ビジネス

老舗温泉ホテルの熾烈な価格競争 1泊2食で6000円以下も

昭和ノスタルジーも魅力な「ハトヤ」

「温泉観光ホテル」と聞くと、昔からある巨大な有名施設を連想する人は多いだろう──。確かにバブル期にはたくさんの団体客で賑わった老舗ホテルだが、その後、不景気による稼働率低迷やサービスの陳腐化などで廃業に追い込まれる施設もあった。

 そして今、温泉ホテルは徹底的に追求したコストパフォーマンスを武器に、生き残りどころか再ブームともいうべき人気を博している。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が温泉ホテルチェーンの最新事情をレポートする。

 * * *
 高速道路を走っているとよく見かけるバスがある。ブルーのラインが入ったバスで「湯けむり号」と記されている。鬼怒川や日光、草津や熱川など関東で展開されている「おおるりグループ」の送迎バスだ。都心をはじめ埼玉県、神奈川県の主要駅からの運賃が往復で1000円台とお得だが、施設本体の料金も低廉な設定だ。

 1泊2食に夕食時の飲み放題も付いてなんと6000円以下、しかも繁閑にかかわらず基本的に料金変動しないというから驚きのひとこと。もちろんこの料金設定なので豪華で贅沢というわけではないが、安さ重視の温泉旅を楽しみたいファミリーやグループに人気だ。

 料金変動なしの均一料金チェーンといえば「伊東園ホテルズ」も有名。1泊2食に飲み放題がついて7800円が基本。グルメプランなども展開し、内容重視で充実のステイを提案する。

 このような格安温泉施設に見られる傾向は、バブルの頃に栄華を誇った“温泉観光ホテル”ともいうべき施設のリブランドだ。

 バブル期、温泉旅館といえば高嶺の花であった。社員旅行などの団体客をターゲットに宴会場やカラオケスナック、遊戯場といった様々な施設を有する規模の大きさ自慢も多かった。バブル崩壊後は団体客が減少、個人客相手では商売にならず運営が困難に。廃業も相次いだ。

 そこで、高値の華だった温泉旅行をリーズナブルに提供しようと、温泉ホテルや旅館は低価格路線を追求し始めた。その先駆けといえるのが「一の湯グループ」だ。都心からも近い温泉リゾートとして知られる箱根。その高級なイメージの強い箱根をドミナントエリアとして8店舗展開する。

 1630年創業の現存する老舗旅館が旗艦施設。バブル期にはご多分に漏れず高価格路線であったが、現代表の小川晴也氏は利用者のニーズを徹底研究、低価格路線に舵を切った。1泊2食ひとり1万円前半程度でリザーブできる“客室露天風呂付き”の客室を多く設けるなどバリューも重視、独自のコンセプトで驚異的な稼働率を誇る。

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン