テラスハウス一覧

【テラスハウス】に関するニュースを集めたページです。

「炎上はビジネス」とまとめサイト管理人(写真はイメージ)
50代まとめサイト管理人「食ってくためには何だってやる」
 ネット検索することを大手検索エンジンGoogleの名前から「ググる」といい、一昔前は、ググるとすぐ目的の情報にたどり着けた。ところが、最近は何を調べても、トレンドブログやまとめサイトと呼ばれる真偽のほどが怪しいものばかりが検索上位を占めるので、目的の情報にたどり着くのに時間やコツが必要となった。俳人で著作家の日野百草氏が、今回は、炎上の自作自演までしてビジネスにいそしむ、50代のまとめサイト管理人についてレポートする。 * * *「誹謗中傷で食ってる俺から言わせてもらうと、この程度で死ぬほうが悪いんですよ」 練馬のファミリー向けマンション、小島高也さん(50代・仮名)は歯に衣着せぬ物言いで、私にベラベラと持論をまくし立てる。幸せそうな家族ばかりが出入りするマンションにアングラ系プロダクションがあるとは誰も思うまい。中小出版社、零細編プロの連中というのは本当にヤバい人材のオンパレードだが、オタク界隈のショップや通販屋、グッズ関係の元社員というのも信じられない人間の宝庫だ。とくに二次元、三次元問わずアダルト関係。私もこの辺のコネクションはツテをたどるのに大変重宝している。小島さんもその一人だ。「ネットの本質ってね、食うか食われるか、殺すか殺されるかだと思ってます。人とつながる優しい世界とか、そんなの信じてる時点で向いてない。優しい世界ですけど、俺みたいな悪人に優しい世界なんです」 悪人と自負する小島さんはこのマンションの一室を事務所にして、いわゆる「まとめサイト」を運営している。まとめサイトとは便宜上の呼び方で明確な定義はないが、小島さんのまとめサイトは匿名掲示板やSNSを恣意的にまとめて報道機関のニュースのように装ったり、アニメやゲームなどの放送や発売があるたびあたかもニュースのように仕立て上げる。もちろん取材対象やコンテンツ元の許可など一切とらず、自分のやりたい放題に記事を作り、検索結果の上位を狙ったSEO対策を繰り返しながらひたすらネットの海に垂れ流している。訴えられたことはもちろん、警察のやっかいになったこともあるそうだ。その辺を武勇伝のように語っていたが、本当のところはどうだろうか。「事件とか事故もアクセスは伸びますけど、やっぱり芸能とオタクが強いですね。とくにスキャンダル」 と、偉そうに記者然と語るが、小島さんの記事は全部パクリの泥棒だ(はっきり言わせてもらう)。小島さんはオタク系ネットサイトのスタッフや同人ショップの通販サイトなどアキバ系の仕事を転々とした後に開業した。一応、肩書は代表取締役。一人社長だが会社を経営していて、執筆の一部は小島さんが「100円ライター」と呼ぶお小遣い稼ぎ程度の素人に書かせるそうだ。1文字1円にも満たない、そんな金額でそんな文章を誰が書きたいのかと思うが、それを仲介するクラウドソーシングサービスもあり、このコロナ禍もあって二束三文でも書きたい素人は見つかるという。「志村(けん)とか岡江久美子とかコロナで死んだ芸能人の伸びはよかった。コロナと関係ないけどテラスハウスの女子プロレスラーも。ああいう人たちが死んじゃうと美味しいです」 美味しいとはどういうことか。私は内心おだやかではなかった。5月23日にお亡くなりになった木村花選手(レスラーとして敬称は選手とする)はスターダムの若手実力派だったが、ルックスでも人気となり、フジテレビの『テラスハウス』にレギュラー出演していた矢先、まだ22歳の若さで亡くなられた。私はお母様の木村響子選手に昔お会いしたことがある。女子プロレス団体のJWPに参戦していた時代の話でもう20年近く前だ。娘さんもプロレスラーになったということで、時が経つのも早いと思ったものだ。そして親子揃って、視聴者の一部からTwitterを中心に誹謗中傷を受けていた。それは「ネットの一部」などと書けないほどの数と、常軌を逸した内容だった。「そういうネットの炎上案件も人気なんです。それを探し出してまとめて面白おかしく記事にする。とくにTwitterはバカの宝庫です」たくさんの炎上用サブアカウントを使う 面白おかしいのか。Twitterがかつて「バカッター」と呼ばれ、多くの事件を引き起こしたことは記憶に新しい。そのたびに発信者とその仲間は身元をさらされ、叩かれた。多くは本人が先に悪いことをしたことが発端だが、あまりに社会的な騒ぎとなり、またその行為がリアル人生に影響を与えることが存分に知れ渡った今、かつてのようなわかりやすいバカッターは減ったそうだ。私もいまさらそんなネタでは動かない。しかし小島さんは違う、なんとまとめサイト側から炎上案件を仕掛けるという。そのツールもかつては某匿名掲示板が中心だったが、現在の主力はTwitterだ。「たくさんの炎上用のサブアカウントを使います。一般人もクソリプ用とか攻撃用って使い分けるんですけど、そんな感じでネタになりそうな、金になりそうな炎上キャラに絡みます。もしくは嘘八百をツイートします。なるべくリツイートしてもらえるような、食いつくようなやつをね」 小島さん以外にも炎上させよう、デマを流そうというアカウントは大量に存在する。人気のキーワードでタイムラインを追ってみれば、数分単位でそんなツイートがひたすらあちこちから流れてくるのが現状だ。あれも商売なのか。「いや、ほとんどはその辺の愉快犯ですよ。金になんなくてもやってる奴なんてそれこそいっぱいいます。あとはアンチ、大半はそれですね」 そういう愉快犯は1980年代後半から1990年代前半にかけて、パソコン通信のBBS(インターネットの掲示板のようなもの)あたりにも少なからずいた。もちろん私はそんなありきたりのネタをいまさら聞きたいわけじゃない。もしや、木村花さんの件も、小島さんが追い詰めた一人なのでは。なぜなら小島さんのまとめサイトには木村さんの性格、嫌い、無理などの言葉が並ぶまとめ記事があったからだ。小島さんの顔が心なしかこわばって見えた。「私はまとめただけですし、外注ライターが見つけて来たネタです。ライターが木村さんに悪意のあるリプを飛ばしてたとしても、私は命令してません」 語気も少し強い。かつて、某キュレーションサイトが命にかかわる医学関係のデマをまとめて大問題になり、一斉に閉鎖した事件があった。残党の一部は大金を手にしていまもシンガポールを中心に暗躍している。そのトカゲの尻尾の中には大手を振って日本で活動している者もいる。時が経つのは早い。ライターが勝手にやったこと、あの時の当初の会社発表や説明とまんま同じだ。納得できない私は「でも小島さんも個人的にサイトと関係なくリプを飛ばしたりもするでしょう」と曖昧な言葉を投げてみた。「そりゃもちろんですよ、私だってテラハは観てましたからね。ムカつくこともありましたよ」 色白で小太りの小島さんの細い一重が眼鏡越しにいっそう細くなる。ムカつくこともあるからなんなのか。私はなんとか平静を装い、どういう人を狙うのかと訪ねた。PVが稼げて記事になる人なら誰でもいいのか。「ファンネル(※護る論陣を張る支持者や仲間)が多い奴はダメですね、批判が殺到しても美味しい炎上は難しいし、うっかりするとこっちが攻撃を受ける。そういうインフルエンサーはネット訴訟にも詳しいから面倒です。あと政治もだめ、ネトウヨ界隈は最近金にならない。それくらいの利用価値しかないんだからがんばって欲しいんですけど、あいつら口ばっかです。だから急に話題になったタレントとか若手の声優、テレビで目立つ素人とかがいいですね。フォロワーが多くても信者は少ない人で、ちょっと反応を見て弱そうだったら完璧ですね。メンタル弱いくせにいちいちレスを返してくるような人です」 弱い人を狙うということか。ファンネルとはフォローしてくれているアカウントの中でもとくに熱心なファン、信者が味方になってリプで反撃することを指すスラングで、よく「あの芸能人叩くと、信者(フォロワー)のファンネル飛んでくるからさー」のように使う。やはり小島さん自身も自作自演で、その複数のアカウントを使って炎上に加担しているのではないか。まとめサイトのネタを作ったり、誘引しているのではないか。「それはありますよ。炎上させるのに焚き木はなくちゃね。クソリプ飛ばしたり複数のアカウントでまとめるために自作自演はしてます。それはまとめサイトの多くがしてますが、違法ではありませんね。これ、女子プロレスラーの話ではないですよ」 違法ではないから何をしてもいいのか、人間を何だと思っているのか。みな生きている生身の人間だ。家族もいる。木村花さんを一生懸命育ててきたお母さんがいる。誰にだっている。なぜ縁もゆかりもない小島さん、いやお前にそんなことをされなければいけないのか。「だからその女子プロレスラーと絡めるのやめてもらえます? だいたいなんで怒ってるんですか? あんたらマスゴミとやってることは一緒ですよ」 泥棒と一緒にされては困る。これまでのオタク業界でも、ルポでも私自身が経験しているが、出版くずれでアングラに染まったようなこの手の人は無敵。社会的に失うものがないから犯罪を起こすことへの抵抗がない、敵が存在しない、そんな無敵の人に何を言っても無理だ。私はこれを記事にしてもいいかと念を押したが、全然問題ないと言う。確かにさっきのキュレーションサイトの事件ではないが、所詮それ未満の規模でしかないまとめサイト管理人など、たとえバレたとしても、世間は小島さん個人への興味などたいしてないだろうし、失うものもたかが知れている。「食ってくためには何だってやりますよ。自分に関係のない奴が死んだって知ったこっちゃありません。誰だってそうじゃないですか? あんたもそうでしょ、かっこつけてバカですか。その女子プロレスラー、死んでありがとうって言って炎上してる奴いるの知ってます? 他にも似たような奴いますよ、そいつのとこ行ったらどうですか? そんな奴、手口が違うだけでいっぱいいますよ、みんな他人のことなんかどうでもいいんですよ、嫌ならネットすんなよ!」「コロナになりました」アカウントもフェイクだらけ 私はこういう人をたくさん見てきた。「死ね」と書いてみたと思えば「叩いた奴を晒せ」と別のアカウントを使ってあおり、自作自演で盛り上げている。思考が言葉になり、言葉が行動になり、行動が習慣になり、習慣は性格になる。そして小島さんの性格が、いま現在の運命につながっている。マザー・テレサの言葉そのままだ。そして「人間がほんとに悪くなると、人を傷つけて喜ぶこと以外に興味を持たなくなる」というゲーテの言葉も思い出す。歴史上の偉人でもこのような人にはお手上げだったのか。どの言葉も真っ当すぎて陳腐に感じるかも知れないが、真正面から受け取ったほうがいい言葉だ。過度のニヒリズムはいずれ死にたくなるからやめておけ。「偉そうに。個人と思ってなめないほうがいいですよ、きっちり”お話”をする人もうちにはついてますから」 それは弁護士だろうか、小島さんは「きっちりお話をする人」と言っていた。この場合は反社(反社会的勢力)、イリーガルな連中のことだ。脅しているつもりか。それでもこれ以上こじれるのはまずい。私はオタク話でごまかし、他愛もない話のままマンションを後にした。かつてのオタク業界、とくにオタク系、アキバ系小売の劣悪な環境や待遇、そして使い捨ての実態は知っているし小島さんもその口だ。同情はするが、だからといって人様の子を誹謗中傷する、扇動するのは間違っているし、それを商売にするのは悪質過ぎる。しかし皮肉なことにコロナで在宅勤務や学校が休みということもあり、PV数は順調だという。たくさんの見る人がいるから、小島さんのような連中にとっても金になる。お手軽でアンモラルな金稼ぎの道具に成り果てたネットビジネス、職を失った中高年や、働くことのままならない子持ちの主婦にまで広がっている。「私はコロナになりました、ってアカウントもうちがやってますからね、実際に取材受けてる本物は別にして、うちも含めてフェイクだらけですよ」 しばらく後、インスタントメッセージで届いたこの内容はもう理解の範疇を超えていた。コロナに乗じて悪質なフェイクを撒き散らし、またまとめて金にするのだろうか。小島さんは金のためと言うが、ルサンチマンも垣間見える。「あんまり深入りしないほうがいいですよ、アングラ系のネット関係者が日本にいなくなる理由、わかるでしょ、それに日本人だけじゃないんだよ」 ときに警告は脅しにエスカレートした。いわゆる「オタクヤクザ」ということか。どれも昔からの脅し文句だ。