ライフ

「2017年、祝日4日減」は本当に【悲報】なのか

休みたい? 働きたい?(写真:アフロ)

 2017年は祝日と土曜日が重なる日が4日あり、「休みが少なくなる」と嘆く声があるという。だが休日が減ることはそんなに悪いことなのだろうか。コラムニストのオバタカズユキ氏が語る。

 * * *
 まったく威張れたことでも、いいことでもないのだが、今年の正月は2日からずっと仕事をしている。パソコンに向かってあれこれ原稿をいじり、休憩でネットを徘徊してみるという、普段と変わらない働き方だ。

 その休憩徘徊中によく目についた記事の類がある。例えば、こんなものだ。

〈【悲報】2017年は祝日が4日間も消滅 / ゴールデンウィークはたったの5連休〉(ロケットニュース24)

〈2月、4月、12月は平日休みなし… 2017年は「社畜イヤー」? 祝日と土曜が重なりまくり〉(R25)

〈【社会人絶句】2017年は休日が4日減る!?祝日が土曜日に…〉(ママテナ)

 主要な発信源はこの3記事のようだが、他に同様の内容でテレビ放送されたものが幾つか記事化されている。それらがあちこちの別ニュースサイトに転載されているので、ちょっとネットをうろつくとすぐ【悲報】とか【絶句】とかにぶち当たるのだ。

 伝えられている内容はごく単純で、2017年は「建国記念日(2月11日)」「昭和の日(4月29日)」「秋分の日(9月23日)」「天皇誕生日(12月23日)」の国民の祝日が土曜日だから、土日休みの人は4日ぶん祝日休みが少なくなる、という話である。

 たしかに今年はそういう年なのだが、これはそんなに悲しいことなのだろうか。記事に目を通しながら、なんか違うだろ、という気持ちがもりもり膨れ上がった。

 まず、ウソっぽいなと思うのは、記事を書いているライターが、祝日休みの減少で困るわけがないのに、悲しんでみせている点である。内輪の話になって恐縮だが、我ら同業者は祝日や連休が基本的に嫌いだ。

 なぜなら、自分の書いた原稿を受け取ってくれる会社の社員さんの多くは祝日や連休で休みを取れるが、フリーランスは関係ない。むしろ、原稿提出先の社員さんなどの休みのために前倒して原稿を仕上げねばならず、一時的に仕事が集中、混乱しがちなのである。また、「休み明け締切」が設定されやすく、祝日や連休中ものんびりできる人は少ない。

 だからフリーランスのライターのたいていは、祝日増や連休を迷惑がることはあっても、歓迎はしていない。今年は4日祝日が少ないと聞けば、逆にちょっとラッキーな気分になるものなのだ。なのに、【悲報】とか【絶句】とか、心にもないことを書いているため、記事がすごく薄っぺらいのである。

 もちろん、当該記事を書いたライターが、そこに私情を挟まず、いわば読者の気持ちを代弁してみせたということは否定しない。だが、果たして、その代弁者の心遣いは不特定多数の読者のみなさんの多くに届いただろうか。みなさんそんなに祝日休み減が悲しい?

 この根本的なところも、ちょっと考えると怪しいのである。お勤めの人はカレンダーの赤い日はぜんぶ休んでいる、というのはライターの勝手な先入観であり、公務員でかつ仕事がそんなにない人ならともかく、少なからずの日本人は赤い日もけっこう働いているのである。

 祝日にどれだけ休んでいるかのデータは探せなかったが、完全週休2日制を採用している企業の割合なら、厚生労働省の就労条件総合調査がはじき出している。平成26年のそれによると、(土日に限らず毎週2日の休日がある)完全週休2日制の企業は、46.9%だ。半分未満なのである。しかもこれは30人以上の従業員がいる企業に限っており、より零細のケースは省いている。会社が小さいほど休みが少ないのは明らかだから、日本の企業全体だと%はもっと下がるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
写真/イメージマート
《“ライス販売停止”騒動他》2025年の事例に見る「不毛な炎上案件」はなぜ生まれるのか?大人力を発信するコラムニストが解説
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン
大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、不動産業者のSNSに短パン&サンダル姿で登場、ハワイの高級リゾードをめぐる訴訟は泥沼化でも余裕の笑み「それでもハワイがいい」 
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《ベリーショートのフェミニスト役で復活》永野芽郁が演じる「性に開放的な女性ヒロイン役」で清純派脱却か…本人がこだわった“女優としての復帰”と“ケジメ”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の一足早い「お正月」》司組長が盃を飲み干した「組長8人との盃儀式」の全貌 50名以上の警察が日の出前から熱視線
NEWSポストセブン