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韓国・現代自動車が苦境 慢性的ストライキが経営悪化に拍車

韓国企業の凋落はサムスンだけではない

 8月に発売した新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」が世界中で爆発事故を起こして以来、「サムスン・ショック」で韓国経済は苦境に陥っている。凋落はスマホだけでない。2009年に米フォードを抜いて販売台数で世界5位になった現代自動車も苦境に陥っている。

 昨年、世界801万台あった販売台数は大幅に落ち込み、2011年に10.3%だった営業利益も今年上半期には6.6%にまで急落した。今期は18年ぶりのマイナス成長が確実視される。経営悪化に拍車をかけているのが、慢性的なストライキだ。

 現代では今年に入り24回(9月末時点)もの賃上げストが発生し、工場の生産ラインを止める「全面スト」が12年ぶりに実施された。ストによる経営損失は、今年上半期の営業利益3兆1042億ウオン(約3000億円)に匹敵すると報じられた。大東文化大学の高安雄一教授が指摘する。

「労組が強い韓国では、業績が悪くても賃下げを許さずストに突入する。裾野の広い自動車産業では、現代の危機が下請けの一部中小企業を直撃する」

 実際、労組のストに激怒したパク・ソンテク中小企業中央会長は9月末、「賃金が中小企業の倍ある現代労組が賃上げストをしたので、現代自動車製品の不買運動を検討する」と発言するなど、国内世論からも厳しい視線が投げかけられている。かつて世界トップクラスだった海運・造船業はさらに悲惨だ。

 8月末に世界7位のコンテナ積載量を誇る、韓国海運最大手の韓進海運が経営破綻した。同社は大韓航空を中核とする韓進グループに属する財閥系企業だが、2008年のリーマンショック以来の大幅な受注減に耐えられなかった。

 破綻後、80隻近い同社のコンテナ船が各地で入港できなくなり、世界中が大迷惑を被った。責任を追求された同社の崔恩瑛元会長は国会で涙を流し、「心より謝罪します」と土下座した。

※週刊ポスト2016年11月4日号

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