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2016.11.21 07:00  週刊ポスト

プーチン氏とも会談 北方領土の鍵握る「孫正義ペーパー」

◆大統領就任以前からの仲

「孫ペーパー」を孫氏が作成した目的は、6月9日、10日に開かれたソフトバンクとロスセーチーの会議資料だった。

 東日本大震災に伴う福島第一原発事故以来、「脱原発」を掲げて太陽光など自然エネルギー発電事業を推進してきた孫氏は、海外でもモンゴルの風力発電事業に着手、インドでは巨大太陽光発電事業に乗り出し、日本、ロシア、中国、韓国を風力、太陽光、水力など自然エネルギー発電網で結ぶ「アジアスーパーグリッド構想」を提唱した。

 構想の要になるのが、ロシアから日本への海底電力ケーブルの敷設だ。これがなければ海外で安い自然エネルギーを発電しても日本に届けることができない。それはロシアの経済戦略とも一致する。

 ロシアのシベリア・極東地域には大型原発6基分の発電量があるサヤノシュシェンスカヤ水力発電所(672万kW)をはじめ5か所の水力発電所があり、新たに3か所で建設が計画されている。発電コストは1kWhあたり2セント(約2円)で、日本の平均発電コスト(約25円)の10分の1以下だ。

 その安い電力を海底ケーブルで日本に輸出すれば、ロシアは儲かり、日本の電気代も下がる。

 孫氏が事業のカウンターパートに選んだのがロシアのロスセーチーだった。文書には、会議に先立って行なわれた孫氏とブダルギン同社社長との会談で、〈水力発電と日露間の送電網敷設のコストを合わせて「1kWh=4セント(約4円)」で電力供給をめざすことで合意し、9月に開かれる国際会議で覚書を交わす。東京五輪直前の2020年6月までに日露送電網を結ぶ〉と話し合われたとある。

 そのために必要な変電所などの検討事項や、ロシアの既存・計画中の水力発電所のリスト、さらに日露間に海底ケーブルを敷設するルートとして、サハリン経由かウラジオストク経由で新潟の柏崎と結ぶ2つの案が、書類に示されている。
 
 この会議の1週間後、孫氏はこの資料を手に別の国際会議が開かれていたロシア第2の都市サンクトペテルブルクに飛んだ。ロシアのノバク・エネルギー相やガルシカ極東発展相と相次いで面談するためだった。さらにこの時、プーチン氏とも会談していたというのである。

 有力経済人とはいえ、孫氏は日本の財界トップでも政府特使でもない一民間人にすぎない。それでもロシア大統領と面談できたのは、2人は旧知の間柄で、孫氏はプーチン氏がまだ大統領代行だった時代に訪露していち早く会談し、独自のパイプを築いていたからだ。

 その席でプーチン氏は、「孫プラン」の説明を受けたのだろう。それから3か月後、プーチン氏は件のスピーチをすることになるのだった。

※週刊ポスト2016年12月2日号

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