国際情報

トランプ氏、21世紀の製造業への知識は幼稚園児レベル

トランプ氏に厳しい評価を下す大前氏

 毎日のように世界中を揺るがしているドナルド・トランプ・米国新大統領。彼の大胆で乱暴な物言いは、確信犯なのか思いつきなのか。ビジネスマンとして大成功していると言われるが、果たして彼のビジネスセンスは本物なのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、トランプ新大統領の真価について解説する。

 * * *
 世界最大の英語辞典『オックスフォード英語辞典』は2016年の「ワード・オブ・ザ・イヤー(今年の単語)」に、形容詞「ポスト・トゥルース(post-truth)」を選んだ。その意味は「世論形成において、真実が感情や個人的信念に訴えるものより影響力を持たない状況」で、「ポスト・トゥルースの政治」という組み合わせでよく使われたという。つまり「真実などどうでもいい政治」──まさにドナルド・トランプ新大統領のことである。

 トランプ氏は、本当に大統領が務まるのか疑問に思うほど記憶力がなく、しかも自分が批判されると子供のように反射的・反作用的に相手を攻撃する。

 たとえば、1月8日のゴールデングローブ賞授賞式のスピーチでトランプ批判を展開した女優のメリル・ストリープを「ハリウッドで最も過大評価された女優の1人」とこきおろしたが、実は2015年8月の雑誌インタビューでトランプ氏はストリープを「素晴らしい女優だ。人としても立派だよ」と絶賛していた、というオチが付く。わずか1年半前のことだから、彼は言った瞬間に言ったことを忘れているらしい。

 アメリカには「脳と口がつながっていることを確認してから口を開け」という(親が子供を叱る時によく使う)表現があるが、どうやらトランプ氏は「脳と口がつながっていない」ようである。

 トランプ氏のトヨタ自動車に対する警告も噴飯ものだった。彼は「トヨタはメキシコのバハにアメリカ向けカローラの新工場を建設するそうだが、とんでもない!」と計画撤回を求めたが、これはバハにある既存のピックアップトラックの工場とグアナファト州に建設中のカローラの新工場を混同したものであり、明白な事実誤認だ。

 カローラを生産しているのはカナダのケンブリッジ工場で、そこの能力が足りなくなったから、メキシコに新工場を建設しているのだ。もともとアメリカの雇用とは全く関係がないわけで、「とんでもない」のはトランプ氏のほうである。

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン