さらに、ウラジオストクからも日本海にパイプラインを建設して新潟に天然ガスを持ってくるという手もある。こちらの距離は1200kmぐらいだが、ロシアは国内やヨーロッパで海底を含めて2000~3000kmのパイプラインを数多く建設しているから、技術的には十分可能だろう。
また、樺太~福島と同じように、ウラジオストクで発電してもらい、高圧直流送電で新潟の柏崎刈羽原子力発電所にある原子炉7基分の送電網につなぐ。そうすれば首都圏はもとより、北陸圏もカバーできる。
旧ソ連時代までのウラジオストクは軍港都市として栄えてきたが、東西冷戦終結後は軍港の重要性が薄れて将来性が危ぶまれている。このためプーチン大統領は、軍港に代わる産業としてハイテク関連の大学や研究所などを次々と設置し、極東ロシアの拠点都市とするべく力を注いでいる。そのウラジオストクの経済発展に日本が協力することは、プーチン大統領との信頼関係を構築する上で極めて重要だと思う。
具体的には、最初は大学レベルの交流と人材育成、あるいは寒冷地における農業の共同研究といった極東ロシアにふさわしい地道な分野から始めるべきだろう。
※SAPIO2016年12月号