ライフ

終末期患者に一切の治療を行なわない「平穏死」提唱の医師

終末期医療の現状は

 日本では安楽死が法的に認められておらず、終末期における尊厳死をとりまく現状も、法整備がすすまないまま医師が逮捕される事件がたびたび起きるなど、厳しい。

 なお、安楽死は「積極的安楽死」と「消極的安楽死」のふたつに分類される。前者は「医師が薬物を投与し、患者を死に至らす行為」。後者は「医師が治療を開始しない、または治療を終了させ、最終的に死に至らす行為」と定義される。

 そして、「安楽死」とは別に「自殺幇助」という方法による死に方もある。こちらも、安楽死同様、「積極的自殺幇助」と「消極的自殺幇助」のふたつに分けて考えられる。前者は、「医師が薬物を投与するのではなく、患者自身が投与して自殺する行為」。後者は「回復の見込みのない患者に対し、延命措置を打ち切ること」で、一般的に日本語で表現される「尊厳死」がこれに当たる。

 そんななか、患者の望む「穏やかな最期」を助けるべく、医師たちは、様々な葛藤や迷いを抱えながら日々、戦っている──。東京・西多摩にある日の出ヶ丘病院の小野寺時夫医師は、ホスピス医になったきっかけをこう振り返る。

「私は40年以上、がんの外科手術を行なってきました。しかし、いくら治療しても、苦しんでやがて死を迎える末期がんの患者の姿に胸を痛め、『自分が行なっている治療は本当に患者のためになっているのか』という疑問を抱くことがしばしばあったんです。

 その後、自分が57歳で咽頭がんを患ったことをきっかけに、限られた人生をいかに有意義に過ごすかを考えるようになった。私は、残りの人生は末期がん患者に寄り添い、『苦しまずに最期を』という望みを叶えるための努力をしていきたい」

 小野寺氏は現在、86歳という高齢ながら、終末期医療の最前線で週2回、患者を診ている。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
水原一平容疑者の半生を振り返る(C)BACKGRID,Inc/AFLO
《現地レポート》水原一平容疑者「中学時代は帰宅部」同級生が口を揃える“影の薄さ”「騒いでるのをそばで見ているタイプ」「高校の同窓会には不参加」
週刊ポスト
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン