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《引き金を引くことを生きる目的に》山上徹也被告が法廷で初めて感じた“安倍元首相の命を奪った”という強烈なリアリティー 鈴木エイト氏が傍聴席で見た“犯人の実像”

裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)

裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)

 2022年7月に起きた安倍晋三・元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)。10月28日から続いている公判で見せたのは、自分を客観視し、他者にも配慮を見せる正気を保ちながら、殺人という狂気に駆られる姿だった。問題を追い続けてきた鈴木エイト氏はどのように捉えたのか。(文中一部敬称略)

 * * *
 初公判の日、傍聴席から初めて山上を見た。長く伸びた髪を束ね、猫背気味に歩く姿に、私は「この人は自分の人生を捨ててしまった人だ」と感じた。人定質問でもほとんど聴き取れないような声で受け答えし、生気が感じられない。どのようにこの裁判に臨もうとしているのか、初日には見えなかった。

 だが裁判が進むにつれ、徐々に山上が裁判に真摯に向き合おうとする姿勢が見えてきた。

 公判の前半、検察官による請求証拠の取り調べや検察側の証人の尋問では、俯きがちで感情を示す場面はなかった。その表情に変化が見られたのは、母親と妹が証人として出廷した時だった。

 母親は証人尋問の冒頭で、現在も統一教会信仰を持っていることを証言。山上の学生時代にも高額献金を繰り返してきたことを明かした。

「さすがに住んでいる家を売るのはためらいがあったが、A(長兄)が死にたいと言ったので、これはやっぱり献金しないと、と思った」

 山上の兄であるAは、母親の献金に抗議し絶望していた。母親は、その絶望も献金で解決しようとしていたのである。

 それでも、夫を自殺で亡くした母親は本気で家庭を良くしたいと願っていたのだろう。尋問終了時には山上に「てっちゃん、ごめんね」と呼びかけた。山上は証言台の母親のほうを見なかったが、何らかの感情を堪えているようだった。

 直後に始まった妹の証人尋問。冒頭から兄の徹也と二人で辛い環境を生き延びてきたことを涙ながらに語った。

「(長兄の母親への暴力を)徹也が止めてくれた」

「私たちは統一教会に家庭を破壊された。徹也は絶望と苦悩の果てにあり、事件を起こしてしまった。合法的な方法ではどうしようもなかった」

 山上は涙を堪えながら、妹の訴えを聞いていた。

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