天皇陛下の生前退位について賛成、反対両陣営を代表する論客である、漫画家・小林よしのり氏と麗澤大学教授・八木秀次氏が激突したこの対談。二人が、皇位の安定的な継承を続けるために、今すぐ議論すべき「次世代」の問題で激しくやり合った。
小林:政府は特例法で天皇陛下の生前退位を認める方針のようだけど、これは憲法違反の疑いが濃い。にもかかわらず皇室典範の改正を避けるのは、女性・女系天皇公認の議論に進むのを恐れているからでしょう。男系男子の皇統に執着する人たちは、天皇の権威ではなく、男性から男性へ遺伝するY染色体を守りたいというのが本音なんだよね。
八木:違いますよ。もちろん男系継承は守らなければいけませんが、女系問題と退位とは話が別です。政府・有識者会議が取り組んでいるのはあくまでも皇位の安定性に関する議論です。女系問題とは切り離して論じています。
小林:本当に切り離しているかどうか怪しいですよ。だって、このまま生前退位が実現すると皇太子殿下が即位した時点で次の皇太子がいなくなるんだからね。
八木:それは、皇太子という概念の解釈によります。皇室典範を改正しなくても「皇太子は必ずしも天皇の子ではなくてもよい」と考えることはできます。
小林:実際、安倍政権は譲位に伴って、秋篠宮殿下を「皇太子」処遇にするつもりらしいけど。
八木:それもひとつの選択肢だと思います。
小林:ムチャクチャな話ですよ。天皇の弟を皇太子と呼ぶなんて。
八木:それは語感の問題であって、法律上の規定をどうするかは別問題です。