純粋なファンは知らなくていい世界だが、かつてオタク業界のごく一部だがアニメやゲーム、声優事務所のバックにはヤクザがいた。もちろんすべてがそうではないが、私が経験した中では、アニメの記事を載せるだけで100万円を要求されたり、専属でもないのに「うちの○○に仕事の依頼したのおまえ?」と人気女性絵師絡みで直々に脅しをかけてきたゲーム会社の社長兼組関係者などいくらでもあげられる。裏の顔はホスト狂い、反社の彼氏持ちのアイドル声優だっていた。いま彼女の声を聞く機会はほとんどない。コンプライアンスが厳しくなり、アニメやゲームが巨大産業となるにつれて連中のつけ入る隙は減ったが、オタクヤクザは2000年代以降、より安全で金になるネットに暗躍している。アニメやゲームと違うところは、一般人も加担者として巻き込まれているところか。オタクヤクザについては暴露も含めて本気で書きたいが、有名どころ、有名人も多いので実際に書いたら大変な騒ぎとなるだろう。近年では震災復興、東北絡みのオタク商売がヤバかった。「日野さんも編集長やってたくらいだから、大手同人サークルの貴重なのとか大量に所有してるんでしょ、無料同人サイトやりなよ、儲かるよ」 で、脅したと思えば小島さんからは抱き込みのつもりか違法海賊サイトのお誘いもあった。相手にする価値もない。一般商業の海賊版サイト「漫画村」の事件は摘発されて当然の違法サイトだが、二次創作の同人誌を勝手に頒布しているサイトなどは違法であっても権利者の意向次第のグレーな存在であり、ましてアダルトが大半なのでいまも野放しだ。 世界を見渡せば、東欧やアジアの貧しい小国などは国家規模で違法配信やフェイクニュースを利用した広告ビジネスで稼いでいる。情報系を専攻する貧国の大学生はそれで留学費用を稼ぐ。かつては一攫千金のためのアンモラルだったのが、貧者のセーフティーネットとしてのアンモラルに変わろうとしている。副業がてら小銭稼ぎのフェイクを垂れ流す貧乏サラリーマンや自称自営業など珍しくもない。だからこそ、小島さんもべらべらと得意げに語ってくれたわけだ。承認欲求の歪み、鬱結した心のはけ口としてのルサンチマンもあるのだろう。このコロナ禍、オタク業界は瀕死の状態だ。実店舗は次々と閉鎖、私にも「会社を辞めました」というオタク業界で働く連中の挨拶メールがよく届く。この業界の雇われの定年は早く、「仕方なくフリー」が大半だ。手っ取り早く小島さんや彼の使う外部スタッフ連中のようなアングラに手を染める人はこれからも増えるだろう。 この取材はもう2ヶ月前のことで、その後に断片的なやり取りはあったものの、他の取材が多忙なことや諸処の面倒事も重なり一時的に放置していた。それを再構成したので時系列がいびつになってしまったこと、中途半端にこうして表出しすることは本意ではないが、伝える意味はあると考える。もっとも、情けない話だがその後の諸事情で書けない揉め事含め、私の手に追えるものではなかったのかもしれない。 人類史上初めて世界中に誰でも悪口を言いたい放題撒き散らせる、ときに他人を自死に至らしめることすら出来る匿名の武器、それで金を稼げる新たな錬金術に、一般人はもちろん、反社会的勢力やその尻尾が手を染めている実態。総務省が誹謗中傷に関する問題に取り組む姿勢を見せたが、せいぜい腹立ち紛れの個人が吊るし上げられるだけで、組織は痛くも痒くもないだろう。この件、途中で「深入りすんな」と別のアングラ系ライターの知り合いからも注意されたが、私が思うよりずっとネットの誹謗中傷やフェイクニュースの根本病理は深く、そして恐ろしいものだった。現状では違法ではないものが大半だが、仮に違法であっても微罪、もしくは民事である。そして悲しいかな、著作権違反のコミックを読み漁る泥棒読者や誹謗中傷のフェイクに面白がって加担者する悪質なユーザーが一定数存在し、こういったアンダーグラウンドな連中のアンモラルな行為を肯定している。これが私たちの手に入れた、輝かしい未来が待っているとされたネット社会とその現実である。●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年、著書『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー、『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)上梓。近刊『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社)寄草。
2020.08.15 07:00
NEWSポストセブン
やらせ番組が作られてしまう理由は…
『イッテQ』ほか“許されないヤラセ番組”が量産される背景
 女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が自殺するという悲劇を招いた恋愛リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)や、出演者が「台本を渡された」と告白したドキュメンタリー番組の『ザ・ノンフィクション』(フジ系)など、「テレビとヤラセ」の問題がクローズアップされている。 過去には2013年に対決バラエティ番組『ほこ×たて』(2011~2013年・フジ系)で、ラジコン対決の回で敗退した出演者がヤラセ被害を告発、番組は打ち切られた。 この問題点は、『テラスハウス』にも通じる「出演者が傷ついてしまった」ということだろう。「真剣勝負だと思って参加した出演者にヤラセをさせたため、傷つけて告発に至ってしまった」(テレビ関係者) 2018年には『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)の人気コーナー「世界の祭り」で、一部の祭りは現地コーディネーターが番組のために用意した「架空の催し」だったことが判明し、企画の中断を余儀なくされた(2020年3月に企画再開)。 同じ紀行企画でも、前人未踏の秘境探索のはずが先にカメラマンがいた『川口浩探検隊』(1976年~1986年に放送された『水曜スペシャル』・テレビ朝日系)と『イッテQ』とでは何が違ったのか。『世界まる見え!テレビ特捜部』や『恋のから騒ぎ』など、数々の人気番組を手がけてきた元日本テレビプロデューサー・吉川圭三氏が語る。「『イッテQ』はイモトアヤコの登山企画など、リアルさを前面に出して成功してきました。しかし、祭り企画も“ガチで挑戦している”という作りにしてしまったので問題になった。昔の番組は最初からリアルさをアピールしない遊びがあった。そこが根本的に違うんです」 この指摘は、紀行バラエティ番組『クレイジージャーニー』(2015~2019年・TBS系)にも当てはまる。希少生物を捕獲する旅に同行する中で、ロケ前に準備していた生物を、“あたかもその場で発見したかのように”放送していたことがわかり、打ち切られた。「2016年にギャラクシー賞を受賞したこともあり、どこかで“しっかりしたドキュメンタリー感”を出すようになった。いま思えば、怪しげな紀行番組というスタンスを貫くべきだったのかもしれません」(TBS関係者) 同じく「珍種の新生物」を追い求めた番組としては、「人とチンパンジーの中間に位置する未知の生物」という設定のオリバー君が登場した『木曜スペシャル』(1973年~日テレ系)が挙げられるが、「『クレイジージャーニー』と違い、オリバー君の場合はそもそも新種だと信じている視聴者が少なかった(笑い)。真面目に追及すること自体がバカバカしい作りになっていた」(テレビ局OB)。テレビが権威を持ってしまった 元日テレプロデューサーで『中居正広のブラックバラエティ』や『全日本プロレス中継』などに携わった京都芸術大学客員教授の村上和彦氏は、昨今の番組が「視聴者を絞りすぎている」点が問題だと指摘する。「『テラスハウス』にしても、それがリアルだと信じてしまう若い視聴者層に向けてのみ作っている。リアルとグレーのギリギリを攻めて、『くだらないけど本当っぽいな』と大人の視聴者に思わせる演出力が不要になってしまった。だから『リアリティ』という言葉の“含み”まで表現できない。 結果、『騙された!』という若い視聴者によって大炎上して、番組側も後手に回らざるを得なくなる。テレビが世帯から個人のものになった現代では仕方ない部分もありますが、少なくとも大人も見ている可能性があるということを想定して作っていれば、安易にリアルっぽさを売りにしなかったはずです」 虚実の境目を“ボカす”演出力の欠如──それもまた、「許されないヤラセ番組」が量産される一端なのかもしれない。吉川氏がこう話す。「言ってしまえば、テレビが権威を持って、作り手も視聴者も“まっとうなもの”だと勘違いしてしまったんですね。コンプライアンス重視の風潮もそれに拍車をかけた。 でも、テレビは本来、遊びがあって、そんなに崇高なものじゃないんです。そこに立ち返らないと、同じことが繰り返されると思います」※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号
2020.07.31 07:00
週刊ポスト
渡部へ壮絶バッシング 「やってもいい誹謗中傷」はあるのか
渡部へ壮絶バッシング 「やってもいい誹謗中傷」はあるのか
 複数女性との不倫が報じられたアンジャッシュ・渡部建(47)へのバッシングが止まらない。不倫した人物がネット上で叩かれ続けるのはおなじみの光景になったが、渡部にも「死ね」などといった誹謗中傷が多数投稿されている。 こうしたことから、恋愛リアリティーショー『テラスハウス』に出演していたプロレスラー・木村花さんが、SNSでの誹謗中傷に苦しんだ末に亡くなった時のことを引き合いに出す声も多い。 当時、木村さんの死を悼み、誹謗中傷することを嘆いていたような人が渡部には苛烈な誹謗中傷をしている、という主旨の指摘をしたツイッターユーザー「アナ吉」氏のツイートには20万の「いいね」がついた。 同氏に対しては、「渡部は非難されるべきことをした」といった反論が寄せられているが、氏は非難と「死ね」などの誹謗中傷は別であると説明する。ただし、木村さんと渡部の件はまったく別と考えるべき、と考える意見も多数。その際の根拠は、大別すると以下のとおりだ。【1】不倫をした渡部は絶対悪。叩かれるべきである。【2】渡部は様々な人を不幸にし、迷惑をかけたが、木村さんはそうではない。【3】木村さんは「コスチュームを勝手に洗った同居人に激しい口調で責めただけであり、その程度で誹謗中傷を書く人の方が悪い。今回渡部に誹謗中傷をする人間には“正義”がある。 そもそも「誹謗中傷はよくない」という話だったにもかかわらず、今回の事件を受け、自然に「誹謗中傷をしていい相手・よくない相手」という分類がされているのだ。 では、果たして「正しい(されて然るべき)誹謗中傷」というものはあり得るのか? 長年ネット上の誹謗中傷を見続けてきた、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏はこう語る。「結局、絶対的な『正義』なんてものはない。その時々の感情に応じて、個々人が『正義』か『不正義』かをジャッジしている“一億総裁判官”“一億総閻魔大王”みたいな状態になっています。木村さんの件では『あんなに同居人を責めないでもいいのに!』と思った人たちが、木村さんを攻撃した。 渡部の件では、『不倫はいけない!』と考えた人が渡部を攻撃した。その時々の『正義』により、叩く対象は変わってくるわけです。どちらがより悪らかは、個々人の判断に委ねられている。 つまるところ、そこにはロジックなんてないんです。だから、基本的には『誹謗中傷は良くない』ということを認識しつつも、自分の中の正義感次第で『これはしても良い誹謗中傷』というルールを作ってしまっている」 だからこそネット上ではダブルスタンダードが指摘されるわけだが、中川氏は、そのツッコミを受けた際、ロジカルに反論するのは難しいと述べる。「それぞれが勝手に作った『正しい誹謗中傷像』が、万人が納得するものであるわけがない。だとしたら、何か言いたいときの作法としてあり得るのは、『私は許せない』『私はイヤだ』など、あくまでも自分の感情を出すことだけではないでしょうか」 結局「正しい誹謗中傷」は、個々の「独自ルール」によって作られているということ。「正しさ」を議論するのは不毛ということかもしれない。
2020.06.16 16:00
NEWSポストセブン
有名人が相手なら何を言ってもよい?
