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100年前のロシヤ革命、革命と反革命どちらなのか論じるべき

評論家の呉智英氏が解説

 2017年は、世界で初めての社会主義による国家樹立のきっかけとなった革命からちょうど100年になる。評論家の呉智英氏が、ロシヤ革命(ロシア革命)について、これから様々に現れるであろう論考について、解説する。

 * * *
 今年はロシヤ革命百年に当たる。これから秋にかけてマスコミに愚論が次々に現れるだろう。私はこの連載で逐一これを叩かなければならない。ああ、考えただけで嬉……じゃなかった、面倒くさい。

 その序論として、マスコミは1917年にロシヤで起きた政変をどう書くか、考えてみよう。私自身が冒頭に書いたように「ロシヤ革命」だろう。しかし、そうだとしたら、1991年に起きたソ連崩壊は何なのだろう。当然、ロシヤ反革命だろう。74年を経て(1922年のソ連成立からだと69年)、やっと反革命が実現したのだということになる。では、マスコミは1991年の政変を「ロシヤ反革命」とするだろうか。しないだろうな。

 今私が書いたように、最もニュートラルに「ロシヤ政変」とするかもしれない。それなら、1789年に起きたフランス革命もフランス政変だろうし、1868年の明治維新も明治政変だろうし、1911年支那の辛亥革命も辛亥政変だろう。

 この問題を解決するため便法として、1917年の政変も1991年の政変もともにクーデタと呼ぶ論者も出てきている。半世紀ほど前に受験勉強のために暗記した「645年、大化改新」も、最近は「645年、乙巳のクーデタ(また乙巳の政変など)」と名称変更されている(646年の詔発布を「改新」の始まりとする)。つまり、価値判断の伴う「革命」「改新」という言葉を避けようという意図である。

 しかし、大化改新は、クーデタ後に改新は起きたのであり、全体として大化改新である。一方、ロシヤの場合、1917年のクーデタ後の74年間は何だったのか。クーデタ後に地獄の政治が始まったとするなら、1991年のソ連崩壊こそロシヤ革命だろう。

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