歌詞は「適当でいい」と言われたと明かす小野


小野:歌手を辞めていると間違われていることがあるんですよ。一昨年くらいに乗ったタクシードライバーに声をかけられて、「小野さんはとても綺麗な高い声で、すごくよかったのに、なんで辞めちゃったんですか?」って。「辞めてませんよ」って言ったら、「すみません、最近見ないから」って、なんのフォローにもなってない(笑い)。

『You’re the Only…』の後もヒットと呼べる曲はあるし、ホールのライブもこなしていたんですけど、テレビに映らないと「最近見ないな」という感覚になる方もいらっしゃるんでしょうね(苦笑)。

――それくらい『You’re the Only…』はインパクトがありました。

小野:この曲はいける、という手ごたえは、デモテープの段階でありました。だから関係者でも「タイアップをつけてドカンと行こうぜ!」という話になり、デビュー曲になるはずだったのですが、ドラマの主題歌として3枚目のシングルになったんです。

 だから『You’re the Only…』がプロになって初めての作詞だったわけですけど、ちょっとした裏話があるんです。実は社長に、「お前の高い声がポンと出ればいいから、歌詞は適当でいい」と言われたんです(苦笑)。

 適当でいいなら字数だけ合わせようかなって、さらっと考えた歌詞なんです。西日の差す6畳の部屋で、「畳も日に焼けてるな」なんて思いながら書いたんですね。そうしたら、そのまま採用になったのでびっくりしました。今思うと、幼いというか、綺麗すぎるというか、ちょっと恥ずかしい歌詞だなって。

――素敵な歌詞だと思うのですが、恥ずかしい?

小野:当時25才だったんですけど、変にテクニカルに狙ったり、難しい言葉を使うんじゃなくて、素直に書いたらいいんじゃないかと思ったんです。周りのヒット曲を見渡したら、ベタベタな恋愛曲が多かったんです。それで、ベタでいいなと思って。

――当時、思い浮かべていた人や場所はある?

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