芸能

中井貴一が語る武田信玄という因縁

1988年に大河ドラマで武田信玄を演じた中井貴一

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、全国東宝系にて公開中の映画『グッドモーニングショー』に主演する中井貴一の言葉から、1988年に大河ドラマ『武田信玄』で主人公の信玄役を演じた当時について語った言葉をお届けする。

 * * *
 中井貴一は1988年、NHK大河ドラマ『武田信玄』で主人公の信玄役を演じた。ちなみに、大河第一作『花の生涯』は、父・佐田啓二が主演している。

「『信玄』は26作目なんですが、綺羅星のごとく素晴らしい俳優さんが出てきた中で、26名しか主役を演じた人はいないわけですよね。その最初を父がやり、26本目に話をもらったということだけで光栄な気がしました。しかも、父は山梨の韮崎で亡くなっているのですが、その父が亡くなった土地の武田信玄という役が僕のところに来たというのも大きな因縁だと考え、引き受けました。

 でも、多くの方からは止められました。前の年が『独眼竜政宗』でしたので、『比較されるし、そんなに視聴率はとれないよ』と。だけど、そう言われれば言われるほどやりたくなるのが僕なんですよ。『じゃあ、やってやろう』と思いました。

 僕を主役として認めないスタッフもいたようです。いじめに近いこともありました。でも、それに徹底して立ち向かおうという一年でしたので、人間的に鍛えられましたね」

 物語の終盤では、当時まだ二十代の中井が晩年の信玄の貫禄や声色などを巧みに演じている。

「歳を重ねるとはどういうことだろう、と思って、お年寄りの歩き方を常に見ていました。歳を取ると何が違うのかといったら、歩き方だと思ったんです。足が上がらなくなるとか、両足の間隔が開いていくとか。

 時代劇の口跡は、いろいろな先輩を観て勉強しました。『こういうトーンで喋った方が時代劇にはいいだろう』って、家で練習しましたね。ですから、家にいる自分は見せられないです。どういうトーンで話すかをずっと探っているわけですから」

 デビュー間もない1982年のNHK時代劇『立花登青春手控え』に始まり、近年も映画『柘榴坂の仇討』など、数多くの時代劇に出演し続けている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「子供のころの夢はスーパーマンだった」前田投手(時事通信フォト)
《ワンオペ育児と旦那の世話に限界を…》米国残留の前田健太投手、別居中の元女子アナ妻が明かした“日本での新生活”
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《第1子出産》“叱らない子育て”が育んだ小室圭さんと“プリンセス教育”を受けた眞子さんが築いていく“これからの教育方針”「佳代さんはトイレトレーニングもせず」
NEWSポストセブン
若松次郎を演じる中島歩(左)は歴史上のある有名人の子孫にあたるという(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』ヒロインの“婚約者”を演じる中島歩は国木田独歩の玄孫 「中学と高校の国語教師の資格取得」に見える文豪の片鱗
週刊ポスト
田中容疑者の“薬物性接待”に参加したと証言する元キャバクラ嬢でOLの女性Aさん
《27歳OLが告白》「ラリってるジジイの相手」「女性を切らすと大変なんだ…」レーサム創業者“薬漬け性接待”の参加者が明かした「高額報酬」と「異臭漂うホテル内」
週刊ポスト
「大宮おじ」「先生」こと飯田光仁容疑者(32)の素顔とは──(本人SNS)
〈今日は〇〇にゃんとキスしようかな〉32歳無職が逮捕 “大宮界隈”で少女への性的暴行疑い「大宮おじ」こと飯田光仁容疑者の“危険すぎる素顔”
NEWSポストセブン
明るいご学友に囲まれているという悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さまのご学友が心配する授業中の“下ネタ披露” 「俺、ヒサと一緒に授業受けてる時、普通に言っちゃってさぁ」と盛り上がり
週刊ポスト
TUBEのボーカル・前田亘輝(時事通信フォト)
TUBE、6月1日ハワイでの40周年ライブがビザおりず開催危機…全額返金となると「信じられないほどの大損害」と関係者
NEWSポストセブン
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
小室眞子さん第一子出産で浮上する、9月の悠仁さま「成年式」での里帰り 注目されるのは「高円宮家の三女・守谷絢子さんとの違い」
週刊ポスト
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン