ハッシーが語った“転落”(本人SNSより、現在は削除済み)
「ハッシー」の愛称で親しまれた元将棋プロ棋士の橋本崇載被告が2023年7月、元妻であるAさん、その父親であるBさんの2名に対する殺人未遂と住居侵入の疑いで逮捕・起訴された事件。9月22日より大津地裁にて裁判員裁判の公判が行われ、10月2日に懲役5年(求刑懲役10年)の実刑判決が言い渡された。
判決の理由として、「被害者に落度は認められず酌量の余地なし」など厳しいものであった。その一方で、求刑よりも刑期が半分になった。
9月24日の公判では、ハッシー自らが証言台に立ち、事件やAさんとの離婚トラブルについて語っていた。初公判から追い続けた裁判ライターの普通氏がレポートする。【前後編の前編】
東京での仕事が多いのに滋賀へ引っ越した理由
ゆっくりと証言台に向かう橋本被告。若干、茫然とした雰囲気で、話すスピードは比較的ゆっくりだったが、その喋り口の滑らかさや時おり見せる言葉のチョイスなどから、「らしさ」を感じる場面などもあった。
弁護人からプロ棋士としての実績を確認されると、橋本被告は少し考えてからこう答えた。
橋本被告「プロ棋士というのは160名ほどいて、私の実績でいうと上から20~30番目で中の上くらい。ただ私の場合は盤外のパフォーマンス、リップサービスなどで面白がってくれる人が多かったかと思います」
そんな人気、実力ともにあった橋本被告だが、東京から滋賀へと引っ越すことになる。Aさんが出産を巡って周囲との人間関係などで情緒不安定になることがあり、妊娠が判明したあとはAさんの実家の近くで親の助けを得たいと思ったためだという。しかし、将棋の対局は東京が多いため、日々の移動は大変だったようだ。
無事長男が誕生した数か月後、Aさんは家を出る。前日のAさんへの尋問では、橋本被告からAさんへのモラハラ、暴力などがあり、その末に橋本被告から出ていくように言われたと主張した。
橋本被告の言い分としては、「出ていけ」と言ったかもしれないと認めつつ、AさんとLINEを介した長い喧嘩がある中で、Aさんから「あなたは馬鹿にしている滋賀でなく、東京で暮らせば? 帰ってこないで」などと言われていたなかでの別居だったと主張した。