国内

【密着ルポ】「墓じまい」はどうやって行われるのか

近年増えているという「墓じまい」の現場を密着レポート

 近年増えているという「墓じまい」。実際にどのように行われるのか、その知られざる現場をノンフィクションライターの井上理津子氏がレポートする。業者に依頼して神奈川県川崎市にある代々のお墓を撤去し、長野県にある善光寺に遺骨を搬送することに決めた、ある60代の夫婦に密着した。

 * * *
 JR南武線津田山駅から緩やかな坂道を3分ほど上ったところに、緑ヶ丘霊園の入り口があった。桜並木が美しい。多摩丘陵の最東端に位置するこの霊園は、1943年に川崎市が開園した。東京ドーム約13個分の広大な敷地に、約2万5000基のお墓が並んでいる。

 訪れたのは10月のある平日。午前9時に、桜の大木の前で『やすらか庵』(千葉市)の代表、清野勉さん(57才)と待ち合わせた。やすらか庵は「墓じまい」の施工を手がけるNPO法人である。「墓じまい」「改葬」「お墓の引っ越し」などのキーワードで検索すると10社ほどヒットする中の1つ。他社と異なるのは、清野さん自身が僧侶で、NPO法人であることだ。

 この日、緑ヶ丘霊園にお墓を持っていた人の墓じまいが行われる。清野さんが小型乗用車で到着したのに続き、スタッフの上矢拓史さん(35才)もクレーンやワイヤー、スコップ、工具、土袋などを積んだ2トン車で着いた。2人ともグレーの作業着を着ている。

「今日の依頼者は、長野県にお住まいの女性です。5月にメールで問い合わせが入り、電話で何度かお話しした後、見積もりをお出ししたのが9月19日でした」

 清野さんが見積書を見せてくれた。

1:墓石撤去及び処分一式
  交通費、車両、機材搬入、墓石基礎部分撤去、コンクリート撤去、整地、墓石及びコンクリートリサイクル処分 30万240円

2:最後のお墓参り
  お清め、遺骨の取り出し 3万2400円

3:遺骨の搬送、納骨
  善光寺までの搬送、納骨 5万9400円

 などと明細が示され、合計額が「39万2040円(消費税込)」と記されている。やすらか庵の墓じまいの基本料金(1平方メートル)は7万9800円。敷地面積やお墓の形状などによって個別に見積もられる。

 さっそく入り口から車で5分ほどの依頼者のお墓に同行する。なだらかな丘陵に抱かれ、約3m×1.8mほどの区画のお墓が1列に10基ほどずつ規則正しく並ぶエリアにあった。トラックをお墓の前に横付けし、荷物を下ろすと清野さんは車を10mほど離れた広場に駐車し、墓所へ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン