ビジネス

ジャパネット創業者「残業に国が一律規制かけるのは拙速」

ジャパネットたかた創業者の見解は?

 日本のサラリーマンの「働き方」に大きな変革の波が押し寄せている。政府はサラリーマンの残業時間に「月60時間」という上限を設ける案を明らかにした。かつての経済成長を支えた仕事人間に与えられた「モーレツ」の称号は今や「時代遅れ」なのか。日本経済を牽引してきた名物経営者の“思い”を聞くべく、連続直撃した。

「仕事イコール人生という僕らの時代と違うのはわかるが、国が一律に制限をかぶせるのは拙速ですよ」

 そう口にするのはジャパネットたかた創業者の高田明氏(68)。1986年に独立する前は父親の経営するカメラ店で働いていた。

「(カメラ店勤務だった)30代の頃は、仕事があればいくらでも働きました。夜の9時10時まで撮影し、他の従業員も朝5時からだって平気で出社してくれた」

 ジャパネットでも創業当初から、高田氏は寝る間も惜しんで奮闘した。成長とともに社員も増え、労働環境も制度に対応させたが、2年前に長男・旭人氏に社長の座を譲ると、さらに大きく変わったという。

 長崎の本社や一部のグループ会社では週2日の「ノー残業デー」や「年2回の9連休取得」が実施される。

「9日休んで出勤日が金曜なら、1日出勤ですぐ土日。月曜日がノー残業デーだったりすると、『君はいつ仕事をしているの』といいたくなるけれど(笑い)」

 残業規制への疑問を抱きつつ飲み込んだ高田氏と違い、「このまま行くと日本の会社は腐る」と警鐘を鳴らすのはヴァンヂャケットの元副社長・石津祥介氏(82)だ。ヴァン(VAN)は1951年に父、謙介氏が創業。祥介氏が右腕として経営を支えた。

「うちは仕事と遊びが一緒くたの会社だったから、かつての社員は自分の意思で日曜日でも出社したし、遊び場にいる感覚で働いて、世間をあっと驚かせる商品を生み出してきた。誰も残業を何時間したかなんて気にしていなかった」

 アイビースタイルで60年代のファッション界を席巻したヴァンは、1978年には倒産も経験(のちに再建)。石津氏はその姿と現在の日本企業を重ねる。

「身内の恥を晒すようだけれど、ヴァンがおかしくなってきたのは会社が大きくなって出勤簿をつけるようになってから(笑い)。悲しいけど、このままでは今後、“ジャパン・アズ・ナンバーワン”の時代はもう二度と来ないよ」

※週刊ポスト2017年2月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン