「過去の調査によると、30~80歳の男女で『血圧の上が130以上』には全体の約30%の人が当てはまります。それに対し、新基準で基準範囲外とされる148以上の人は約8%しかいない。高血圧とその予備群が3分の1以下になる。この基準が臨床に適用されれば、高血圧患者が激減して町医者の経営が成り立たなくなり、薬局にも大ダメージになる。だから、業界を挙げて猛反発したのです。
その動きを牽引したのが、降圧剤のセールスのために、学会に働きかけて血圧の基準を下げてきた集団です。欧米では『高血圧マフィア』と呼ばれるその集団によって、20年前に米国政府やWHO(世界保健機関)の血圧基準が下げられた。その反省から、基準が緩和されたのです。ところが、日本では今も既得権に固守する勢力が、学会と厚生労働省の定める基準に強い影響を及ぼし、基準がそのままという現実がある」(同前)
※週刊ポスト2016年12月23日号