだ。言い換えるならば、この合意で、イランは、1年で同国が核兵器を保有することができるという枠組みを主要国に認めさせることに成功した。

関連記事

トピックス

NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者(51)。ストーカー規制法違反容疑の前科もあるという
《新宿タワマン刺殺事件》「助けて!」18階まで届いた女性の叫び声「カネ返せ、カネの問題だろ」無慈悲に刺し続けたストーカー男は愛車1500万円以上を売却していた
NEWSポストセブン