「視聴率速報のあと、いつも『体感と食い違う』と話していました。この結果で、ちゃんと見ている人がいると証明できた気がしてホッとしています。視聴率よりもタイムシフト視聴率のほうが高いのは『逃げ恥』『妖怪ウォッチ』、そしてうちの番組だけ。録画してまでしっかり見てくれる視聴者に恵まれていると思うとうれしいですね」
一方で、余裕を見せつつも不安を隠せないのが日本テレビ周辺の人たち。視聴率では3年連続3冠王が確定し独走状態だが、タイムシフト視聴率のトップ30をみると、2位の『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』、11位『ラストコップ』、17位『レンタル救世主』、28位『金曜ロードSHOW! ルパン三世vs名探偵コナンTHE MOVIE』の4番組にとどまっている。
「そのままスポンサー獲得に結びつくわけではないですが、タイムシフト視聴率のことは気にしていました。スポーツ中継やバラエティ番組よりドラマなどが強い指標なので、日テレは得意じゃないかもしれないと思っていました。でも正直、もうちょっと健闘したかったですね。大晦日の『笑ってはいけないシリーズ』のDVDがよく売れたことを考えると、バラエティも録画してもらえるものもあるはず。工夫次第ですね」(日本テレビ制作関係者)
日本テレビが視聴率で強いことの象徴として言われるのが、日曜日夕方の『笑点』から始まる編成の強さだ。
『笑点』『バンキシャ!』『鉄腕DASH!』『世界の果てまでイッテQ』『行列のできる法律相談所』『おしゃれイズム』と切れ目なく続く。特に『笑点』『イッテQ』は20%超を記録することも珍しくない。人気番組をいくつも抱える日本テレビは、タイムシフト視聴率と同時に発表された総合視聴率(通常の視聴率とあわせた数字)トップ10のうち5つを占めている。いずれの番組も視聴者層が高年齢層にまど届いており、録画機器の使用率は低い。
「今は日本テレビが勝てていますが、いつまでも続くことじゃない。テレビの視聴方法が少しずつ変わってきていることを考えると広告出稿の内容も変わるでしょうし、番組作りも変えていかないといけないでしょう。録画でも、スマホでも、どんな環境でも見たいと思える番組を作ることがますます重要になりますね」(前出・日本テレビ関係者)
いまは同じ土俵で調査されていないが、今後、確実に増えるのがスマートフォンやタブレット、PCなどを介して好きな時間に視聴するネット視聴だ。それを見越してのことだろうが、各テレビ局もネット配信番組の制作や放送に本格的に関わるようになってきた。なかでもフジテレビは、若年層に人気のリアリティ番組『テラスハウス』をNetflixでまず放送するネット先行型にいち早く切り替えるなど、積極的だ。
テレビの見方が変わってゆけば、5年後にはテレビ局の勢力図がまた、塗り変わっているかもしれない。