「有名税」だとSNSで匿名の中傷リプを飛ばす若者の末路
 リアリティ番組「テラスハウス2019-2020」(Netflix及びフジテレビ系)に出演中だったプロレスラー木村花さんが急死、その背景のひとつにSNSでの誹謗中傷があったことが社会問題とななった。木村さんのSNSには一時、一日100件近い誹謗中傷がよせられていた。同番組は打ち切りが発表されたが、問題は残されたままだ。木村さんに限らず、SNSでは個人を標的にした誹謗中傷が多い。SNSのトラブル実態に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、SNSでの誹謗中傷実態と対策について解説する。 * * *「ネットでそう書いてあったから信じただけ。自分が書き込んだことは誹謗中傷に当たるのか。訴えられないか」 40代パート主婦のAさんは、「○○(女性タレント)はビッチ。未成年の頃は窃盗やカツアゲの常習犯だった」という旨の投稿をしてしまったのが今になって心配だという。 もともとその女性タレントのことは何とも思っていなかったが、ネットでそのような噂を見つけて腹が立ち、つい書き込んでしまったそうだ。書き込みは既に削除したが、何かの拍子にタレントから訴えられるかもしれないと不安になるという。「パートをしても生活が苦しいのに、悪いことをしている人がタレントをしていい生活をしているのが許せなかった。ネットでも複数の似た書き込みを見かけた。ただ、お金もないし訴えられると困る」 木村さんの悲劇は、SNSでの誹謗中傷が引き金のひとつとなって起きたと言われている。SNSなどのインターネットで誹謗中傷が多い理由は、匿名性の高さが原因だ。匿名性が高いと、人は攻撃性が高くなることが知られている。Aさんの例のように、うっぷんを晴らすために使われることも多い。中には、正義感を持って非難批判を書き込む人も少なくない。 有名人やタレントなどに対しては、「有名税」という考え方がある。著名人であることを理由に、恋愛関係や不祥事が報じられ、結果として肖像権などが制限されることを税金にたとえて使われるのが「有名税」だ。それを勝手に拡大解釈して、SNSで有名人を非難批判していいと思う人もいるようだ。しかし、噂でしか知らない話は当然事実とはかけ離れているものだし、相手の尊厳を傷つけてよいわけがない。何より、悪意に深く傷つき、木村さんの例のように悲劇につながることもある。◆匿名の誹謗中傷も特定される もし、インターネット上で誹謗中傷したとしても、ネットで悪態をついている自分が誰なのかは自分にしか分からないし、何か具体的に咎められることはないと思っているかもしれない。 だが、インターネット上での匿名の書き込みは、見かけだけで実際には実名と紐付けられている。スマホでもPCでも、それがネットに接続すると必ずIPアドレスという、ネット上の住所がつく。このIPアドレスから匿名で発言しているユーザーが契約している携帯電話会社やプロバイダがわかり、そこへ発信者情報開示請求すれば契約者を特定できるからだ。情報開示請求をするためには、プロバイダに対して問題が発生している該当の発信があるURL、掲載された情報、人権侵害になる理由などをまとめて連絡すればよい。 木村さんの悲劇が報じられたあと、木村さんに限らず有名人を誹謗中傷していたユーザーはアカウントを消して逃亡するという動きが多く見られた。もう問題発言は消してしまったし、だいたい匿名だったんだし、自分は匿名のまま逃げられると思っているかもしれないが、そんなに都合よくはいかない。 アカウントなどが削除されていても、そのユーザーが接続した記録であるアクセスログが残っている場合は、情報開示請求ができる。Twitterの場合は1ヶ月間残っているため、すぐに行動すれば対処できる可能性があるのだ。ならば1ヶ月経過すれば責任が追及される心配はないのかというと、そうとは限らない。アクセスログが消去される前にログ保存要請を被害者側がしていた場合は、1ヶ月を超えて保存されていることもあるからだ。 とはいえ、残念ながらSNSは、誹謗中傷する側に都合よくできている。ネットで匿名は見せかけで、実際には実名と紐付けられてはいるが、そこにたどりつくには時間もお金もかかるし、何より精神的な負担が大きい。インターネット上で顔が見えない複数の人に誹謗中傷されると、世界全てに否定されているような気持ちになりがちだ。SNSの名誉毀損で係争した例をみると、実際は非難批判してくる人は一人で複数のアカウントをつくっているケースがほとんどだ。だが、スマホの中では周囲の皆から攻撃されているように感じてしまうため、精神的に追い詰められてしまいがちなのだ。 Facebook Japan、LINE、Twitter Japanなどが参加する一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ)は、名誉毀損や侮辱するコンテンツ禁止を利用規約に記載することを発表。禁止事項についての啓発広報を実施する他、禁止事項等に該当する行為を把握した場合、全部または一部のサービスの利用停止などの措置を徹底するという。◆悪いとも思わずに傷つけるリプを飛ばす また政府は、憲法が保障する表現の自由に配慮しつつ、SNSを提供する企業に一定の責任を課す方法や、誹謗中傷した人への罰則を設けるなど法整備も含めて検討するとしている。匿名の発信者の特定を容易にする制度改正の議論を本格化させる方針を示した。この数年、発信者情報開示の項目への追加が検討されていた電話番号の開示も検討される見込みだ。 SNSの場合、多くはユーザー登録時に携帯電話番号登録も必須となっているため、もし携帯電話番号の開示が決まれば投稿者の特定が早まるので、被害者の負担が大きく減る可能性がある。 これは決して他人事ではない。俳優・演出家の土屋シオンさんは誹謗中傷がひどかった数名を特定したところ、ほとんどが未成年だったという。土屋さんは今後のことを考えて訴えずに直接話をしたそうだ。無視したほうがよいとも言われたらしいが、子供がやってしまったことに大人として向き合い、皆がやっているという逃げ口上を間違いだと伝えるために対話を試みたそうだ。だが、なかなか真意が伝わらない相手もいたようだ。 実際に、若者のSNS利用についてヒアリングしたなかには「嫌いな芸能人にはリプ(リプライ)とかDMとかで『消えろ』とか『テレビ出るなブス』とか送る」という大学生がいた。「注目されている証拠だから嬉しいと思う」という感覚だそうだ。このような若者たちは、悪いとも思わずに相手を傷つける可能性がありそうだ。 SNSで日々、起きているトラブルを見つづけていると、若者が軽い気持ちでこのように加害者になる例が目立つ。加害者になる前に、危ういことをしているのだと教えてくれる大人は少ない。皆がやっているからと繰り返せば、名誉毀損罪や侮辱罪に該当すれば、刑罰を受けたり、民事上の損害賠償を請求される可能性もある。回線の契約者名で請求されることが多いので、自宅に届く法律事務所や裁判所からの文書でいきなり、未成年の子供がSNSで問題を起こしてしまったと知るかもしれない。 インターネットやSNSはとても便利なものだが、ときには深く傷つけられることもあり、両刃の剣となりがちだ。周囲の大人は子どもが他人を傷つけることがないよう、子ども自身が追い詰められることがないよう見守ってあげてほしい。
2020.06.06 07:00
NEWSポストセブン
急逝した木村花さん(Getty Images)
テラハ問題 誹謗中傷を投稿する人以上に責任感じるべきは?
 空中ブランコや富士登山など、体験取材を得意とする『女性セブン』の“オバ記者”ことライター・野原広子(63才)が、世の中の出来事にゆるくツッコミを入れる。今回のテーマは「匿名で誹謗中傷を繰り返すヤツら以上に責任を痛感すべきは…」。 * * *「そんなつもりじゃなかったのに」──。プロレスラーの木村花さんが亡くなり、後ろめたさを感じている人はいまなお、そう思っているのではないか。 インターネット上での途切れることのない誹謗中傷に押し潰されて、22才の木村さんが命を絶った直後から、彼女に罵詈雑言を浴びせた書き込みのアカウントが次々と消されていったそう。心の中で「やべっ」と舌打ちをしてSNSの画面を操作している連中の姿が見えるようではないの。 本誌・女性セブン2020年6月11日号で詳報されたように、事の発端は去年の9月。人気プロレスラーの木村さんが『テラスハウス』(Netflix、およびフジテレビ系)に出演したことから始まる。東京のシェアハウスで繰り広げられる、男女6人の共同生活を映し出すこの番組には台本が一切なく、「恋愛リアリティー番組」という謳い文句がついていた。 その中で、キュートな容姿でズバズバものを言う彼女は、すぐに人気者になる。恋愛に不器用なところも好感度アップにつながった。 風向きが変わったのは2か月ほど前。メンバーの男性が木村さんのプロレスのコスチュームを誤って乾燥機にかけて縮めてしまったことにキレた彼女の様子が炎上。さらに、YouTubeで《“コスチューム事件”その後》と題する未公開映像が追加で配信されたのだ。すると連日、100件を超す「死ね」「消えろ」「気持ち悪い」──もし私が木村さんの身内なら、書き込みしたヤツ、一人ひとりの正体を世間にさらしてやるッ、と思ったに違いない。 でも、いまもっと腹が立つのは、自分の身を隠して、遠くから吹き矢を吹く卑怯者じゃない。そんな輩はどこにだっているもの。それより許せないのは、木村さんのキャラクターを「おいしい」と舌なめずりして、世間にさらし続けたテレビ局よ。 制作から宣伝まで、この番組にかかわっておきながら、「そんなつもりじゃなかった」とは言わせないよ。 誰にとっても、若いときの恋愛は生き死にと一緒。それをテレビのこっち側で寝っ転がってみるのが、面白くないわけがない。特に木村さんのように直球しか投げない子はハラハラして感情移入しやすいのよね。 だけど、作り手は、ただ私らの興味を引けばいいってもんじゃない。彼女がカッとしてつい口にした言葉を世間にばらまいたらどうなるか、テレビ局が知らないわけがないのよ。それをコントロールなしで世に出すなんて、あってはいけないこと。 過去にあった似たような番組が、実はキャラクター設定やシナリオがしっかりある“やらせ”だと騒がれたことがあったけど、この『テラスハウス』もそう…と見る向きが多いよね。なら、悪役キャラを木村さん本人と混同させる演出をしたテレビ局の罪は重いと思うよ。 聞けば、彼女が炎上に悩んでいたことを、番組制作側は知っていたというではないの。そのとき、なぜいったんお休みをさせなかったのか。 いや、彼女を番組に出す前に、メディア側の人間がつきっきりで、テレビにおける“言葉の加減”や“立ち居振る舞い”を教えるべきだったんだって。 実は私、10代の最後の1年間、ある芸能事務所の近くの喫茶店でアルバイトをしていたことがあるの。そのとき、ひよっこ時代の大女優・大歌手たちがマネジャーに愚痴をこぼしたり、こんこんと説教されている姿を日常的に見ていたんだよね。たとえば、ある近眼のアイドルは、話しているうちに眉をひそめてしまうクセがある。それを女性マネジャーが「目っ!!」と一喝し、アイドルが直す。それを何度も繰り返していた。世に出る前には、世に出していい顔と覚悟をつくる時間が必要なんだって。 その2年後、私は21才のとき、男性週刊誌で女性の性の告白記事を書き始めたんだけど、5、6才年上の編集者から、手取り足取り、原稿の書き方から、ライターとしての振る舞い方まで教わったのよね。それも、かなりゆるい言葉で、時間をかけて。大失敗を笑いながらカバーしてもらったこともあったっけ。 もし木村さんの身近に、私が世話になったような“業界の大人”がいたら、あそこまで追い詰められなかったのではないか。それを思うと悔しくて仕方がないんだわ。※女性セブン2020年6月18日号
2020.06.04 07:00
女性セブン
【動画】木村花さん、周囲を気遣う甘え上手 テラハとかけ離れた素顔
【動画】木村花さん、周囲を気遣う甘え上手 テラハとかけ離れた素顔
