国内

小池都知事が進めた私立高校の無償化 救われるのは誰か

授業料の無償化で私立高校人気は高まるか(写真:アフロ)

 入学金や授業料の高さから受験を諦める子供も多かった私立高校だが、自治体支援により“無償化”の動きが広がっている。東京都は世帯年収760万円未満の都民を対象に、独自の給付型奨学金を拡充。2017年度より私立高校の授業料を実質無償化にする方針を決めた。

 だが、この負担軽減により、本当に学校選択の自由が生まれ、誰もが公平な教育を受けられるようになるのか。安田教育研究所代表の安田理氏に聞いた。

 * * *
──私立高校の無償化をどう見る?

安田:私立高校への進学は、よく電車の種類に例えられます。「普通列車」の公立高校があるのに、わざわざ私立へ行くのは、「グリーン車」に乗って旅に出るようなもの。だから、補助は要らないという考え方です。

 しかし、実際は第一志望の公立高校に落ちて私立に行かざるを得なかった人もたくさんいます。大学合格率の高い難関公立ほど、塾へ行ったり教材を買ったりとお金をかけなければ合格できないので、結局はお金をかけられなかった層も私立に行っている。無償化はそうした人たちを救う制度だと思います。

──年収条件の760万円未満は妥当なのか。一部では「もっと下げるべき」との声もある。

安田:私学にかかるお金は、学校によってものすごく格差があります。例えば、入学金や施設費を含めた初年度納入金(東京都生活文化局調べ/2017年度)を見ると、59万円の東洋女子から、188万6000円の玉川学園高等部(IBクラス)まで大きな開きがあります。

 はっきり言えば、初めから入学金や学費の高い学校に子供を入れようとする家庭は、年収条件も含めて今回の制度はまったく関係ないといっていいでしょう。

──確かに無償化とはいえ、給付の上限は年間授業料の平均額にあたる44万2000円だ。

安田:都内の私立高校は、年間の授業料だけ見ても下は33万円、上は133万円と100万円も差がありますからね。

 そのうえ、私立高校は授業料以外にも、海外留学や修学旅行、部活や芸術鑑賞など、いろんな体験をさせる行事が多く、お金もかかります。もちろん、そうしたお金は実費なので、単純に授業料だけ無料になっても、それだけで私立に人が流れるか──。ご家庭の判断はそう簡単にはいかないでしょう。

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン