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愛犬の亡骸を宅の庭に埋めていいのか? 弁護士が解説

 人々の心を癒やしてくれるペットだが、いつかは死が訪れるもの。もしも、愛犬が亡くなったら、その亡骸はどうすればいいのだろうか──。63才の主婦から、こんなお悩みが届いた。

「先日、15年一緒に暮らした愛犬が天国へと旅立ちました。ペット霊園に納骨しようと思ったのですが、そうすると、なかなか会いに行けません。なるべく近くにおいておきたいので、自宅の庭に埋めてもいいものでしょうか?」(鹿児島県・風太のばぁば、63才・主婦)

 この質問にペット法学会理事の弁護士・杉村亜紀子さんが答えてくれた。

 * * *
 長い年月、家族同然に過ごしてきた愛犬とのお別れは悲しいですね。飼い主が最後にしてあげられること。それは、きちんと天国に送り出すことです。正しい知識を持ち、ペットの旅立ちを見届けてあげましょう。

 ペットの亡骸(死体)は、一般廃棄物として扱われます。人間の遺体のように、墓地・埋葬等に関する法律は適用されませんし、死体遺棄罪(刑法190条)も関係ありません。そのため本来、火葬をする義務はありません。

 自宅が持ち家で、敷地も自分のものであれば、庭に埋めることも可能です。ただし、腐敗臭がもれないよう、深い穴を掘って埋めるなど近隣への配慮は必要です。

 自分の土地でなく借家や借地の場合には、他人の土地に廃棄物を埋めることになってしまうので、基本的に、庭には埋められません。土に還かえるので問題ないと思う人もいるかもしれませんが、動物とはいえ、死体を埋めることに抵抗感を持つ人もいます。土地の所有者の了解を取るべきでしょう。

 また、公園など、公共の場所に死体を埋葬することは許されません。

 火葬してから埋めるのが理想的ですが、火葬せず自分の土地に埋める場合は、なるべく深く埋めてください。万が一、悪臭がしたり、虫がわいたりして近所に迷惑をかけると、不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。

 火葬する場合は、ペット専門の民間の火葬業者を探すか、ペットの火葬施設がある地方自治体もあるので、お住まいの地域の役場に確認を。

 火葬の際も、合同火葬か、個別に火葬してもらえるのか、また立ち会えるのか、骨上げができるのか、返骨ができるのか…など、いろいろなケースがあります。

 最近では、自分のペットとは違う遺骨が返ってきた、高額の請求をされたなどといったトラブルも発生していますので、どこまで個別対応をしてもらえるか、料金はいくらかなど、事前に確認することも大切です。

※女性セブン2016年12月22日号

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