 5月23日に亡くなった女子プロレスラーの木村花さん。出演していた『テラスハウス』では強気で、まっすぐで、感情的な言動が放送され、そのたびにネットでは誹謗中傷の言葉が並びました。しかし、本当の木村さんはテレビでの姿とは違うものだったようです。プロレス関係者によると「モラルもあって、礼を重んじていた。プロレスデビュー後はヒール役になったけど演じていただけで、むしろ年上に囲まれることが多かったからか周りに気を使いながらも甘え上手でしたよ」とのことです。
2020.06.03 07:00
NEWSポストセブン
女子プロレス界期待の新星だった(写真/GettyImages)
テラハ事件で考察 匿名で誹謗中傷する者をどう罰するべきか
 スキャンダルを起こしたワケでも事件を起こしたワケでもない。ただテレビに出ただけで、なぜ彼女は死に追い込まれなければならなかったのか……数々の炎上を研究してきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、すべてのネットユーザーに警鐘を鳴らす。 * * *「恋愛リアリティーショー」の『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演していたプロレスラー・木村花さん(22)が亡くなった。同番組では男女6人の共同生活を描くが、彼女は気性の激しいキャラとして登場しており、勝手にリングコスチュームを同居人男性に洗濯・乾燥された結果縮んでしまい、彼に激怒する。 これを見た視聴者からは「お前が早くいなくなればみんな幸せなのにな。まじで早く消えてくれよ」「死ね」などと書かれた。多い日には100件の誹謗中傷があったという。役柄上の荒々しさと激しいキャラを許せないと感じた人間がそれだけ存在したということだ。所属するプロレス団体の代表は、誹謗中傷を書き込み続けた者を特定し、法的措置を取ると宣言している。 これでいい。目の前にいる人間に対して「死ね」などと言った場合は「なんだオラ!」と抗争になるものだが、ネットであれば何を言ってもいいと安易に考える者が多過ぎる。この手の人間は、誹謗中傷を受けた者がカネと時間をかけて執念の追い込みをして実際に訴えた場合は、「軽い気持ちだった」とのたまう。「死ね」と安易に書く背景には、「自分は視聴者様だから文句を言う権利がある」という意識もある。 今回も木村さんを執拗に攻撃していた者は軒並IDを削除して逃亡した。ネットにはこいつらに対して「震えて待て」の書き込みもあるが、まさにそうだ。お前がやらかしたことの重大さを今こそかみしめるが良い。 元々ネットに誹謗中傷を書き込む人間がどんな人間か? ということについては、ステレオタイプ的に「無職の暇人」といった捉えられ方をされていた。実際、こうした人物は多いし、横浜DeNAベイスターズの井納翔一投手の妻を「ブス」と書き続けた女は200万円の損害賠償訴訟を起こされ「そんなに払えない」と雑誌の取材で泣き言を口にした。 とはいっても、誹謗中傷をする人間には「経営者層も多い」といった分析もあるわけで、書き込む人間はありとあらゆる層であると考えられる。私の知り合いでそれなりの地位にある男性も特定人物に日常的にツイッターで罵詈雑言を浴びせていたが、あっけなく身元がバレてしまい、その後会社では上司から注意を受け、出世の道が途絶えてしまった。◆バカに合わせるしかないのか? この騒動では、正直、苛烈な誹謗中傷をした者が特定され、実名報道されるべきだと思っている。ちょっとネットの「無法地帯ぶり」は看過できない状況になっている。 今回の木村さんの件では、見知らぬ人間から誹謗中傷を受けることがどれだけ精神にダメージを与えるかを如実に表したといえよう。 ネットがない時代だって、テレビを見ながらお茶の間では「こいつ、本当にブスでつまんねーな。芸能界から消えて死んでろよ」といったことは話されていた。だが、今の時代、これを直接本人のSNSアカウントに伝えられるのである。 5月26日、SNS各社で構成する一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構は、緊急声明を発表。名誉毀損や侮辱などを意図した投稿を禁止し、サービスの利用停止などの措置を徹底すると発表した。 要するに「マナーの悪いヤツは去れ」ということだ。しかし、別のメールアドレスから再びIDを取得するなどはできるわけで、完全に解決するかは分からない。場合によっては文脈関係なく特定単語を使用すると利用停止になるかもしれない。たとえば「死ね」が禁止ワードだった場合、「『死ね』なんて書くのはまずいよね」と書いた場合も自動的にIDが凍結される恐れもある。「言葉狩り」のような状況にもなり得るわけで、一部の過激なバカにより、他のユーザーの利益が失われることにもつながりかねない。 だが、今後はそうしたバカに合わせる必要があるということだろう。こいつらが暴れまくることにより、社会からは自由が失われ、規制だらけとなる。コロナ禍でも、緊急事態宣言や休校措置が取られたのに海外に行き感染するバカにどれだけ振り回されたか。 彼らをなぜ止められないのかといえば、「バカだから」と言うしかないのだ。こうしたネットの誹謗中傷関連事件やいわゆる「バカッター(バカなツイッター)騒動」が発生するたびに私は「なんでこんなことをするのですか?」と取材を受けてきた。 毎度何らかのまともな分析をしようと試みるも、結局は「バカだから」としか言いようがないのだ。世の中にバカがいる以上、バカはネットでもバカである、というだけだ。 しかしながら、ここでキチンと考えておきたいのが、自らが被害者・加害者になり得るという「当事者性」である。「著名人には何を言ってもいい」という「有名税」的感覚が今回はあったと思われるが、「有名税」なんてもんはない。誰もが石を投げつけられるべきではないし、いくら著名人であろうとも感情はあるし、罵詈雑言を浴びせても良いわけではない。小学生の道徳の教科書のようになってくるが「自分が言われてイヤなことは言ってはいけない」という話なのである。 あと、自分が被害者になる可能性もあるわけで、正直、宣伝材料がない普通の勤め人や定年退職者はSNSに何も書かない方がいい。著名人や企業は宣伝する材料があるため、積極的にSNSを更新する必要があるが、いちいち一般人が「この俳優、死んでろよ!」などと書く必要があるか? 結局、その人物のファンから「このジジイを晒せ! 正体を暴け!」などと総攻撃を食らって炎上し、精神を病むだけである。SNSなんて無名人はやらないでいい。雉は鳴かずば撃たれないのである。※週刊ポスト2020年6月12・19日号
2020.05.31 16:00
週刊ポスト
テレビはなぜ「演出」をするのか 現場から感じられる苦悩と傲慢さ
テレビはなぜ「演出」をするのか 現場から感じられる苦悩と傲慢さ
 5月23日、恋愛リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演していたプロレスラー・木村花さん(享年22)が、急逝した。木村さんは番組出演以来、SNSで苛烈な誹謗中傷を受けていたこともあり、そうした風潮を生み出したテレビの「演出」に対しても多数の批判がされている。 その一方で、「現場のスタッフも悩んでいる」と言うのはネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。テレビ媒体でコメントを求められたりする機会も多い中川氏が、テレビがなぜ「演出」をするのか、その背景を分析する。 * * * 生放送以外は収録となります。スタジオでの収録もありますし、会議室で「識者」として様々なことを語り、これが映像として使われることもあります。こうした時、活字メディアの取材では存在しないのが「演出」です。 ディレクターから「ここは〇〇のようにしていただけませんでしょうか」「ここで〇〇と言っていただけませんでしょうか」といったお願いが出るのです。こうした場合、大抵は申し訳なさそうな「歯を食いしばり、目を細め、下を向く」といったポーズをされます。 活字メディアの場合は、「今おっしゃった意味をもう少し補足してもらえますか?」といった依頼が来るのですが、テレビの場合は「このようなことを言ってもらえますか」ということにならざるを得ない。なぜなら、そのシーンをそのまま映像として流さなくてはいけないからです。 何らかの発言を出演者がした場合に「この後、この方は〇〇と言っていました」などとスタジオのアナウンサーやMCが補足するような演出では、まどろっこしくなってしまいます。だから、その場の撮影で「制作側が求める決めゼリフ」を言うように求められるようになります。 求められた側は「まぁ、そこまで全体の趣旨からは離れていないからいいか……」と、要望に応えることになります。何しろ、このまま「いや、そんな要求には従えませんよ。私は私の思ったことを言っただけです!」などと言ったら、目の前にいる若いディレクターがエラい人から「なんだよ、元々の構想通りになっていないじゃないか! 撮り直せよ!」なんて言われる可能性があるのでは……、と逆に心配になってしまうのです。 テレビは雑誌とはケタ違いの人々が目にするわけで、より、多くの人に分かってもらえるようなコメントが必要になります。だからこそ「演出」が重要になってくるのです。 コロナのせいでもう皆さんお忘れだとは思いますが、今年1月、ネットでの最大の話題は「タレント・木下優樹菜とサッカー選手・乾貴士の不倫疑惑」でした。 この時、クローズアップされたのが、この疑惑を元々特定(?)したネット上の「鬼女」の存在です。ネット上の情報から点と点を結びつけ、一本の線にし、様々な疑惑の解明をしてきた人々です。 かなり「誤爆」も多いですが、匿名掲示板・5ちゃんねるでは「日本のCIA」などとも言われています。◆「こう言ってください!」 当時、私もある雑誌で鬼女についてコメントを受け、自分の知り合いで過去に「鬼女」的な「特定作業」をしていた女性・Aさんのことも紹介しました。Aさんの経験談も含めて同誌の特集に掲載されたわけですが、雑誌発売後、この記事を読んだテレビの制作スタッフから私に電話があり、「鬼女の解説をしてください。あと、どなたか『鬼女』はご存じでないですか?」と聞かれました。「解説をするのは構いませんし、記事に出ていた女性は私の知り合いです」と伝えます。すると「その方の連絡先も教えてください」となる。私はAさんの許可を得たうえで、連絡先を伝えました。 そして、我々は個別に取材を受けたのですが、「やっぱテレビの人は辛いだろうな……」と思うことがありました。私の場合は、元々「日本のCIAと呼ばれることもある」と言及していただけに、ディレクターからは「『こうしたことから“日本のCIA”とも呼ばれることもあるんです!』と言ってください!」とお願いされました。 私の知り合いのAさんも「『私は“鬼女”です』とまずは最初にキメのセリフを言ってください!」とお願いされました。お互い「しょうがねーなー」といった気持ちはもったものの「明日オンエアです!」みたいな状況なだけにここでモメても仕方がないため、その要望に従います。 これがテレビで「過剰演出」がまかり通る理由の一つでしょう。多分に体育会的な「これじゃぁ、キャッチーじゃないんだよ!」みたいなことをエライ人から言われ、下っ端が後で苦しむわけですね。 テレビの仕事をするたびに「彼らは元から決まっていた流れに従うコメントがほしいんだろうな」ということは思うようになります。だから100%同意できぬものの、85%ぐらいは同意できる発言をするように出演者もなっていくし、要望にも応える。『テラスハウス』の件については、これが行き過ぎた例でしょう。相手が「専門家」「一般人」であれば、「さすがにこれ以上は番組の筋書き通りにはコントロールできないな……」といった遠慮はあるものの、夢を持って出演する若者に対しては「この番組でブレイクすることは可能なんだけどね。キミ、もっと我々の要望に応えて欲しいんだけど……」といったゴーマンさはあったかもしれません。 こうした「演出」が発生する背景には「視聴者はこれくらいシンプルでなくては理解できない」という見下した感覚があるのでは、とも思っています。
2020.05.30 16:00
マネーポストWEB
【動画】テラハスタッフの告白「台本ないがストーリーある」
【動画】テラハスタッフの告白「台本ないがストーリーある」
