コラム

藤野英人氏 日本株はこれまでのネガティブ材料が逆回転する

日本株のネガティブ材料が逆回転へ

 米トランプ次期大統領が10年で1兆ドル規模のインフラ投資策を打ち出し、中国でも官民一体のインフラ投資プロジェクトが進められているように、今、世界的なインフラ大競争時代に突入しようとしている。「ひふみ投信」運用責任者でレオス・キャピタルワークス代表の藤野英人氏が、こうしたグローバルなインフラ投資の株式市場への影響について解説する。

 * * *
 インフラ投資は自国内を潤すだけではない。インフラ整備に不可欠な鉄鉱石やセメントなどの需要も伸び、それらを産出する資源国にも好影響をもたらすだろう。

 これまで中国をはじめ新興国の経済成長が失速したことで、原油をはじめ資源価格は下落。それに伴って資源国も苦しい状況に追い込まれ、グローバルな成長を取り込めなくなったことで日米欧の先進国も低迷。世界的なリスクオフの高まりから安全資産とされる円買いが進み、円高が重石となって株安─というのがここ1年ほどの流れだった。

 そんな2016年のネガティブ材料がいよいよ逆回転しようとしている。世界的なインフラ投資が資源高につながり、資源国や新興国の復調でリスクオンの機運が高まれば円安トレンドに転換。そして株高への反転である。

 まして日本経済にとっては、さらなる好材料がある。2016年12月に予定される安倍晋三首相とプーチン大統領の日ロ首脳会談だ。長年の課題である北方領土問題は、お互いのメンツを立てる意味でも、何がしかの進展は見せるだろう。ロシアにしてみれば、クリミア問題を機に経済制裁に追い込まれた事態を打破すべく、豊富な天然ガスを日本に売り込みたいのが本音ではないだろうか。日本にしても2020年の東京五輪以降の経済成長を睨んだ取り組みは少しでも広げておきたいところだ。

 そこで、たとえば日ロがシベリアの共同開発を進めるような計画が決まってくれば、株式市場が大きく反応するのは間違いない。

 すでに期待感から一部のロシア関連銘柄が物色されてきたが、今後は世界的なインフラ投資の流れと相俟って、資源高の恩恵も期待できる商社をはじめ建機や重工業といった「重厚長大産業」の大型株が久しぶりに大きく脚光を浴びると見ている。

 そして、それらの銘柄は指数に対するインパクトが大きいため、株価上昇に伴ってETF(上場投資信託)を年6兆円もの規模で買い進めている日銀にとっても大きなメリットにつながるはずだ。日銀が異次元の金融緩和のみならずマイナス金利まで金融政策を総動員してもなかなか上向かなかった日本経済だが、いよいよ光が差し込もうとしていると見ることもできる。

 そう考えていくと、2017年は為替が大きく円安方向に進み、日本株も大きく上向く可能性があるだろう。それが私の予想である。

マネーポスト2017年新春号

関連キーワード

トピックス

逮捕された草間リチャード。右は現場
《「下半身を出している人がいます」と110番》Aぇ!group草間容疑者の逮捕現場は新宿の飲み屋ストリート、朝5時半でも通行する人は多く…配信番組が急遽ストップでファンから心配の声
NEWSポストセブン
地区シリーズ・フィリーズ戦での先発が予定されている大谷翔平(地区シリーズ・フィリーズ戦での先発が予定されている大谷翔平(写真/AP/アフロ)
《世界一連覇なるか》ブルペン陣に不安が残るドジャースの頼みは「大谷翔平の先発&クローザー登板」か フィリーズ戦で先発予定も「故障のリスクを冒してでもクローザーで投げさせたい」との指摘
NEWSポストセブン
中国の名門・清華大学に在籍する
「あまりにも美しい女性は生配信に向かない!」中国の名門・清華大の美女インフルエンサーが突然の更新ストップ【SNSを巡る親子の対立で物議】
NEWSポストセブン
米・女優のダコタ・ジョンソン(35)(時事通信フォト)
《”ネイキッドドレス”で大胆な肌露出》米・お騒がせセレブが映画祭で“ほぼ裸”ファッションを披露、専門家が解説「セレブの勲章ともいえるファッション。ただし節度も必要」
NEWSポストセブン
香川県を訪問された秋篠宮妃紀子さまと次女・佳子さま(2025年10月2日、撮影/JMPA)
《手話動画が話題に》「手話できる佳子さまカッコいい」“真逆”のカラーをお召しになった紀子さまとさりげなく共通カラーを入れた高度なコーディネート
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
《クロスボウ殺人》母、祖母、弟が次々と殺され…唯一生き残った叔母は矢が貫通「息子は、撃ち殺した母をリビングに引きずった」【野津英滉被告・公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《本人が最も恐れていた事態に…》「タダで行為できます」金髪美女インフルエンサー(26)、デリバリー注文のバーガー店が滞在先を暴露「軽視できません」
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”を繰り返していた前橋市・小川晶市長(時事通信フォト)
小川市長”ラブホ会議問題”の前橋市民から出る嘆き 「高崎の親戚からすんげえ笑われた」「男と女でどんな会議なんかい、ほんと恥ずかし」
NEWSポストセブン
「愛馬の日」のイベントに参加された愛子さま(2025年9月、東京・世田谷区。撮影/JMPA)
悠仁さまの成年式を機に海外メディアが相次いで“男性しか継承できない”日本の現行制度を不可解だと指摘 皇位継承から除外されている愛子さまの存在もクローズアップ 
女性セブン
自党内の混乱はおさまりそうにない(時事通信フォト)
“女安倍”高市氏に防衛省制服組が“ただならぬ警戒感”「台湾有事が現実に」「独自の国家観をもつ軍事フリークは面倒」、進次郎氏を推す意外な声も「実力不足の方がいい」
NEWSポストセブン
たばこ祭りに参加した真矢と妻の石黒彩
《杖と車椅子で10メートルの距離を慎重に…》脳腫瘍のLUNA SEA・真矢が元モー娘。の妻と夫婦で地元祭りで“集合写真”に込めた想い
NEWSポストセブン
浅香光代さんの稽古場に異変が…
《浅香光代さんの浅草豪邸から内縁夫(91)が姿を消して…》“ミッチー・サッチー騒動”発端となった稽古場が「オフィスルーム」に様変わりしていた
NEWSポストセブン