現在、子供は保育園に通うまでに成長している。女性は現状についてこう語っていた。

「川の字で寝てるときに、ああ、何か平和だなって思います。いちばん好きな人との間に子供を授かって本当によかったと思います」

 このように、卵子凍結は子供がほしいと思いながら難しくなっていた場合や、今ではなく少し先の結婚と出産を望む女性たちにとって、可能性を開く希望の光となりうる。

 オーク住吉産婦人科では現在、36~47才まで342人の卵子を凍結した状態で預かっている。卵子凍結を女性が選ぶ理由はさまざまだが――

「最も多いのは、まだ結婚していない30代後半から40代前半の女性です。将来、自分の卵子で妊娠したいと願っていて、結婚相手が見つかったときに不妊治療をすぐに行うためにある種、“保険”として卵子凍結を望むのです」

 会社員のA子さん(40代半ば)もその1人だ。1年半ほど前に、同院で卵子凍結のための手術を受けた。

「最初は悩みました。未婚でパートナーもいない私が不妊治療を受けるということにためらいがありました。でも、誰にも相談できませんし、自分で決めなきゃいけない。私は何が幸せだろうと考えたときに、やっぱりいつかは結婚して子供もほしいって…」(A子さん)

 A子さんは、卵子を採取するために9回の手術を受けている。手術に要した時間は1回あたり10~15分ほど。計10個ほどの卵子を凍結へとまわすことができた。

「1度の手術で採取できる卵子の数は個人差がとても大きいです。また、年齢が高くなれば卵子の数そのものが減っていきます」(船曳さん)

 費用は、A子さんの場合、300万円かかった。

「決して安い金額ではないですが、それでも自分の幸せはお金にかえられませんから。長く会社員をやっているので貯金を切り崩して何とか工面しました」(A子さん)

 採取手術の後にも費用は発生する。同院の場合、10個の卵子を採取し、5年間凍結保存するのに50万円が、3つ単位で卵子を解凍して顕微授精させ胚移植するのに25万円が必要となる。A子さんのように、1度の手術で採取できる卵子の数が少ない場合はさらに費用がかさむ。出産にかかる費用は別途必要になる。

 それだけの費用がかかっても、A子さんは卵子凍結という選択をしたことで、気持ちが晴れやかになったと話す。

「自分の卵子が眠っていることは“いつか産める”という安心感につながっています」

※女性セブン2016年11月10日号

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