◆日本の居住空間を意識した
2016年9月末に発売された新製品「Dyson Pure Hot+Cool Link空気清浄機能付ファンヒーター」は、大きな楕円形の輪がスタンドの台に乗った、おなじみのデザイン。「日本の居住空間を考えて作り上げた新製品です」と同社エンジニアリングマネージャーのマーティン・ピーク氏(41)は胸を張る。台座は約A4サイズのコンパクトなボディ。この機器の中にいったいどんな機能が詰まっているのか。
「まず、弊社の特許技術エアマルチプライアーテクノロジーを活用した扇風機の機能です。台の部分から風を取り込んで、楕円形のループの端にある1.8mm程の狭い開口部から噴出します。この時、まわりの空気を巻き込んで強い気流を作り出すのです。航空力学を活用してジェット機の翼の形をヒントに設計しています」
「風によって、より強い風をつくる」というユニークな発想から、「羽根の無い」扇風機は誕生したのだった。
「さらに楕円形のループの中にはセラミックのヒーターが入っていて、内部で空気を暖めて外へ送り出すファンヒーター機能が備わっています」
スイッチひとつで扇風機にも暖房機にもなるという。いやそれだけではない。
「加えて、約6mのHEPAフィルターを333回、プリーツ状に折り畳み、360度筒状にしたものが土台の部分にセットされています。空気を吸い込む時、PM2.5だけでなくタバコの煙のサイズであるPMO・1レベルの微細な粒子まで99.95%除去できる空気清浄機能を搭載しています」
つまり、一台で扇風機とファンヒーターと空気清浄機、三役をこなす。まだある。新機能の「Link」だ。
「内蔵Wi-Fiを使ってスマホやタブレットから室内の空気状態を『見える化』し、遠隔操作できます。空気がどれくらいきれいになったか、変化はグラフで一目瞭然です」
もちろん空気清浄だけでなく室温の調節も可能。一台三役に加えてIoT化(モノのインターネット/インターネットオブシングス)ダイソンが7年かけて進化させてきた家電の姿だった。