 出演していた『テラスハウス』での放送内容が原因で、SNS上で誹謗中傷を受けていた女子プロレスラー木村花さん。花さんの死を受けて、番組の元スタッフが明かしました。 元スタッフはテラハについて、「台本はありません。でもストーリーはこちらで作っていました」とコメント。撮影前にはどのような設定で、どんな方向に恋愛を動かしていくのかスタッフから出演者に伝えられ、指示通りに撮れないときは“テイク2、テイク3”まで撮影することもあったそうです。
2020.05.29 17:00
NEWSポストセブン
急逝した木村花さん(Getty Images)
テラハ問題を理解できない若者たちの闇 「何が問題なの?」
 5月23日、女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が急逝した。花さんは恋愛リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系・Netflixでも配信)に出演していたメンバーで、女子プロレスで培ったヒールとしての役割を演じた彼女の姿に、かねてよりネット上では多くの誹謗中傷が飛び交っていた。 27日、フジテレビは同番組の打ち切りを発表。フジテレビと制作会社は「木村花さんがご逝去された事について、あらためてお悔やみ申し上げます。またご遺族の方々にも深く哀悼の意を表します」とのコメントを発表している。 一般人も含めた出演者たちの恋愛模様を赤裸々に描くというコンセプトの「恋愛リアリティショー」には、これまでも出演者のデマ情報の流布やSNSでの執拗なアンチコメントなどが問題視されてきた。 今回の木村さんの訃報に触れ、多くの人たちが誹謗中傷の書き込みに対する非難の声を上げている。しかし、この痛ましい出来事を受けてもなお、「何が問題なのか分からない」という若者たちもいるという。私立大学で教鞭を取る情報学系の研究者A氏(30代)は、今回の件を受けての学生からの反応に驚いたという。「学生に今回の件について尋ねたところ思わぬ反応があった。『テラハのファンだった』という女子学生の一人は、『彼女が亡くなったのは個人的な問題なのに、なぜ番組が叩かれるんですか? 番組を作っている人と、番組のファンが被害者です!』と言ってきた。このコメントには唖然としましたが、他の学生も『ネットの言葉なんか無視するべき、スルースキルがあれば起こらなかったと思う』、『アンチも養分だと思わないと。正直、続きが気になっていたし、新しく加入したメンバーがかわいそう』などとコメントをしていたんです。肩透かしを食らった気持ちでした。ここまで、言葉の持つ力は軽いものなのか。 木村さんと同年代の視聴者の声を聞き、自分自身の考えが甘かったと猛省しました。日本のリテラシー教育にかかわる研究者、教育者として、ここまで根深い問題があるとは、今回の件まで理解できていなかったのです」(A氏) A氏はさらに、学生へ向けて「芸能人や著名人のSNSにコメントをする(リプライを送る)ことはどう感じるか? リプライしたことはあるか?」と尋ねたところ、多くの学生から「友だち感覚でリプを送れる」、「つまらない芸人には、リプで『全然おもんない』と送ったことがある、「ふざけてDMを送る友達も多い」などという反応があったという。同じツールを使う者同士、フラットな対人関係にあると錯覚するのではないか、と付け加えた。 今回、テラスハウスに関しては過剰な演出や台本の有無なども話題にされているが、「議論をそこに矮小化しないで欲しい」と語るのは、別の私立大学で社会学を教えるB氏(40代)だ。「視聴者のリテラシー不足を非難する前に、そうした激情型の視聴者を煽り立て、そのネガティヴなエネルギーでコンテンツの価値を増幅させようという制作意図自体に限界が来ていた。経済学でいう『アテンション・エコノミー』(※注目や関心の高さが経済的利潤を生むという概念)が悪い形で発露した事例ではないでしょうか」(B氏)「リアリティショー」という番組構成に対して、視聴者が「現実とドラマの世界を区別できない」という指摘についてはどうか。B氏はこう語る。「『リアル/バーチャル』以前に、私たちはある種のステレオタイプのもとに、対象を『見たいように見る』。たとえば、今回の場合は番組制作サイドも視聴者も、木村さん個人ではなく、“女子プロレスラー、ハッキリと意志表示する強い女、個性的なヘアメイクやファッション”といった要素やカテゴリーで彼女を切り取った。か弱く守ってあげたい受動的な女性像とは真逆です。 そして一部の人たちの間には、こういったカテゴリーの女性ならば非難して良いんだ、という認識がある。誹謗中傷する者にとっては、リアルかバーチャルかはどちらでも良い。ただ『叩きやすい要素』、『盛り上がれる要素』があれば良い。そこにジェンダー的な問題が潜んでいることを、もっと私たちは自覚しないといけません」(B氏) 問題はネットリテラシー以前の、より根深いところにあるのかもしれない。
2020.05.28 16:00
NEWSポストセブン
木村花さん、周囲を気遣う甘え上手 テラハとかけ離れた素顔
木村花さん、周囲を気遣う甘え上手 テラハとかけ離れた素顔
「花、帰ってきて! 帰ってきて!!」。5月23日、街が寝静まっているはずの午前3時半、都内で絶叫が響き渡った。女子プロレスラーの木村花さんが、都内の自宅マンションの一室から緊急搬送されたのだ。叫び声の主は、花さんの「さようなら」といったSNSへの投稿から異変を察知して駆けつけた友人。その様子を、近隣住民が目撃していた。「けたたましいサイレンが鳴り響き、救急車や消防車の無数のライトに周囲が照らされていて、夜なのに明るかった。火事にしては火が見えないと思っていたら、ピクリともしないピンク色の髪をした若い女の子が、救急隊員に抱きかかえられながら運ばれてきて、救急車の中で心臓マッサージをされていました。救急車が走り去ると、若い女の人が泣きながら叫んだんです。『花、帰ってきて!』と」 しかし、花さんはその声に答えることができなかった。享年22。あまりにも早い旅立ちだった。「自宅には、母親や知人らに向けた遺書のようなメモが残されていて、玄関のドアには、『硫化水素発生中』と貼り紙がありました。現場の状況から、自ら硫化水素を発生させて、中毒自殺を図ったものとみられています。硫化水素は第一発見者を巻き込むリスクがある。最期まで他人を気遣ったということでしょう」(社会部記者) 女子プロレスラーとして、人気選手だった花さんは、昨年秋から一般にもよく知られる存在になっていた。人気番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演していたからだ。『テラスハウス』(以下テラハ)は、一つ屋根の下でシェア生活をする男女の恋愛模様を描いた“リアリティー番組”。2012年にフジテレビで番組が開始されるや、視聴者は共同生活の中での人間ドラマに熱中した。その後、舞台をネット配信のNetflixに移し、2018年には米『タイム』誌が発表した注目の番組にも選ばれた。昨年5月には、新シリーズがスタートし、花さんは途中から参加していた。 女子プロレスラーとしての花さんは、ヒール役(悪役)として人気を集めていた。そのイメージのまま、リアリティー番組の中でも、強気で、まっすぐで、感情的。そうした振る舞いが放送されるたびに、SNS上には彼女を批判する言葉が並んだ。 が、今回の不幸の引き金になったとされるのは“コスチューム事件”だった。 花さんが「命の次に大切」と語っていた、リングで着るコスチュームが入ったままの洗濯機を、ほかの出演者が誤って使ってしまう。乾燥機にかけられ、コスチュームはよれよれに縮んで着られなくなってしまった。花さんは激怒し、共演者の帽子をはじき飛ばし罵声を浴びせた。 その様子を見ていた視聴者が反発し、SNSに「テラハ史上いちばん最低なメンバーだと思いました」「花死ね」などと書き込み、乾燥機にかけた共演者が番組を去ることが決まると「そっちがいなくなれ」などとダメ押しが加わった。「『テラハ』はフジテレビが制作しており、Netflixで配信された約1か月後にフジテレビ(地上波)でも放送されます。コスチューム事件が3月末にネット配信された時点で大炎上していましたが、5月18日に地上波でも同じ内容が放送されるとバッシングがエスカレート。翌日には未公開映像まで公開され、火に油を注ぐような格好になり、番組史上最大の誹謗中傷の嵐が巻き起こったのです」(テレビ局関係者) 花さんは、3月末の炎上後から精神状態が不安定になり、リストカットをすることもあったというが、地上波放送直後にはインスタグラムで前向きなコメントをしていた。しかし、花さんの目に飛び込むのは、「いなくなれ」「早く消えろ」といった、闇へと足を引きずり込むような言葉ばかり。それからしばらくして、花さんは亡くなった。 花さんは1997年、インドネシア人の父と日本人の母の間に生まれた。しかし、生後3か月のときに父親は自国へ帰り、両親が離婚。同じく女子プロレスラーの母親は、女手一つで花さんを育ててきた。 愛情を持って育てられた花さんは、母親譲りの身体能力を生かし中学校時代には、男子ばかりの柔道部に紅一点で所属し、黙々と練習に取り組んでいたという。「テレビのキャラクターは作られたもので、本当の人間性とは全く違います」 中学時代の同級生は、悔しそうにそう話す。明るく、怒ることなどなかった花さんは、どちらかといえばおとなしく、いじめられるようなこともあったという。「彼女は、ペットにミニ豚を飼っていました。それで、男子から豚くさいとか、そんな悪口を言われていたことがありました。それでも言い返さず、聞こえないふりをして感情を押し殺していました」 その後、母親と同じプロレスラーの道を選んだ。「母親が殴られるのを見るのも嫌で、『自分はプロレスラーにならない』と、親の試合会場で言っていたくらい心優しい子でね。モラルもあって、礼を重んじていた。プロレスデビュー後はヒール役になったけど、演じていただけで、むしろ、年上に囲まれることが多かったからか、周りに気を使いながらも甘え上手でしたよ」(プロレス関係者) 関係者から聞く花さんと、『テラハ』で大炎上する画面上の花さんのイメージは大きくかけ離れている。※女性セブン2020年6月11日号
2020.05.28 16:00
女性セブン
テラハの暴走、現役スタッフが告白 泥臭い人間模様を狙う
テラハの暴走、現役スタッフが告白 泥臭い人間模様を狙う
 女子プロレスラー・木村花さん(享年22)が5月23日、急逝した。花さんは、昨年5月にスタートした恋愛リアリティー番組『テラスハウス』(フジテレビ系)の新シリーズに途中から出演。プロレスでのヒール役のイメージのまま、同番組の中でも、強気で、まっすぐで、感情的な姿を見せていた。そうした振る舞いが放送されるたびに、SNS上には彼女を批判する言葉が並んだ。 そして、今回の不幸の引き金になったとされるのが、番組内で起きた“コスチューム事件”だった。 花さんが「命の次に大切」と語っていた、リングで着るコスチュームが入ったままの洗濯機を、ほかの出演者が誤って使ってしまう。乾燥機にかけられ、コスチュームはよれよれに縮んで着られなくなってしまった。花さんは激怒し、共演者の帽子をはじき飛ばし罵声を浴びせた。 その様子を見ていた視聴者が反発し、SNSに「テラハ史上いちばん最低なメンバーだと思いました」「花死ね」などと書き込み、乾燥機にかけた共演者が番組を去ることが決まると「そっちがいなくなれ」などとダメ押しが加わった。「『テラハ』はフジテレビが制作しており、Netflixで配信された約1か月後にフジテレビ(地上波)でも放送されます。コスチューム事件が3月末にネット配信された時点で大炎上していましたが、5月18日に地上波でも同じ内容が放送されるとバッシングがエスカレート。翌日には未公開映像まで公開され、火に油を注ぐような格好になり、番組史上最大の誹謗中傷の嵐が巻き起こったのです」(テレビ局関係者) 現在も『テラハ』の制作にかかわる番組スタッフはこう話す。「彼女が命を落とすまで、SNSでの誹謗中傷と真剣に向き合おうとしなかった。いまさら…いまさらなんですが…本当に申し訳ないと思っています」 今回の事件を重く受け止め、現役スタッフの1人が重い口を開く決心をした――。◆リアルなはずなのに、テイク2、テイク3《用意したのは素敵なお家と素敵な車だけです。台本は一切ございません》 こんな言葉から『テラハ』は始まる。