投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の1月23日~1月27日の動きを振り返りつつ、1月30日~2月3日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。トランプ新政権発足後の初期反応は円高・株安だった。トランプ物色への期待があったが、為替市場では1ドル113円台と円高に振れており、これを受けた週明けの日経平均は3ケタの下落で始まった。その後もムニューチン次期米財務長官が「強いドルは短期的にマイナス」との考えを示していることが伝わり、1ドル112円台と円高に振れたことが嫌気され、一時18800円を下回る場面もみられた。
しかし、週半ば以降は一転、トランプ政権によるインフラ投資拡大期待を背景にNYダウは3ケタの上昇となり、その後は初の2万ドルを突破するなか、トランプ物色が再燃。25日の上昇で直近の下落部分をほぼ吸収すると、26日には19400円を回復している。
トランプ大統領は、選挙戦で訴えていたメキシコ国境への「壁」設置に向けた大統領令に署名した。大統領就任後は即時TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)脱退などの公約を執行してきたが、ここにきて大統領令を連発している。自動車業界は日米自動車摩擦への警戒感なども高まっており、トランプ政権に振り回される状況が警戒されやすい。
ただし、市場はトランプ政権で恩恵を受けるであろう設備投資関連や金融セクターへの物色が強まってきている。決算発表が本格化する中、安川電機<6506>、日本電産<6594>、アドバンテスト<6857>、ファナック<6954>などが期待通りに上方修正を発表。市場は利益確定に向かってはいるが、これまで強い上昇基調が続いていたこともあり、当然の利益確定といったところ。反対に押し目買い意欲の強さが窺える状況であり、良好な需給状況からの先高期待は強そうだ。
その他、週半ば以降は円相場が1ドル113円前半で推移するものの、日経平均はインデックス売買が中心ながらも終日強含みの展開だった。これまで円相場の影響を受けやすかったことを考えると、市場は為替離れの展開になってきている。良好な需給状況のなか、円高へのマイナス面の反応は限られる一方で、円安へはポジティブに働く可能性がありそうだ。