ならば、地上でも耳石を刺激すれば老化が防げるはずだそんな考えから最近のNASAが推奨するのは、「ある簡単な動作」だ。
耳石の働きに注目した『NHKガッテン!』(2016年11月16日放送)では、元NASAライフサイエンス部門の責任者がこう述べた。
《30分ごとにただ立ち上がってまた座ってください。あなたが行う必要があるのはそれだけです。驚いたことに、立ち上がる方が歩いた時よりもよい結果が出たのです》
実際、同番組で日常的に長時間座っている人に「30分に一度立ち上がることを2週間継続する」実験を行うと、中性脂肪15%減・悪玉コレステロール5%減、善玉コレステロール11%増という驚くべき結果が出た。
「『1時間座ったままでいると寿命が22分縮む』という研究もあり、座りっぱなしは健康に悪い。座った状態から立ち上がると慣性の法則が働き、耳石が刺激されて体内の各方面に信号が送られる。言わば、各器官に“喝”を入れることでホルモンの分泌や血流なども活性化すると考えられます」(村上氏)
寿命そのものも大事だが、最近は健康寿命がより重視されている。それを左右するのも耳石になりそうだ。
※SAPIO2017年2月号