中国”慰安婦”歴史博物館への来場者は1日40人ほど


 像の近くの建物2階にある「中国“慰安婦”歴史博物館」に向かった。来館者名簿に氏名を記入し館内に足を運ぶと、「受害者肖像 VICTIMS」と書かれた大型パネルに、無数の元慰安婦とされる人々の顔写真が散りばめられている。これが事実か否かという以前に、見る者のハートに「かわいそうな女性たち」というイメージが伝わってくる仕掛けになっている。

 続いて展示物の冒頭に掲げられている「前言」に目を転じると、

「日本の軍国主義者は第二次世界大戦の際、本土を遠く離れていた旧日本軍のために、日本人女性のほか、騙したり、拉致したり、力ずくなどの手段で中国、朝鮮半島、東南アジアなどのアジア各地から徴用した大量の若い女性を性の奴隷として充当し、完全なる『従軍慰安婦』の制度を創立した」

「数千年の人類史上で第2例を見ることのないファシズムが行った女性に対する集団的な使役と虐待であり、日本の軍国主義の野蛮さ、残忍さと暴虐さを体現している」

 などの激しい文言が並んでいる。しかし、日本軍が「拉致」や「力ずく」で慰安婦を集めたという証拠はない。館内はこの前言のほか、随所で日本語の案内も用意されていた。

 館内はパネル展示と元慰安婦たちの遺品の展示が中心で、広さは20m四方ほどだろうか。1時間程度で周れる分量だ。

 パネルでは慰安婦制度の成立の経緯や、上海市内に存在したという慰安所リスト、慰安所で働いていた雑役係や慰安婦の証言などが写真付きで展示されている。上海市内には「大一サロン」、「三好館」、「小松亭」など日本軍が設置した慰安所が170か所も存在したと書かれているが、いやいや、民間人が経営していたバーや風俗店も少なからず含まれているだろう。

 しばらく進むと「中国における日本軍の慰安所分布図」という大きな地図が展示されていた。中国大陸にこれだけ大量の慰安所が設置されていたと示すものだ。博物館の冒頭で「中国人慰安婦20万人、世界の慰安婦40万人」と主張していたので、それを裏付けたいのだろう。

 地図を見ると、領土問題が起きている西沙・南沙諸島も中国領土に組み込まれており、宣伝に抜かりがない。地図の東端には「釣魚島」の三文字もあった。

※SAPIO2017年1月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン