●「食のダイバーシティ」が可視化される年に
そのほか、外国人観光客を視野に入れた「多様化する和食」や、オーガニックカカオを使った「高カカオチョコレートの多様化」など各分野で多様化──「食のダイバーシティ」が可視化される年にもなるだろう。
一方、不安材料として挙げられるのが、外食産業の冷え込みだ。昨年の上半期、好調だった外食産業がGW以降伸び悩んだ。4月の熊本地震や、8、9月の台風で東北や北海道の産地も大きなダメージを負った。
対前年比の月次の売上高を比較しても、昨年まで窮状に喘いでいたマクドナルドやワタミなど一部のチェーンを除いて前年並みか前年割れが並び、外食産業全体では決して楽観視できる状態にはない。この先には消費税増税、さらには五輪に向けての受動喫煙防止対策なども求められている。飲食店にかかる負担は少なくない。
●昨年予想の反省会
最後に、昨年の予想の反省会。昨年の年初予想としては、1.「ハンバーガー」、2.「テックスメックス」、3.「日本型漁業の転換」、4.「(外食での糖質摂取を見越した)家庭内糖質制限ブーム」、5.「牛かつ」などを挙げた。トレンドとしては前年から予見できたものも多く、結果としては1.○、2.◎、3.☓、4.△、5.○といったところだろうか。2.のテックスメックス(メキシコ風のアメリカ料理)などはまだ今年も伸びしろがありそうだ。
3.の「日本型獲ったもん勝ち漁業の転換」は希望的観測だったが、残念ながら大勢は変わらず。2020年東京五輪へ向けての水産物調達基準も、持続性の高い水産物の提供が求められているのに、その基準自体をゆるくしようというウルトラCが持ち出されている。国内の漁獲量が減少し続け、全国どこの浜でも水揚げが減っているいま、転換へ向けての動きは待ったなしのはずなのだが……。
それでも心ある人々は、声を上げ、持続型漁業の実現手法を模索している。最後になったが、やはり今年2017年の希望的観測にも「日本型獲ったもん勝ち漁業の転換」を盛り込みたい。