堺:第14回で、徳川から豊臣に寝返った石川数正を説得しながら、自分の心の傷を癒していくという、ぼくにとって相当難易度の高いシーンがあったんです。どうしようと、随分悩みました。数正役の伊藤正之さんのお芝居もあって、「いいシーンになりましたね」って、みんなで話し合った覚えがあります。
――主演を務めた『真田丸』は、どういう存在になった?
堺:さっきの例えで言えば、大河の旅は3回目でした。前回、前々回は途中で船を降りたけれど、今回は最後までご一緒することになったんですが、ただ長いだけで、変わらないと言えば変わらないし。でも、長い旅でしか見られない何かが、絶対にあったと思います。
信繁は「俺を見ろ」という人ではなかったから、そこは損していたのかもしれないですね。もっとアピールしていけばよかったかな? でも、そこが信繁らしいという気もする(笑い)。なんでしょうね、何ひとつ自分のペースが掴めなかった1年2か月。それがすごく楽しかったです。
【堺雅人(さかい・まさと)】
1973年10月14日生まれ。宮崎県出身。劇団東京オレンジ(早稲田劇研)で舞台俳優として活動を開始。その後、テレビに進出し、2004年NHK大河ドラマ『新選組!』などで高い評価を受ける。2013年、主演を務めたドラマ『半沢直樹』(TBS系)の決め台詞「倍返しだ!」がブームに。大河ドラマ出演は『真田丸』で3度目。
◇NHK大河ドラマ『真田丸』
毎週日曜、NHK総合20時、BSプレミアム18時放送。後世に「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と評されることになる、真田幸村の生涯を描く。三谷幸喜脚本。