台本がない中で、花さんはリングの外でも“ヒール”を自ら演じていたということなのか。「確かに台本はありません。でも、ストーリーはこちらで作っていました」 そう明かすのは、『テラハ』の元スタッフだ。そもそも、週に2、3日集まって撮影をするだけで“共同生活”とは言えない状態だったという。「集合したら、撮影前に『どんな設定でどんな方向に恋愛を動かしていくのか』という説明を制作者から出演者に伝えます。出演者は、そのときに“今回はこの人と肩を寄せ合うんだな”“この人と本音で語り合うのか”と状況を把握するんです。デートに行く組み合わせなども制作者側の指示通りに動いてもらっていましたね」(元スタッフ) 指示通りに撮れないときは“テイク2、テイク3”まで撮影することもあったという。「出演者の有名になりたいという欲とボーナスが、事件やハプニングを起こす起爆剤です。私がスタッフとしてかかわっていた頃は、キスをしたら5万円ほどのボーナスを渡していました。ただ、少し前のシーズンからはボーナスを渡さなくてもキスをするようになったし、ディレクターの指示にも素直に従うようになったので、報酬制度はなくなっています」(前出・元スタッフ) 素直に指示に従うようになった理由には、1人の女性スタッフの存在があったようだ。元出演者の知人が語る。「スタッフの中に姉御的な人がいて、一時期からメンバーはその人の顔色窺いばかりしていたそうです。その人に嫌われると出演シーンが減ったり、おいしい“指示”が来なくなる。“姉御”との関係性にストレスを感じて卒業したメンバーもいると聞いてます。有名になりたくてテラハに応募する人が多いので、“姉御”がどんどん絶対的な権力を持っていったようです」◆トキメキより泥臭さに演出を変更 夢を掴むために集まった出演者たちが、“ショー”としての面白さを追求する制作陣の意のままに動かざるを得なくなる。その悪循環が、花さんの心をむしばんでいった。前述の現役制作スタッフが、言葉を選びながら語る。「これまでのシーズンはキラキラしたトキメキ重視の演出で、誰もが憧れる空間を作りあげていった。が、今シーズンからは泥臭い人間模様をより強く狙い始めました。最近の若いSNS世代が避けたがる、生身同士の直接的な衝突を番組内で見せると、その現実とかけ離れた過剰さに、視聴者が反応していきました」 過剰ないがみ合いに呼応するかのように、視聴者も過激になっていった。「出演者同士の衝突が期待通りの結果を生まないと、SNSで誹謗中傷を始める視聴者や、それに同意する視聴者が心ない言葉を拡散し始めたのです。当然、出演者たちは傷ついていきますが、SNS上での注目度が上がっていくことを喜んだわれわれは、目を背けていたところが少なからずありました」(前出・現役制作スタッフ) 動き出した負の連鎖は止まらない。実際に、衝突の“指示”も出したという。「われわれスタッフから『もっと怒鳴り合って!』と指示を出すこともありました。昨年のある放送回では、嫉妬を映像で見せる演出に花さんを使いました。1人の男性を奪い合う形で、露骨に女性同士が目の前でアプローチをして嫉妬をさせ合うんです。当の本人は頼まれてやっていたとしてもメンタルがすごくつらかったと思います…」(前出・現役制作スタッフ) 燃えさかる炎上から目を背けながら、薪をくべ続けた結果、22才という若さで1人の女性が命を落とした。 このようなリアリティー番組の負の連鎖は日本だけではないと、国際ジャーナリストの山田敏弘さんが指摘する。「海外では以前から、リアリティー番組出演者の自殺が問題になっています。イギリスでは2016年から2019年にかけて、『ラブアイランド』という恋愛リアリティー番組から3人もの自殺者を出しています。韓国でも同様の番組で、実際とは異なる“友達のいないかわいそうな子”という設定を制作側から押しつけられた女性が、2014年に撮影現場で命を絶っています」 今回、『テラハ』で起きた不幸は、過去の事例から学んでいれば未然に防げていたのかもしれない。 花さんはとにかく周囲の期待に応えようと頑張っていた。「相手と呼吸を合わせ、真剣勝負をエンタメに昇華させるプロレスラーという仕事をしていた彼女は、制作サイドによる演出指示の期待に、プロとして応えようと頑張りすぎたのかもしれません。誇張された自分を演出することに必死で、自身の心の疲労に極限まで気づけていなかったと思うと、リアリティー番組の闇を感じざるを得ません」(前出・テレビ局関係者) 当のフジテレビは、「撮影の都合で場所などについて出演者と事前に協議することはございますが、出演者の意思や感情に沿わないような演出をしての撮影はございません」(企業広報室)と答えた。 しかし、花さんの突然の死を悼む元共演者がインスタグラムに綴った文章には、花さんへの惜別の辞だけでなく、制作者への怒りがにじむ言葉が並んだ。《配信では仲良いところ全然映って無かったですもんね》《花ちゃんと私が最初に言い合いした後、次の日の夜には一緒に談笑しながらご飯食べてたんだよ。(中略)こういうとこなんだよ。画面に映ってるところなんてほんの一部なんだよ》 仲がいいシーンは不要と判断したのだろう。何が起こったか、ではなく、どう作ったか。制作者にはそのリアルと向き合う責任が問われている。※女性セブン2020年6月11日号
2020.05.27 15:55
女性セブン
日本の住まいと暮らしをつくった「団地」。 懐かしの団地の歴史と最新事情とは?
日本の住まいと暮らしをつくった「団地」。 懐かしの団地の歴史と最新事情とは?
「ひばりヶ丘団地」「牟礼団地」などが解体・建て替えられている一方で、2019年12月には旧赤羽台団地の「スターハウス」を含む4棟が国の登録有形文化財に登録されたり、2022年度をめどに「都市と暮らしのミュージアム」が計画されたりなど、何かと話題の「団地」。日本最大の大家ともいわれるUR都市機構では、団地だけでなく、地域を文字通り「再生」「再構築」しようと考えているようです。今回は団地の「これまで」の歩みと「これから」をつくる動きをご紹介します。田の字形の間取り、バス・トイレ、キッチン。「今の暮らし」の源流がある現在、日本では10人に1人はマンション住まいと言われていて、コンクリート造の集合住宅は“当たり前”。そんなマンション、日本の住まいに大きな影響を与えたのが「団地」です。まずはコンクリート造の集合住宅の歴史をかんたんにご紹介しましょう。そもそも、日本初のコンクリート造の集合住宅ができたのは、長崎県の端島(通称:軍艦島)です。関東大震災後、復興を目的に「財団法人同潤会」が設立され、東京や横浜にも耐震耐火の集合住宅が供給されました。ただ、このころは庶民の住宅というよりも、高嶺の花、別世界の存在でした。ガスや水道、水洗トイレが完備されているため、当然ながら家賃も高め。エリート層が暮らす場所でした。昭和30年代の赤羽台団地(写真提供/UR都市機構)そんなコンクリート造の集合住宅ですが、戦後、昭和30年に日本住宅公団が設立され、都市圏近郊に急ピッチで供給されるように。「食寝分離」「ダイニングテーブルの登場」「内風呂付・水洗トイレ」「ゆとりある敷地」などが、“新しいライフスタイル”“時代の最先端”でもあり、一種の社会現象を巻き起こしました。その後、昭和40年代、50年代まで、毎年、団地は量産されていき、時代にあわせて「より広く」「より便利に」とアップデートされていきますが、今の住まい、特にマンションの間取りをはじめ、骨格はすべてこの「団地」に源流があるといってもいいでしょう。幼稚園通園風景(写真提供/UR都市機構)かつての団地のリビングルームの様子(写真提供/UR都市機構)八王子にある集合住宅歴史館では、歴代の「スター住戸」に出会えるこうしたコンクリート造の集合住宅・団地の歩みをひと目で体感できるのが、東京都八王子市にある「UR都市機構集合住宅歴史館」(※1)です。この施設には、日本の集合住宅の歴史を彩ったさまざまな建物、しかも「本物」がまるごと移築・復元されているので、まるで「物件内見」している気持ちにもなるほど。事前予約をすれば個人でも見学できるので、ぜひ足を運んでほしい施設です。見学できるのは以下の4物件・6タイプなのですが、もうホント、どれもこれも魅力的。1時間30分の取材予定がなんと3時間、ずっと興奮しっぱなしでした。1つの物件で記事が書けるくらいなのですが、表と写真でダイジェストでお送りします。日本の集合住宅の歴史がぎゅっとつまった歴史館。どの住戸も熱い思いが詰まっていて、興奮しきりです(資料より筆者作成)まずは「同潤会代官山アパート」(竣工1927年・解体1996年)の独身向け住戸から見学していきましょう。部屋には備え付けのベッド付きで随所に収納もあり簡素でありながら、住みやすそう。今の「激狭物件」にも通じるものがあります。トイレと洗面は共同です。今話題の「ソーシャルアパートメント」に近いかもしれません。同潤会代官山アパートのシングル向け物件。右手にあるのは造り付けのベッド。ガスがあり、お湯が沸かせるようになっている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)次に見学するのは、同潤会代官山アパートのファミリー向けの住戸。3階建ての住戸ですが、和式トイレ、ガスコンロと流し台が設置されています。同潤会代官山アパートのファミリー向け物件。お部屋は30平米未満ですがこちらもコンパクトで上品なたたずまい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)いよいよ、日本住宅公団による「蓮根団地」(竣工1957年・解体1987年)が登場します。ここで今、当たり前になっている「食寝分離」と「ダイニング・キッチン」が導入されます。お茶の間のちゃぶ台で食事をすることが多かった日本人に新しいライフスタイルを提案するためダイニングテーブルは備え付けだったそう! キッチンはまだ人研ぎ流し台。味わいがあります。蓮根団地のお部屋。2DKの間取りが誕生。冷蔵庫をはじめとする電化製品も含め、「家族で豊かになっていく日々」は夢があったことでしょう(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)次いで見学するのは、テラスハウスタイプ、いわゆる低層集合住宅です。「多摩平団地」(竣工1958年・解体1997年)のテラスハウスは間取りが3DK、広い専用庭があり、キッチン・バス・トイレ付き。このキッチンは、ステンレス製の流し台が採用されています。テラスハウスは昭和30年代に公団住宅として供給された住宅のうち、約2割がこのタイプだったそう。専用庭があり、のびのびと暮らせそう(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)次に登場するのが、建築家・前川國男が手掛けた「晴海高層アパート」(竣工1958年・解体1997年)。団地の建設当時から「中層の住宅」だけでなく、土地の高度利用のため、高層住宅も検討されていたことが分かります。工法は現在のスケルトン・インフィル住宅に通じるものがあり、とても斬新で現代風です。築39年での解体となりましたが、住戸の一部だけでも残してもらえて良かった……。コンクリートブロックと配管むき出しになっていたり、欄間がガラスだったりと、もういちいちかっこいい。晴海という立地から家賃もかなりしたそうですが……(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)3層ごとに廊下を設け、上下階の住戸はその廊下を利用して移動します。こちらは共同の郵便受け(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)築40年以上の住宅が7割超。愛着を持って長く住む人が多数しかし、かつてのスターであり、ライフスタイルを牽引した団地も今、大きな曲がり角に立っています。まずは現状と課題を聞いてみました。「まず、UR賃貸住宅のストックの現状ですが、首都圏、中部、近畿、九州の大都市近郊を中心に1532団地、71万8000戸の賃貸住宅を有しています(平成30年度末時点)。昭和30年代に建設された団地は集約化・建て替えられているところが多く、今最も多いのが昭和40年代で30万戸超、昭和50年代に建てられたものが15万戸ほど、築年にして40年超のものが約7割になります」というのは、UR都市機構の住宅経営部ストック活用計画課の大川内将至郎さん。