◆ダイソンと日本の親密な関係
「日本はダイソンにとって特別な国なんです」とピーク氏。一瞬リップサービスかと思ったが、「明快な理由があります」と続けた。
「創業時、ジェームズ・ダイソンは独自開発したサイクロンテクノロジーをビジネス化しようと世界中を回りました。しかしなかなか理解してもらえなかった。一番最初に技術を評価し、ビジネス化の手助けをしてくれたのは日本人でした。ダイソンという企業が創業できたのもそのおかげです。日本は世界で一番、技術をリスペクトし評価をしてくれる国だということを、私たちは忘れていません」
ピーク氏は一例として「音」の問題を挙げた。
「ブレード(回転して風を起こす翼部分)に波のような曲線を新たに採用しました。これは鳥の羽をヒントにした風切り音を抑える仕掛け。生物模倣の低騒音化技術です。日本の消費者は音について非常に繊細で、発売当初から意見や要望をいただいています。その声に耳を傾け改善に改善を重ね、今も静音化技術を追求し続けているのです」
あるいは、「ナイトモード」もそうだという。
「光が気になる、という日本ユーザーの声を反映してLEDを暗くし、風量も抑え、静音運転することで就寝時に快適に使える機能を加えました」
日本からの要求は細かくて厳しく、常に最高のパフォーマンスが求められるという。
「ということはつまり、日本市場で成功すれば世界中で成功することができる。だから新製品の第一歩はいつも日本市場から始めるのです」
そういえばダイソンは世界初の直営旗艦店も、東京・表参道にオープン。創業時から今まで、まさに日本人と歩みを共にして進化してきた外国家電メーカーだったのだ。