ライフ

末期癌の医師・僧侶が語る空海「阿字本不生」の解釈

医師・僧侶の田中雅博氏

 2014年10月に最も進んだステージのすい臓がんが発見され、余命数か月であることを自覚している医師・僧侶の田中雅博氏による『週刊ポスト』での連載 「いのちの苦しみが消える古典のことば」から、「空海」の「阿字本不生(あじほんぷしょう)」という言葉の解釈を田中氏が解説する。

 * * *
 2500年ほど前、古代ギリシャでのソクラテスの裁判のとき、当時28歳の青年だったプラトンが、その弁明を聞いていました。

「死を恐れるのは、賢ならずして賢人をきどることになる。死とは何か誰も知らないのに、人はそれが最悪であると確知しているかのようにこれを怖れている。私も知らないが、知らないということを知っている」

 ほぼ同じころインドにおいて、お釈迦様がヴィパッサナー・ヨーガ(精神を集中して考えること、最近ではマインドフルネスといわれる)を開拓して徹底的な自己観察を行ないました。そして仏陀(目覚めた人)となって「死ぬ」という苦を解決し「不死」を説きました。それは「自己執着を捨てる」という生き方です。

「筏(仏教)に乗って、苦しみの此岸から楽の彼岸に渡ったら筏を捨てる」という仏教は仏教自身に執着せず、あらゆる生き方(宗教)を尊重します。「自己執着を捨てる」と聞いただけで、直ぐにそのようには成れません。ヨーガによる追体験(解釈)が必要です。

「追体験が難しい」ことを「秘密」といいます。明治時代に「シークレット」の翻訳語として使われて「隠すこと」を意味するようになりましたが、元来は「ミステリー」に近い言葉でした。

関連記事

トピックス

別宅で暮らし続ける芝翫
【中村芝翫、度重なる不倫騒動】舞台で共演“既婚者の大物女優”と親密だった疑惑、妻・三田寛子の抗議で交際解消か
女性セブン
杉咲花
【ファッション上級者】杉咲花と若葉竜也「私生活はゆるふわシャカシャカ」お似合いカップルコーデ「実は超有名ブランド」
NEWSポストセブン
笹山なつき容疑者(21)
《プライベートでも悩み》園児切りつけ21才保育士、「明るく元気で弟思い」の彼女が“病み”投稿連発で凶行に至った「家族を支えなきゃ」のプレッシャー
NEWSポストセブン
森香澄
森香澄、高度に作り込まれた“あざといキャラ”でバラエティー評価上昇中 妨げになるのはリアルな“熱愛発覚”
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】和久井学被告が接近禁止命令の後も続けていた「ネット・ストーキング」 被害者女性のライブ配信での一言で殺害決意か
週刊ポスト
中村芝翫と三田寛子
「もうインスタの投稿をやめてくれないか」4度目不倫の中村芝翫が妻・三田寛子に呈していた苦言の裏にある「本当の意図」
NEWSポストセブン
内田容疑者とともに殺人容疑がかけられている19歳のA子。内田容疑者のSNSにはA子が頻繁に登場していた
共犯の19歳A子を“舎弟”と呼んだ内田梨瑚容疑者(21) 殺害直後、タバコ片手にノリノリで『非行少女』を歌う姿をSNSに投稿 「頬を寄せながら……」【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン
並々ならぬ上昇志向でのし上がってきた2人の女傑(写真/共同通信社、時事通信フォト)
小池百合子氏vs蓮舫氏「似た者同士の東京都知事選」 元都知事、元副知事、元側近ら“蹴落とされた男たち”が語る2人の「怖さ」と「権力欲」
週刊ポスト
殺人容疑で逮捕された内田梨湖容疑者(SNSより)
《強気な性格の私も愛して》内田梨瑚容疑者がSNSの写真転載にキレた背景に加工だらけのTikTok投稿【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン
草葉の陰で何を思うか
小澤征爾さん「お別れ会」に長男・小澤征悦と妻・桑子真帆アナは参加せず 遺産管理を巡り実姉との間に深い溝
女性セブン
9年ぶりにドラマ出演をはたした吹石一恵(時事通信フォト)
吹石一恵、9年ぶりドラマ出演で「ビキニ写真集」が売り切れに 本格復帰ならさらに高騰か
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 小池百合子vs蓮舫「ものすごい権力欲」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小池百合子vs蓮舫「ものすごい権力欲」ほか
NEWSポストセブン