ひばりヶ丘パークヒルズ(写真提供/UR都市機構)特徴としては長く居住している人が多いこと。調査では(※2)平均居住年数が14年5カ月ということを見ても「借りて数年、住む」というより、「ふるさと」「居場所」として愛着を持って住んでいる人が多いことがうかがえます。「お住まいの方から聞かれるのは、遊び場や緑といった敷地全体のゆとり、人とのつながりコミュニティ、ですね」(大川内さん)といい、まち開きから40年・50年経過した今も、長く住み続けたくなる魅力があるようです。団地は地域の「資源」。コーディネートの役割を果たすとはいえ、住人が長く住んでいるということは、高齢化しているということ。建物と住民、2つの「高齢化」に加え、1住戸に住んでいる人数も減っていることが分かっています。かつてはファミリーが中心だった世帯構成も今では1人暮らしが最も多く、調査では(※2)入居世帯のうち38%にもなるそう。「日本の国勢調査の平均よりも、1世帯あたりの人数が少なく、平均年齢も高めで、より高齢化が進んでいることが分かっています。入居した方とともに年齢を重ねてきたのはありがたい半面、課題でもあるのです」(大川内さん)そうした課題に対し、URの方針としているのが、UR賃貸住宅ストックの活用と再生になります。団地別の方針としては、以下のものがあります。そのうち、高経年化への対応が必要なストック再生団地の再生手法は、団地の一部を建て替えして残りを改善するなど、4つの手法を複合的・選択的に実施し、地域の実情にあわせて活性化していくといいます。既存住戸の活用と再生が2本の柱。再生も地域の実情にあわせて行うという。URの資料より筆者作成また、この数年、課題とあわせて再評価されている点も大いにあるといいます。それを象徴するのが、「団地は地域の資源」という考え方です。「団地は単なる住まいの集合体だけでなく、豊かな屋外空間や、商店、子育て施設、高齢者施設などのサービス施設、培われてきたコミュニティなど、複合的な機能を持っているため、『地域の資源』と再評価されているのだと思います」と話すのはウェルフェア総合戦略部戦略推進課の山田敬右さん。続けて、歴史的な背景から、UR都市機構が持つ「強み」をコーディネート機能にあると分析します。「UR都市機構は、団地の開発でも、道路の敷設や学校や公園の建設のために地元自治体と、商店や医療施設では各事業者とのそれぞれ綿密な調整を行ってきました。実はこうしたコーディネートができる事業者はあまり多くない。今後はこうしたコーディネート機能を『地域医療福祉拠点化』の取組みの中で発揮し、さまざまな地域関係者(地元自治体、自治会、関連事業者、地域包括支援センター、大学など)と連携しながら多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まちを実現していきたいと考えています」(山田さん)といいます。「地域医療福祉拠点化」といっても、特別なものではなく、主に3つの取組みを行っています。(1)子育てや介護、病院・診療所など、地域における医療福祉施設等の充実の推進(2)高齢になっても住み続けられるよう、居住環境の整備推進(バリアフリー化等)(3)若者や子育て世帯等を含む多様な世代のコミュニティ形成の推進■地域医療福祉拠点化のイメージ資料提供/UR都市機構地域医療福祉拠点化に取り組んでいる団地の1つとして、豊明団地(愛知県豊明市)があります。■「豊明団地」の地域医療福祉拠点化の取組み「ふじたまちかど保健室」で行われている健康体操(写真提供/UR都市機構)大学と行政、URが連携している「豊明団地」では、大学の看護師や理学療法士、ケアマネジャーらが交代でお住いの方の健康、介護、子育てなど幅広い相談に応じる「ふじたまちかど保健室」を設置。大学の学生が団地に住み、夏休みには子どもたちの宿題をみる寺子屋活動、自治会主催の夏祭りや餅つき大会などのお手伝いも。■若者を取り込むための取組み四箇田団地のMUJI×UR団地リノベーションプロジェクト(写真提供/UR都市機構)「このほかUR都市機構では、住宅のリノベーション企画の1つとして、これまでイケアさんと連携した『イケアとURに住もう。』や無印良品さんと連携した『MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト』の展開を行ってきました。これらの住宅は、メディアにも何度も取り上げてもらえたこともあり、特に若い世代に人気で、これまでUR賃貸住宅を知らなかった方にも知っていただけるきっかけになりました」と大川内さん。さまざまな歴史や取り組みを重ねてきて、「多様な世代が住み続けられる」「コミュニティを活性化させる」という指針のもと、団地を地域の事情にあわせてリボーンさせていくという段階にあるようです。現在の喫緊の課題である「高齢化」「コミュニティの衰退」という、難問に立ち向かっているのが今と「これから」といえるでしょう。これらの問題は躯体の問題、つまりハード面はクリアできる/しやすいものの、「人」や「ソフトウェア」によるところは一律の処方せんは難しいのでしょう。だからこその、「技術的な改修」「集約化」を行いつつ、「地域医療福祉拠点化」という方針なのだと思います。「かつて憧れだった団地で、安心して年齢を重ね、最後のときを迎える」「若い世代が子どもを安心して育てられる」、団地好きとしては残せる建物は残して活用しつつ、さまざまな知恵を結集して現在の課題を解決していってほしいなと願っています。※1 集合住宅歴史館は新型コロナウイルス感染防止のため、2020年3月22日(日)まで休館しています。3月23日(月)以降の予定は、今後の状況をふまえ改めてURLで告知されるとのことです※2 平成27年度UR賃貸住宅居住者定期調査●取材協力UR都市再生機構集合住宅歴史館(嘉屋 恭子)
2020.03.19 11:48
SUUMOジャーナル
日本に居ながら留学生活? 多国籍シェアハウスのリアルな住み心地を聞いてみた
日本に居ながら留学生活? 多国籍シェアハウスのリアルな住み心地を聞いてみた
外国人と日本人が一つ屋根の下で暮らす、多国籍シェアハウス「ボーダレスハウス」。日本に居ながら、留学生活のように異文化に触れ合え、語学力が向上するとあって近年注目を集めている。国内では東京、大阪、京都に77棟(2020年1月時点)を運営しており、世界各国から集まった入居者は累計で10000名を超えるそうだ。その魅力や実態について、実際に住んでいる日本人、外国人の双方にお話を伺った。住まいで語学を学びたい今回取材させていただいた杉並区のボーダレスハウス(写真提供/ボーダレスハウス)今回、訪れたのは東京都杉並区にある「ボーダレスハウス」。誕生は2017年。中庭テラスを挟んだ2棟にはそれぞれ12人ずつが暮らしている。ボーダレスハウスに住むユイさん(左)とアリさん(右)(写真撮影/小野洋平)お話を伺ったのは、日本の大学に通うユイさん(左)とフィリピン出身のアリさん(右)。はじめにボーダレスハウスに入居することにした理由を聞いてみよう。アリさん:私は来日時、日本に知り合いがいなくて不安だったからです。それと、フィリピンに住んでいたころになんとなく、自分のシェアハウスをつくりたいという夢があったからですね。実際に住むことで、いろんな国の人と友達になれますし、自分の夢を実現するためには良い勉強になると思って、ここを選びました。―ユイさんはどういったきっかけでしょうか?ユイさん:昨年、フィリピンで語学留学をしたのがきっかけです。英語が全く話せない私に対して、現地の方々はものすごく優しくしてくれました。そのときに“いつか英語が話せるようになったら恩返しする!”と約束してきたんです。帰国後、とにかく英語を早く話せるようになりたい。だけど、今の大学をやめて留学するのは難しい。そんな中で見つけたのがこのボーダレスハウスでした。―実際に英語は上達しているのでしょうか?ユイさん:昔は道を聞かれても拙い英語でしか伝えられなかったですが、今ではちゃんと説明できるようになりました。バイト先でも海外のお客さんが来られたときは、私から積極的に話しかけるようにもなりましたよ。―すごい成長ですね。毎晩、レッスンをされているんですか?ユイさん:レッスンまではいかないですが「この1時間は英語だけね」ってルールを設けたりして、とにかく毎日必ず誰かと英語で会話していました。アリさん:逆に日本国外からやってきた私たちも日本語を学びたいときは「1時間は日本語だけね」ってルールも提案していたのでWin-Winな関係だと思います。人によっては、来日したばかりで日本語が喋れない方もいます。だから、普段は日本語に英語を混じえながら教え合っています。(写真撮影/小野洋平)―日本人の入居者は、やはり「英語を学びたい」と思って入居される方が多いのでしょうか?ユイさん:ボーダレスハウスには、「入居者の半分は外国の方」という決まりがあります。そのため、私のように“前に留学していました”とか“仕事で使えるようになりたい”など理由はさまざまですが、外国語を使いたい意欲的な日本人が集まっていますよ。アリさん:日本語が話せない外国人にとっても、ボーダレスハウスは良い環境だと思います。というのも、英語が通じる入居者がいるため、日本語で表現するのが難しいことでも誰かしらに伝えられます。私もはじめは日本の方に言いたいことが伝えられず、ここで英語を使ってストレスを発散していました(笑)。―日本人にとっては英会話スクールよりも上達が早そうですね。ユイさん:本当にそう思います。英会話スクールほどお金はかからないですし、自分の好きなタイミングで練習ができますから。しかも、教科書の言葉ではなく、実際に使われている「活きた言葉」を自然に身につけられるのは、ここならではのメリットです。アリさん:良くも悪くも留学とは少し違う環境です。無理して言葉を覚える必要はないですし、絶対に喋らないと生きていけない状況でもありません。だからこそ、自分に喝を入れられる人でないと、なかなか喋れるようにはならないのがボーダレスハウスの特徴だと思います。国籍を超えたハウスメイトとの出会いハウスメイトで行ったスノーボード旅行(写真提供/アリさん)―ハウスメイト(同じ物件に暮らす人)同士の仲は良いですか?ユイさん:ここは良いと思います。よくハウスメイト同士で旅行に行っていますし、最近ではクリスマスパーティーを開催しましたから。とにかくパーティーがみんな好きなんですよね(笑)。あと、パーティーに限らず、お互いがつくったいろんな料理を食べることができたり、教わることができるのも魅力だと思いますよ―確かに、さまざまな国の食文化が学べそうですね。ユイさん:普通に日本で暮らしていたら、きっと知らなかった調理法やつくらなかった料理に出会えるんですよ。前にいろんな形のパスタをつくってもらったときは驚きましたね。アリさん:世界各国から人が集まっているだけあって、餃子パーティーやピザパーティーも本格的です。ここを退去する際に、自分の故郷の料理をふるまうのは恒例行事になりつつありますよ。―楽しそう! 話を聞いていると、住みたくなってきます。ユイさん:本当に住んで良かったと思います。私自身は、知らない人と住むことにストレスは感じないですし、「ただいま」と「おかえり」のコミュ二ケーションが取れるだけで幸せですね。前にバイト後、落ち込んで帰ったとき、みんなが心配して話しかけてくれました。私にとっては、もう一つの家族だと思っています。アリさん:私も日本語以外に、お祭りにみんなで行けたり、日本料理を教わったりと、文化を多く学べてうれしいですね。ハウスメイトで行ったクリスマスパーティー(写真提供/アリさん)―逆に仲が良すぎて、騒ぎすぎてしまうといったことはないですか?アリさん:盛り上がりすぎてしまうことは、たまにありますね(笑)。他の入居者に迷惑がかからないよう、ドアを閉める、などの配慮はしています。ただ、「少しうるさいよ」とか「テーブルの上を片付けてね」など、どうしても言いたいときは共通のライングループを使ったりしています。こまめにコミュ二ケーションを取ることは共同生活において大事なことですから。―家事は当番制なのでしょうか?ユイさん:前にゴミ捨てや、浴室掃除を当番制にするか話し合ったことがあります。