中央紀律検査委員会はまた、中国中央テレビ(CCTV)と共同制作で、『永遠に路上に』という8回シリーズのドキュメンタリー番組を作成。10月17日から「6中全会」の初日まで、8夜連続でゴールデンタイムに放映した。
監獄に叩き込まれた幹部たちが、次々と「獄中出演」し、「習近平総書記の方針に逆らった私が悪うございました」と、涙ながらに懺悔する番組だ。「CCTV開局以来、最もえげつない番組」と揶揄されているが、そんなことを気にする習近平総書記ではない。
習近平独裁体制完遂のため、日夜、政敵の粛清に励んでいるのが中央紀律検査委員会だ。これはナチスドイツのゲシュタポに似た機関で、ヒムラー長官にあたるのが、習近平主席の最側近、王岐山・中央紀律検査委員会書記である。中国共産党内の序列は6位だが、すでに事実上は、序列2位の李克強首相の権力を超え、ナンバー2と言ってよい。
その王書記は、2015年4月23日、習近平総書記の母校・清華大学での講演のため訪中したフランシス・フクヤマSAIS教授、青木昌彦スタンフォード大学名誉教授らと面会し、習近平政治について、こう講釈した。
「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。
各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」
王書記は、大胆不敵にも「習近平=神」論をブチ上げたのである。
※SAPIO2017年1月号