結果、当番制にはならなかったですが、代わりに気付いた人は率先して行うこと、そして「ありがとう」と「ごめんね」はちゃんと伝えること、などのルールが決まりました。とても当たり前のことですが。共同生活では特に重要なことだと思います。アリさん:時に怒ることもありますが、伝え方は気をつけるポイントです。「〇〇の件なんだけど、どういうこと?」って頭ごなしに言っても良い方向にはいかないですからね。怒ったときに限らず、うれしいときや悲しいときなど自分の想いを伝えるために語学を勉強するようになれば、結果的に良い循環が生まれると思います。―たしかに。では、文化の違いで困ったりすることはないですか?ユイさん:基本的に良い人ばかりですけど、やはり価値観は違いますよね。でも、私は国の差というより個人の差だと思っています。どこの国だからとかではなく、結局は個人の性格。どこの国でも大雑把な人も几帳面な人はいますから。ただ、ここの住人は受け入れる心や協調性を持っている方が比較的多いですね。―多様性を知る機会にもなりそう。語学以外の面でも成長できそうな環境ですね。アリさん:ただシェアハウスに住みたいだけなら、わざわざボーダレスハウスは選ばないと思います。家賃がめちゃくちゃ安いわけでもないですから。それでも、あえてここを選んで来ているということは、お金以外になにか価値・魅力を感じた人が集まっているんだと思います。新しい価値観に触れ、広がる未来(写真撮影/小野洋平)―入居する前と後で考え方が変わったことはありますか?アリさん:1人で日本に来たときは言葉が喋れない、知り合いがいない、料理もできないなど本当に自分は暮らしていけるのか、自信がありませんでした。でも、今はいろんな人に出会い、たくさんの経験をしたことで自分に自信が持てるようになりましたよ。ユイさん:私も人との出会いから価値観に少し変化がありました。人生はもっと肩の力を抜いて楽しむべきって思うようになりましたね。私が引越して間も無いころ、みんなでお酒を飲んでいたときのことです。私は次の日が1限目から授業だったので寝ようとしたところ「ユイ、それでいいのか? どっちが価値あると思う?」ってハウスメイトに聞かれたんですよね。もちろん、学校の授業をサボることはいけないことですが、そのときはみんなで話している時間の方が価値があるかもしれないって思えたんですよ。―価値観が変わったり、視野を広く持てるようになったと。1人暮らしではなかなか経験できないと思います。ユイさん:私は実家を出るタイミングでボーダレスハウスに入居しています。多分、こんなに楽しい経験をしてしまったら、1人暮らしが寂しすぎて辛いと思います(笑)。どっちの経験もしたい方は先に1人暮らしを経験した方がいいかも……。―ボーダレスハウスのような多国籍の方が暮らすシェアハウスは、どういった方にオススメですか?アリさん:やっぱり、コミュ二ケーションを取るのが好きな人ですかね。外国の人だけでなく、いろんな人に出会いたい、話したい人。あとは、フットワークが軽くて旅行が好きな人もいいかもしれません。ユイさん:はじめ、両親は反対していたんですよ。外国の人という以前に、男女ですし、なにかあったら心配だって。でも、今では私が楽しんでいるのが伝わっているようで、なにかあったときは逆にみんなが守ってくれる環境なので安心したみたいです。(写真撮影/小野洋平)―大学生のユイさんは、この経験が就職活動でも役立ちそうですね。ユイさん:就活って正解が分からないじゃないですか? でも、いろんな価値観を持っている人に出会えて、しかもグローバルな目線で教えてくれるので、アドバイスに偏りがないんですよ。それに、年齢や職業もバラバラなので、幅広い目線でさまざまな業界のリアルが聞けるのでものすごく役立っています。―ここの生活を通して、夢や目標が新たに生まれたりはしましたか?アリさん:やはり、自分のシェアハウスをつくりたい気持ちは一層強くなりました。以前までは漠然とした夢でしたが、少しずつイメージできるようになったのはここに住んだおかげです。今は日本だけではなく、他の国でもシェアハウスをつくり、ハウスメイト同士で行き来できるようになればいいなって考えています。―素晴らしい夢だと思います。アリさん:英語を話せない日本人も日本語が話せない外国人も、直ぐに馴染めるのがここの魅力です。私にとっては本当にセカンドファミリーのような、帰りたくなる居心地の良い雰囲気があります。だから、私もこのようなシェアハウスをつくりたいんです。余談ですが、前にテラスハウスのオープニングムービーを真似てつくった映像があります。こういう映像を私のシェアハウスでは展開してもいいかな(笑)。アリさんが製作した映像(動画作成/アリさん)―個人の成長としても、ビジネスの面でもアリさんにとっては大きな糧になっていますね。ユイさんはいかがですか?ユイさん:私も英語圏に行きたい気持ちが強くなりましたね。もちろん、海外での仕事は夢ですが、現段階ではまだ選択肢の1つで決めきれてはいません。ここに住み続けることで知識はきっと、どんどんと増えていくじゃないですか? だから、住んでいる間に自分の選択肢をできるだけ増やして、やりたいことを模索していこうと思います。選択肢が多いことは幸せな悩みですもんね。……むしろ決められるかな(笑)?ボーダレスハウスのような、多国籍の住民が暮らすシェアハウスは、お互いに交流する意欲を持って一緒に暮らすことで、語学力の向上のほか、多様な文化や価値観を学ぶことができるようだ。グローバル化が叫ばれて久しいが、スキルとしての語学だけでなく深いレベルでさまざまな国のことを知るには、またとない環境なのかもしれない。●取材協力ボーダレスハウス(小野 洋平(やじろべえ))
2020.01.27 09:04
SUUMOジャーナル
イタリアにもファッションや食にもさまざまな嗜好の人がいると語る
マンガ家兼モデル 話題のペッペ氏語る「イタリア人の素顔」
 イタリア出身。日本語堪能のイケメンモデル。そして本業はマンガ家という異色なスペックを武器に人気リアリティー番組『テラスハウスTOKYO 2019-2020』(Netflix/フジテレビ系列)に出演して話題をさらった人物が、マンガ『ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ』の作者であるペッペ氏だ。一般にイタリア人のイメージと言えば「陽気」「すぐに女性をナンパする」といった明るいイメージが多いが、ペッペ氏は「実際のイタリア人は、とてもこだわりが強くて、ちょっと面倒臭いところもある」と語る。ペッペ氏に“イタリア人の素顔”について聞いた。──ペッペさんは、本業は漫画家でありながら、モデルとしても活躍されています。やはりイタリア人はおしゃれ、という印象があります。実際のイタリア人のファッションに対する意識は?ペッペ:僕は、イタリア人は洋服に対してとても保守的だと思っています。日本人はみんな自分が着たい服を着るでしょ。たとえば原宿に行けば、すごく奇抜なファッションの子がいたりしますよね。イタリアでは絶対ありえない光景です。すぐバカにされるから、自分が着たい服は結局着ないという人が多い。日本人はあんまり人のファッションを批判しないから、すごくいいと思うし尊敬しています。──イタリア人の中では、共通の認識として「ファッションの正解」が決まっているんですか?ペッペ:そう。特に学校は私服で行くから一番大変なんです。中学校の時は「同じズボンを3日間ずっと履いてる」とか言われて、からかわれる子もいました。中学生だから服なんて親に買ってもらうしかないし、自分でいい服なんて買えるわけないじゃないですか。そもそも貧しくて洋服が買えない家庭だってあるのに。特に子供はそこまで考えないから人のことをバカにするケースが多いんです。──他人の服装にまで干渉してくるんですね。ペッペ:イタリアでよくある日常風景として、路上で他人のファッションチェックをしています。で、通行人のファッションの悪口を言い合うんです。「わー、観光客のおっさんみたい。ダサい」とかね。イタリアでは、トレンドに合わせた服を着なかったり、いいブランドを着ていなかったりすると、バカにされることが少なくない。僕もそれがとても嫌だったんです。みんなと同じような服を着ないと、すぐ「ファッションをわかってない」って言われるから。 ──ちなみにイタリアのアニメマニアの人たちは、アニメのTシャツを着たりしますか?ペッペ:たしかに一部にはすごいマニアもいます。イベントではコスプレイヤーもいますよ。でも、彼らは好きなことがマンガやアニメやゲームだけじゃないという人が多いと思います。サッカーもとても好きだし、普通に女性とデートもします。バランスが取れているんですね。イタリア人はコミュニケーション能力が高いから、マンガの話がわからない人にはサッカーの話をするとかして対応しています。──サッカーの話題は鉄板なんですね。やはりイタリア人はサッカーへのこだわりは強い?ペッペ:サッカーに関しては本当にうるさい。うるさすぎて、僕は逆に高校に入ってからサッカーを観ないようにしていたくらい(笑)。だって、好きなチームが負けたら次の日の学校で、みんなにめっちゃバカにされるんですよ。別に僕が負けたわけじゃないのに。毎日毎日そんな感じでした。 でも、日本に来てから、それが楽しい面もあることに気づいて。日本で初めてサッカーを観に行ったら、応援している人がそんなに熱くならないなって思ったんです。ちょっとつまらないなって感じちゃいました。イタリア人は試合中に選手に対して悪口言うのが当たり前だから、なんで悪口言わないの?って。やっぱりサッカーは熱くなって観るほうが楽しいのかもしれません。──食に関してもこだわりが強いイメージがあります。ペッペ:食については本当にこだわりが強いよ。例えば友達のイタリア人は、一緒にタイ旅行に行った時、イタリア料理しか食べなかった。普通はローカルなタイ料理とか食べるものでしょ? でも毎日イタリアンレストランでピザとパスタだけ。イタリアにしか住んだことがないイタリア人は特にうるさいと思います。 逆に日本人はすごいオープンマインドだと思うね。だって、みんなイタリア料理好きですよね。イタリア人は寿司以外、日本の料理のことは知らない人が多いし、食べたいとも思ってないんじゃないかな。僕の両親が日本に来ることがあったら、和食を食べてくれるかな。心配です。 ──ペッペさんご自身は、食のこだわりはありますか?ペッペ:僕は絶対、朝ごはんはエスプレッソと甘いパン。あと1日に1回パスタを食べなきゃ気が済まない。これでも僕は、日本に住んでからちょっとずつゆるくなってきています。僕はパスタにケチャップ入れたナポリタンは何があっても食べないけど、友達に比べたらタイ料理も食べるし和食も食べる。まだゆるいほうですね。──お酒についても何か違いはありますか?ペッペ:たとえば乾杯のマナーが違います。乾杯する時は、グラスをチンとしたあとに、必ず一旦テーブルにグラスをコンと置くのが常識。でも日本人はやらないよね。たぶんそんなに大事なことじゃないけど、『テラスハウス』を観ていたイタリア人からは「あなただけ、グラスを置いているね」ってメールが来ます。イタリア人はそういう細かいところを見てるんですよね。 * * * もちろん、イタリア人にもいろんなタイプの人がいるが、日本人にとっては意外な一面も見えてきたのではないか。「チャラくて陽気」という漠然としたイタリア人のイメージは、もはやステレオタイプなのかもしれない。【PROFILE】ペッペ。本名:デュラト・ジュゼッペ/1992年イタリア・アブルッツォ州生まれ。大学卒業後の2015年に日本へ移住。リアリティー番組『テラスハウス TOKYO 2019-2020』(Netflix/フジテレビ系列)に出演し、注目を集める。初コミックとなる『ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ』第1集(小学館)を12月12日に上梓。現在は『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて同作を連載中。インタビュー・文/クドウサエコ
2019.12.12 16:00
NEWSポストセブン

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